行政法関連私的メモ
3つほど私的なアイデアを備忘のためにメモ書き。すべて思いつきの段階でしかありません。
【1】抗告訴訟の対象適格(処分性)に関して
- 勧告取消請求事件 最高裁判所第三小法廷平成15年(行ヒ)第320号 平成17年10月25日判決から
- 「裁判官藤田宙靖の補足意見」から一部引用(改行は引用者による。)
「従来の公式」においては,行政事件訴訟法3条にいう「行政庁の処分」とは,実質的に講学上の「行政行為」の概念とほぼ等しいものとされているものであるところ,このような行為のみが取消訴訟の対象となるとされるのは,取消訴訟とはすなわち,行政行為の公定力の排除を目的とする訴訟である,との考え方がなされているからに他ならない。そしてその前提としては,行政活動に際しての行政主体と国民との関わりは,基本的に,法律で一般的に定められたところを行政庁が行政行為によって具体化し,こうして定められた国民の具体的な権利義務の実現が強制執行その他の手段によって図られる,という形で進行するとの,比較的単純な行政活動のモデルが想定されているものということができる。
しかしいうまでもなく,今日,行政主体と国民との相互関係は,このような単純なものに止まっているわけではなく,一方で,行政指導その他,行政行為としての性質を持たない数多くの行為が,普遍的かつ恒常的に重要な機能を果たしていると共に,重要であるのは,これらの行為が相互に組み合わせられることによって,一つのメカニズム(仕組み)が作り上げられ,このメカニズムの中において,各行為が,その一つ一つを見たのでは把握し切れない,新たな意味と機能を持つようになっている,ということである。
- この「従来の公式」における「比較的単純な行政活動のモデル」から、「行政指導その他,行政行為としての性質を持たない数多くの行為が相互に組み合わせられることによって、一つのメカニズムが作り上げられ,このメカニズムの中において、各行為が、その一つ一つを見たのでは把握し切れない、新たな意味と機能を持つ」ようになったのは、いつごろからなのか。
- ひとつの大きな分岐は、行政手続法の施行(平成6年10月1日)ないしその浸透によるのではないか。
- 「裁判官横尾和子の反対意見」から一部引用(改行は引用者による。)
多数意見は,本件通知が法16条に根拠を有し,関税法70条2項及び3項により,輸入許可を得られないという法的効果が生じるというが,上記のとおりそのように解することはできない。
本件通知は,法令の委任によるものではない「輸入食品等監視指導業務基準」に基づくものであるにすぎず,国民の権利義務に直接影響するものではないと解すべきである。
- この反対意見は、従来どおり「法令に直接の根拠があるかどうか」を問題としているが、多数意見は、「法全体の構造から解釈による補充を経て、法16条が定める厚生労働大臣の権限と応答義務を明らかにした上、食品衛生法違反通知の法令上の根拠、法的効果を解明してその処分性を肯定」(判例時報1860号p.44)している。
- 以上の「裁判官藤田宙靖の補足意見(H17.10.25判決)」又は「多数意見(H16.4.26判決)」のような解釈は、行政通則としての行政手続法の趣旨を、病院開設中止勧告や食品衛生法違反通知などいった個別の行政行為を含めた一連の行政手続に読み込むことによってなされている、といえるのではないか。
【2】自治基本条例と個別条例の関係性について
- 自治基本条例に反するような内容の個別条例が制定された場合、その効力はどのように考えられるか。
【3】条例違反に対する是正措置の実効性確保について
- ラブホテル建築規制条例に違反して建てられてしまった建築物に対して
- たとえば30万円以下の罰金を科する旨の規定しかないような場合は、除却命令を出したとしても、罰金を支払うほうが選ばれかねない。
- また、実際に除却に関して行政代執行まで可能かどうかは、比例原則等からすると難しいのではないか。
- そこで、外観が付近の住環境を損なうものであるとの違反の場合には、建築現場等で使用される仮囲いを組んで、外観を見えないようにすることを「必要な措置」として行うことが考えられないか。
- 【六角さんからのご指摘を受けての追記】「必要な措置」について
- 「除却命令→相手方の義務不履行→行政代執行」よりも、相手方法益侵害の程度が低いであろう措置は何かないかとして、ひとつのアイデアとして「仮囲い命令→相手方の義務不履行→行政代執行」と考えてみたものです。
- 一応、詳細に記すと、規定には「町長は,次の各号のいずれかに該当する者*1に対し,当該ホテル等の建築の中止その他必要な措置を命ずることができる」とあるので、「町長が、違反建築主に対し、必要な措置として『仮囲いを組んで、外観を見えないようにする』ことを命じ、相手方が義務を履行しないときに、『町がみずから義務者のなすべき行為をし又は第三者をしてこれをさせる』」という具合に考えていたところです。
- この場合、除却命令をするときと同様に、あくまで条例が目的とするところを保護法益と考えています。
- とはいえ、上述のように単なる思いつきの段階でしかありません(^ー^)
*1:「○条の規定に違反してホテル等を建築し,又は建築しようとする者」など
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■発行日/平成18年1月17日(火)『発行総数12件』
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【情トラ】「震災11年を迎えて。」
◆発行日/平成18年1月18日(水)『発行総数13件』
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【情トラ】「富山の薬売り。」
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イヌはネコ目(食肉目)イヌ科の動物。現在イヌ(イエイヌ)には認定されたものだけで300をこえる品種がありますが、どの品種も元をたどればイヌという1種類の動物とのこと。
【情トラ】「ネコ目なのか!?」
◆発行日/平成18年1月20日(金)『発行総数30件』
◎青森県/【メルマガあおもり】VOL.143
国勢調査の速報値と確定値は、なぜ違いがでるのか。かなり省略して説明すれば、「速報値は、調査員の方が記入した世帯名簿の世帯人員を手作業で集計したもの、確定値は、皆様が記入した調査票を機械で集計したもの」
【情トラ】「手作業で集計する必要はあるの?」
■発行日/平成18年1月21日(土)『発行総数6件』
◎埼玉県/教育さいたマガジン第25号
教職員の人事評価について
職員が設定した目標の達成状況を実績として、また職務遂行の過程で発揮された能力及び執務姿勢を行動プロセスとして評価。教職員は、教育の専門家としての力量を絶え間ない努力により維持するとともに、その教育活動を保護者や県民に伝えていくことが求められているとのこと。
http://www.pref.saitama.lg.jp/A20/BJ00/top.html
【情トラ】「この評価制度の評価も必要なのでしょーね。」