カレッジ・ベンチャー・フォーラム in 京都大学

 たいへん有意義な時間を過ごせたパネル・ディスカッションでした。予定を変更して懇親会も参加させていただき、非常に多くの実りあるお話を伺えたこともよかったですし。
 さて、非常に大まかにですけど、フォーラム等に関するメモなどを。ただし、あくまで、私の個人的理解(もちろん誤解もあるかも)に基づくメモ(所々書き留めたヤツ)から、私の言葉でまとめてみたモノに過ぎませんので。発言をそのまま再現しているとはお考えになりませんようにお願いします。ほかにもレポートが公開されるのではないかと思いますし、是非それらもご参考に。
※こんなパネル・ディスカッションなどが、どんどんポッドキャストで公開されると嬉しい限り。
カレッジ・ベンチャー・フォーラム in 京都大学 に行って来ました - Accept Things(お疲れさまでした)


 最初に、一人5分ということで自己紹介から。その内容は、それぞれのWebサイトでも確認できるはず。なお、塩瀬さんに関しては、次のようなWebページが。フォーラムで「変なコミュニケーションを考えている人」と自己紹介されたうちの一部に過ぎませんが、参考になる内容。
百聞は一見をしのぐ!?
 なお、近藤さんは、交通渋滞のため若干の遅刻。パネリストのなかで最後にマイクを持つことに。「はてな」に関して、「変な会社として注目されているのではないか」などといった紹介をされていました。ちなみに、白シャツの下には、はてなオリジナルTシャツ(2005年度版・半袖・黒)を着ていた模様。

 で、パネル・ディスカッションへと。まずは、異分野の融合とのテーマを掲げたが、この融合が必要なのかという問いがコーディネーターから。これに対するみなさんの回答は次のような感じ。

  • 自分自身を発見しようとするためには、異分野の人と話をすることが必要ではないか
  • 分野の垣根をこえたところに、新しい分野がうまれるのではないか
  • インターネットって幅広い興味がなければできない。技術的なものだけではなくて(、サービスを提供する段階になると)、人と人との紛争をどう解決するかといった問題も生じてくる。そういったことに対しても、興味がないと改善できないのではないか
  • 問題を解決するためには、結果論として異分野が融合せざるを得ないのではないか

 この異分野融合に関しては、フロアからも質問が発せられ、それに対する近藤さんの回答は、非常に興味深い。いわば「大胆な変革(または明瞭な自省)のシステム」をビルト・インする試みは、非常に大切だと思うワケでして。

  • 【質問】「異分野と情報等をやりとりしていくなかで、それまでの自分を否定しなければならないときがありうると思う。そのときに、どう止揚するのか、考えを持っておられるか」
  • 【回答】「ひとつの例として、『Google Analytics』の登場。はてなのサービスとして『はてなカウンター』というものがあるが、『Google Analytics』は無料で提供されるサービスであって全く否定されたと同じような感じにある。この『Google Analytics』にどう対応しようか社内でも議論したが、結論としては、他社のブログサービスよりも先に自社サービス(はてなダイアリー)のなかで使えるようにしようということになった。これは、有料であるはてなカウンターが会社の売上げに占める割合などにもよる話であるが、標準になるものであれば積極的に採り入れていこうという姿勢に基づく対応である」
  • 「インターネットの世界では、モデルの変化というものは急激に起こるのであって、それに対応するために、会社においても常に破壊的なことを内部でつくっていくこととしたいと考えている。具体的には、サービスに関する社内コンペを開催し、よりよいアイデアを出した者をディレクターとして、新たな取組みを行うといった試みなどがある」

 続いて、コーディネーターから起業や会社経営に際して発生するリスクに関する質問。これに対するみなさんの回答や、派生して出てきたお話のうち、少しばかりのメモは次のような感じ。

