第1回「環境にやさしいライフスタイルを考える市民会議」@京都市

 先般から次の報道等で何かと話題の標記会議を傍聴してきました。

コンビニ、京都市の深夜営業協議不参加 「自粛ありき」 2008年8月23日1時3分
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 コンビニ12社や主要外食チェーンなどでつくる日本フランチャイズチェーン協会の土方清会長(サークルKサンクス会長)らが同日(22日)午後、京都市内で記者会見。「深夜営業の自粛要請ありきで、結論が決まっている会議には参加できない」として、27日に初会合を開く京都市の「環境にやさしいライフスタイルを考える市民会議」への不参加を正式に表明した。今後、市から深夜営業の自粛を要請されても、応じない方針だ。
 市は5月に自粛要請の方針を表明したが、協会は6月、店舗の深夜営業をやめても温室効果ガスの排出を減らす直接的な効果は乏しいなどと指摘。門川大作市長は、それに正面からは異議を唱えず、「ライフスタイルの見直しにつながる」と主張してきた。
 この「ライフスタイル論」に、コンビニ側は反発。協会の山口俊郎副会長(セブン―イレブン・ジャパン社長)は記者会見で「市長個人の信念と24時間営業を結びつけて論議するのはどうか」と批判した。土方会長も「深夜営業をやめても、社会の仕組みが変わらない限り、深夜型ライフスタイルも変わらない」「ライフスタイルの在り方は多数決で強制されるべきものではない」などと指摘した。
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 一方、市は「敵前逃亡だ」(幹部)と激怒している。
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 協会の不参加について、門川市長は「深夜営業の自粛要請ありきではない。残念だが、話し合いは続け、席は空けておく」と話した。ただ、自粛要請ではなく条例制定といった強い対応をとる可能性を記者団に問われると「議論の中で出てくることは否定しない」と牽制。今後も厳しいやりとりが続きそうだ。
http://www.asahi.com/national/update/0822/TKY200808220315.html から一部引用。

 個人的には,深夜営業の自粛要請という行政手法や深夜営業規制に関する条例制定の可否,さらに市民会議というかたちでの合意形成のあり方等に関心があって,傍聴に行ってきた次第。
 本日は,市長のあいさつ,事務局による日本フランチャイズチェーン協会との経過説明,会議資料配布と概要説明,委員ひとりひとりから各々の考え方・想いなどのコメントといった内容で,それほど実質的な議論にまで入らなかったわけですが,(主観的に)いろいろと興味深い内容であったことは間違いなく。

 会議はホームページを通じて,その内容を掲載するとのことですが,せっかくですので,以下に私のメモを少しばかり掲げておくことにします(あくまで個人的なメモをまとめたものであり,全てを再現しようとしたものでは勿論ありません。また,私の手による編集(表現簡潔化など)を加えておりますし,大意を表すべく努めているものの実際に発言されていないにもかかわらず私が勝手に記している箇所もあるかもしれません。さらには,私の理解不足や事実誤認なども必ずあるはずです。このように多くの但書がありますので,その旨ご留意されるようお願いいたします。)。
京都市:リクエストされたURLに該当するページは移動しました。

