裁判官藤田宙靖の補足意見

最判平成19年4月17日公文書一部非公開処分取消請求事件
 わかりやすい補足意見。なお,次の部分について,ちょいと考えたことが。

 本件条例をも含む我が国の情報公開法制は,「情報」そのものではなく,「情報」の記載された「文書」を開示の対象として採用しており,また,文書を特定して開示請求がされる以上,その開示が請求者にとってどのような意義を持つ(役に立つ)のか,また,開示された文書をどのような目的のために利用するのか等を一切問うことなく,(例外的に法定された不開示事由に該当する情報が記載された文書を除き)請求の対象とされた文書の全体を開示することを原則として構築されている。

 商業利用・営利目的のための情報公開請求が多い場合においては,実際上の対応として,事務手数料の負担を求めるケースがありうると考えられる。しかし,「開示が請求者にとってどのような意義を持つ(役に立つ)のか,また,開示された文書をどのような目的のために利用するのか等」をいかなる方法をもって問うことができるのかについては,難しい問題と言わざると得ないのだろうか。