  • 近藤さん 「信念として、『人生は単なる暇つぶし』。行動原理は、『やらなくて後悔するよりも、やって後悔する方がよい』。この行動原理は、経験則からいうとほぼ100%あてはまるもの。最もリスクを意識したのは起業したときだが、その際には、最悪のシナリオをイメージしていた。野宿するまでいこう、鴨川で寝袋になっても,そこまでは耐えられる」
  • 内藤さん 「社長に向いている性格として、3つ。楽観的な人、負けず嫌いな人、諦めが悪い人。なんとかなるという思いをもって、ゴールからさかのぼって考え、行動することが必要ではないか」

 このほか、多くの示唆に富むお話もありつつ、「最後に」ということで「将来について」を質問。これに対するみなさんの回答は次のような感じ。

  • 塩瀬さん 「好きなことをやれば、他の人もおもしろがってくれるはず」
  • 高橋さん 「鉄腕アトムを将来つくることになったときに参加できるように」
  • 内藤さん 「社内だけでなく、社外の人も手をあげてくれるように」
  • 牧さん 「中期的なプランから、長期的なしかけをつくることへ。そして、ネットワークを築くこと」
  • 近藤さん 「世界を変えるぞという気概で。変わっていってよいはずのものが、まだ数多く手付かずに残っているはず。現在は、それらが変わっていくという歴史の最初に位置しているのではないか。やわらかい発想で、世界を少しずつ着実に変えていけたらいいなあと考えている」

 このあと休憩をはさんで、第二部に。休憩時間中に、とりあえず近藤さんと名刺交換だけさせていただきました。

 こちらの第二部も、たいへん充実した内容。みなさんが、自分を、自らの会社を、そして、経営というものを語る骨太な言葉をもっておられました。以下は、個人的になるほどと思ったお話の概要(あくまで私の個人的理解に基づくまとめ)。

  • 大手から攻略していくこと(、あとは芋づる式につながっていく)。
  • 社内ベンチャーなどの新しい取組みについて、上層部はダメとも言わないし、イイとも言わなかった。ダメと言うと頭が固いといわれるし、イイと言うとならば担当しろと言われて主流から外れてしまうことになるからだろう。だから、社長しか決定することができる者はいないのである。
  • よくわかっていることで足場を築き、第二戦はそこから場を広げた。そして、第三戦はまったくの対極に位置するところに挑んだのであるが、それは、両極端を押さえれば、その間をすべてとれるんじゃないのかという考えからである。
  • バイオ・ヘルスケアの分野は、未開拓の余地が十分にある。特に、日本の現状及び将来をキチンと見据えなければならない。
  • 顕在的なニーズに対しては、ネット検索や単一のジャンルで括られた専門情報が活用される。対して、潜在的なニーズを呼び起こすのは、たとえば地域で括ることによりジャンルをクロスオーバーさせた総合情報である。
  • ベンチャー企業は、往々にして無理をする傾向がある。これが行き過ぎると、わからないだろうといって不正にはしる危うさもある。ベンチャーだからこそ、どう透明化していくかという問題もある。
  • クオリティ・オブ・ライフの視点が、今後は重要となるのではないか。教育にしろ、心のケアにしろ、医療にしろ、自分に投資するというあり方である。


 この後に、「せっかくだから*1」ということで、懇親会にも参加させていただきました。次のような感じで、みなさんとお話もさせていただきました。これも「せっかくだから」、以下にメモを掲げておくことに。


 最後のあたりでは、何とはなしに近藤さんを囲んで輪ができて、様々なお話を尋ねたり伺ったり。「大文字」ならぬ「はてな文字」の構想(!?)は、是非とも実現していただきたく思う所存でゴザイマス。4階建ての建物となるわけですね。

*1:NFの今年のテーマらしい。

*2:【追記】たとえば、「行政文書の電子化は、単に業務の簡素化や文書管理の簡易化を目的とするものだけではなく、最終的には行政執行過程のすべてを住民が共有できる仕組みへとつながらないか」といったよーな問題関心を有しているトコロ。

*3:国交省から連絡があったとかなかったとか?