  • 市長のあいさつ
    • 「環境にやさしいライフスタイルを考える市民会議」については,温暖化対策,持続可能な社会づくりといった観点から市民ぐるみで考える場としたい。
    • 24時間眠らない街としての東京。公共交通機関がとまるころまでという京都。
    • 深夜に街をうろうろするという青少年問題も。
    • 「夜間の電力は原発によるものであって二酸化炭素削減には関係ありませんよ」といった話もきいた。(確かにそうした)計算も大事であるが,人間の生活のあり方も大事。
  • 京都市地球温暖化対策〜ライフスタイルの見直しに向けて〜(配布資料概要)
    • 地球温暖化の状況及び影響
    • 京都市が市民とともに進める地球温暖化対策
    • 「環境モデル都市」での本市の提案内容
    • “DO YOU KYOTO ?” 地球市民総行動
    • ライフスタイルに関する国での検討状況
      • 地球温暖化に関する懇談会提言〜「低炭素社会・日本」をめざして〜(平成20年6月16日)
      • 中央環境審議会地球環境部会(平成20年4月3日)
      • 京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告(平成20年2月8日)
      • 京都議定書目標達成計画(平成20年3月28日全部改定/閣議決定
    • 深夜型ライフスタイルと青少年の問題
    • 営業時間の延長と一人当たり販売額の関係
    • 本市に寄せられた市民等からの御意見
  • 日本フランチャイズチェーン協会との経過
    • 深夜型営業を行うコンビニはしないで540店舗ほどもあり,市民生活に大きな関わりを持っている。
    • 7月25日から,文書で5回,FAXで3回,電話ではほぼ毎日,協議・連絡を行ってきた(先方に伺ったこともあるとのこと。)が,結果として本日の会議には参加いただけなかった。
    • あるべき論を多数決で決定することに疑問ありとのこと。
  • 各委員の発言概要(発言者の特定は行わない取扱いとします。)
    • 日本フランチャイズチェーン協会からは,「人の生き方を役所に決められる筋合いはない」と言われたが,コンビニの深夜営業問題は既に多くの意見が寄せられているなどみんなが関心を抱いていることである。そうした問題に関し,議論する場を提供するのが行政の役割ではないか。
    • 深夜型営業に関しては,便利さ等にかこつけて自分をコントロールできない人がいるのではないか。
    • 人は善悪で動くのではなく,損得で動く。
    • コンビニといってもさまざま。たとえば意見を言いたいオーナーなどを公募することも考えてよいのでは。
    • 暗いところでは犯罪が多発する。コンビニは街灯の代わりとして効果的であるし,子どもの逃げ場としての価値がある。もっとも強盗が出没するというマイナスも。
    • コンビニは便利。個人的には悪いとの結論にたっていない。青少年の深夜徘徊問題はコンビニが原因ではない。もっと根深いところに原因がある。
    • 個人的にコンビニの深夜営業は規制してほしい。団体として意見を集約したが,7:3で規制賛成が多かった。
    • コンビニには,深夜に閉めたいのに閉められないという問題もあるのでは。
    • どういう京都に住みたいのか,どういう京都であるべきなのかについて議論を。
    • デパートが休まなくなったとか,大型スーパーの営業時間の問題もある。
    • 深夜にビジネスが成り立たなければ,深夜型にはならない。
    • 深夜は電気が余っているからこそ電気代が安いのであるから,省エネという観点からは疑問がある。
    • 少ない費用で効果がある具体的な取組みを。
    • 選択する際には適切な情報が与えられているか否かが問題となる。
    • 改善・改良ではなく,転換・ブレイクスルーを。
    • 情緒的なものではなく,データなど説得性の高いものが必要である。
    • 自動販売機の問題も考えるべき。
  • 会議の運営等について
    • 座長の選出については,委員の互選によると規定されているとのこと。それをうけて某委員が藤岡委員を推薦。他の委員からの異議もなくスムーズに座長が決定。また,副座長の選出は,座長となった藤岡委員が宗田委員を推薦。これも他の委員から異議なく決定。
      • (おそらくはいずれも事前に打ち合わせ等していたのではないかと思われます。)
    • 会議はホームページ上に掲載する。募集した市民意見は,集約して座長に渡す。
    • 実質的な議論は次回以降に。開催は1年(つまり来年8月ぐらいまで)に4回程度を想定。
    • 日本フランチャイズチェーン協会には是非参加していただきたいとのこと。同協会と市役所との間には溝があると思われるので,市民会議から参加要請を行うことで合意。
    • 次回は10月に開催予定。それまでに各委員は理論武装をしておいてほしいとの座長の言葉が。
  • 個人的な感想
    • 深夜営業の自粛要請という行政手法や深夜営業規制に関する条例制定の可否,さらに市民会議というかたちでの合意形成のあり方等という観点からすると,「環境にやさしい」ではなく「環境保護に効果的な」などといった視点から検討することが必要なのではないか。
    • コンビニ深夜営業に関する各委員の発言から感じたところでは,必ずしも全員が「はじめから深夜営業の自粛要請ありき」という姿勢ではない模様。コンビニ深夜営業を肯定的にとらえている(と私が感じた)委員も複数。もっとも,「自粛要請ありき」という姿勢である(と私に感じさせる)委員の方々がいないわけではなく。
    • 配布資料中「深夜型ライフスタイルと青少年の問題」及び「営業時間の延長と一人当たり販売額の関係」には,若干ながらもバイアスがあるような気も。