市民裁判員先行記第7回/司法改革と裁判員制度

 本日も実際の公判傍聴ではなく、近畿大学公開講座「司法改革と裁判員制度」という講演を聴いてきました。講演者は佐藤幸治先生。近畿大学法科大学院長であって、司法制度改革推進本部顧問会議座長とのことですが、もともとは京都大学の教授ですね。


■公演内容について

  • 司法改革の目標・理念と骨格 日本国憲法の基本理念のうち、特に「法の支配」の下に諸々の改革を結びつけるために、平成11年7月に司法制度改革審議会が設置され、2年近くにわたる審議の結果、平成13年6月に「司法制度改革審議会意見書」を内閣に提出した。その内容は日本国憲法のよって立つ個人の尊重(13条)と国民主権(前文、1条)が真の意味において実現されるために何が必要とされているのか」を明らかにするとして、次のような抜本改革案を提示した。
    1. 国民の期待にこたえる司法制度の構築(制度的基盤の整備)
    2. 司法制度を支える法曹の在り方(人的基盤の拡充)
    3. 国民の司法参加(国民的基盤の確立)
  • 裁判員制度の導入 国民の司法参加については、「統治主体・権利主体である国民は、司法の運営に主体的・有意的に参加し、プロフェッションたる法曹との豊かなコミュニケーションの場を形成・維持するように努め、国民のための司法を国民自らが支えなければならない」との考えに基づき、今般、刑事裁判において、広く一般の国民が裁判官とともに責任と分担しつつ協働するという裁判員制度が導入されることとなった。
  • 日本における陪審制・参審制の歴史 そもそも明治憲法制定期に既に陪審員採用論があったが、それは政府主導の近代化を急ぐ当時の井上毅らの為政者によって排斥された。しかし、大正デモクラシーの産物として陪審員は1928年から運用され、以後18年続いた。戦後は、占領政策推進の阻害要因となるかもしれないとして占領軍の下で具体化されなかったが、1947年(昭和22年)制定の裁判所法3条3項には「この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない」との規定が置かれていたのである。よって、今般の裁判員制度の導入は、長年の宿題をようやく果たそうとしているものだと考えられよう。


■【情トラ】感想
 会場は、高齢の方々がほとんどだったよーな。。公開講座とはいえ、(近畿大学の)学生さんが多く聴きに来るのかなーと思っていたところ、そのような人は会場内には見かけなかったよーな。。いえ、学校の敷地内外にはたくさんいらっしゃいましたよ。 まあ、フダンからこうしたお話を聴いているということでしょうかね?? そもそも、この講座は、第25回近畿大学公開講座「人類繁栄のルネサンス」の基調講演だったので、あくまで地域の方々の参加する公開講座という趣旨から、外部の方の参加がほとんどだったのでしょー。
 講演の内容自体は、昨日のものよりも、ずっとずっとカンタンにしたとゆー印象。まっ、おひとりでお話されただけですしね。しかし、「いったんやると非常に得難い経験だとして、高い評価がなされる」という話は、やはり真実となるのだろうという気がして、そのことを(自分なりに)確認できただけでも、有意義な時間を過ごせたと思います。