はてな利用規約7条に関する個人的検討

はてな利用規約 - はてな
 個人的に興味があって,「はてな」の利用規約について検討してみた次第。
 そのなかで,先般「長期間ご利用のないはてなポイントの取り扱いについて」とのアナウンスがあったことから注目されたであろう利用規約7条に関し,「(少なくとも私個人にとっては)疑義があるのではないか」と思われることにつき,非常に形式的なことも含めて以下に掲げてみることにします*1
 特に,当該アナウンスに関連したところでは,「過去1年間利用のないはてなポイントを,具体的にどのように取り扱うものとするのかが,ひょっとして明らかではないのでは。。」などと検討したので(6項検討部分を参照のこと),このこと等々(少なくとも私個人にとって)明らかになれば幸いです。



第7条(利用料金)

1. 登録ユーザーは、「はてな利用規約」の規定ならびに「ヘルプ」に従って、本サービスの有料サービスを利用し、本サービスの定める料金を支払うものとします。

  • 利用規約1条1項及び2項,2条4項3号,5条6項,7条12項,9条3項,10条1項,12条1項では,「本規約」と表記しているものを,なぜ,ここでは「はてな利用規約」と表記しているのか。
  • 利用規約1条2項では「本規約以外に『ヘルプ』や各種ガイドライン」と定めているにもかかわらず,なぜ,ここでは「『はてな利用規約』の規定ならびに『ヘルプ』」と定めて「各種ガイドライン」を除いているのか。

2. 回答料、手数料ならびに本サービス利用に関する料金の額は、当社が別途定めるものとします。

  • 「回答料」とは何か。もし「人力検索はてな」で回答した際に受け取ることができる回答料のことならば,その額は質問者が定めるものではないか。
  • 「当社が別途定めるものとします」とあるが,「(ポイント)交換時にかかる事務手数料」については別途ではなく本条8項及び9項において「5% (交換額4000ポイントまでは200ポイント)」と定めており,違和感がある。

3. 登録ユーザーは当社の有料サービスを利用する場合、それらに関わる費用を当社へ支払います。本サービス上においては、それらの費用に代わる単位として「ポイント」を設けております。登録ユーザーは、当社が定めた方法により、ポイントを購入することによって有料サービスを利用します。

  • 「(有料サービス=)それらに関わる費用」とあるが,これは本条1項に掲げる「本サービスの定める料金」及び同条2項に掲げる「本サービス利用に関する料金」と同義か。もし同義ならば,なぜ,「費用」・「料金」と異なる用語を用いているのか。

4. 当社は登録ユーザーが当社に支払ったポイントから所定の手数料を取得します。有料サービスのうち、当社が登録ユーザーその他の第三者に対してポイントの仲介を行う場合は、ポイントの支払者から受領した料金から通信費、サービス運営費その他の費用を含む手数料を控除した金額をポイントの受領者に支払うものとします。

  • 「その他の第三者」とは何を意味するのか。もし「登録ユーザーではない第三者」ということであれば,そもそも「ポイントの仲介を行う」ことが不可能ではないか。

5. ポイントの購入、交換に際して発生する手数料の一切は、登録ユーザーが負担するものとします。

  • 「ポイントの購入、交換」のほか,「ポイント(付きメッセージ)送信」においても手数料が発生し,その一切は登録ユーザーが負担することとされている。それゆえ,このことも併せて「ポイントの購入、交換、送信に際して」と明記する必要はないか。

6. 登録ユーザーが保有するポイントについては、当該ユーザーが本サービスにて実際にポイントの支払いもしくは受け取りを行った最終利用日から1年間を有効期間とし、1年を経過したポイントについては無効になるものとします。なお、マイナスポイントについては、これに準ずるものではありません。

  • 過去1年間利用のないはてなポイントの取り扱いにつき,次に掲げる(1)又は(2)のいずれの取り扱いとなるのか,それともこれら以外の取り扱いとなるのか(参考:長期間ご利用のないはてなポイントの取り扱いについて - はてなの日記 - 機能変更、お知らせなど)。
    • (1) 利用規約7条6項に定めるとおり,最終利用日が08年10月14日以前の場合において09年10月15日に失効,08年10月15日の場合において09年10月16日に失効,08年10月16日の場合において09年10月17日に失効,……,となる*2
    • (2) 「 http://www.hatena.ne.jp/help/pointはてなポイントの有効期間」に記載されているとおり,1か月の猶予期間があるとして,最終利用日が08年9月14日以前の場合において09年10月15日に失効,08年9月15日の場合において09年10月16日に失効,08年9月16日の場合において09年10月17日に失効,……,となる*3
    • (1)及び(2)以外の取り扱いとなる(期間の計算につき私が間違えていたとして,それも含めて)。

【追記】

  • この件につき,はてな宛て問い合わせさせてもらったところ,(2)の取扱いになるとのご回答をいただきました。
  • 確認してみると,2009年9月16日付で,はてなポイント保有ユーザー宛に送信された「【はてなより】ポイントに関する重要なお知らせ」メール本文において,「尚、規約上の期限である1年間から、実際にポイントが失効するまでに 1か月の保留期間を設けることになりました。最後にポイントを利用した日から1年が経過した際には、はてなからのお知らせメールが届きますので、その後1か月以内にポイントのご利用または追加購入を行っていただくことで、引き続き保有ポイントは有効となります。」との案内がなされていました。
  • もっとも,この取扱いは,あくまで「利用規約」には定められていないもの。そして,2009年8月12日付アナウンスでは,「規約通りの運用をさせていただくことになりました」とあります。そのため,(1)の取扱いになるものだと考えていたのですが。
  • ともあれ,少なくとも私個人にとっては,この件は明らかになったということ。ご回答ありがとうございました。

7. 登録ユーザーは、はてなポイントを100,000ポイント以上保有することができません。ポイントの購入限度は、1回につき50,000ポイントとします。

  • 利用規約6条3項4号及び5号,同条4項5号,7条3項ないし6項,同条7項後段,8項ないし11項,13項では,「ポイント」と表記しているものを,なぜ,ここだけ「はてなポイント」と表記しているのか。
  • ポイント保有上限は,「100,000ポイント以上」とあることから,99,999ポイントと理解してよいか。

8. ポイント交換は、保有ポイントが2000ポイント以上の登録ユーザーが当社の定めた交換方法に基づいて行うことができます。交換時にかかる事務手数料5% (交換額4000ポイントまでは200ポイント)は、登録ユーザーが負担するものとし、これらの手数料を差し引いたポイントを当社の指定したポイントに交換するものとします。但し、交換の申請以前にポイントを購入した登録ユーザーで、質問によるポイント支払いや有料オプション購入を行ったことのない登録ユーザーは交換することができません。

9. 登録ユーザーは、その保有するポイントにつき、本サービス退会時にポイント交換システムを利用することができます。但し、交換手数料として5%の金額(交換額4000ポイントまでは200ポイント)を差し引き、交換にかかる費用の一切を登録ユーザーが負担するものとし、これらの費用を差し引いた額が、ポイント交換対象となるポイントの最小単位に満たない場合、保有するポイントは無効となるものとします。

  • 「ポイント交換システム」及び「交換手数料」との用語は,本条8項でいずれも使われていないものであるが,それぞれを統一して使用したほうがよいのではないか。
  • 楽天スーパーポイントについては「2000ポイント〜10000ポイントまで1ポイント単位でご交換いただけます」とあり,また,「不正防止のため、1日以内に連続交換することはできません」とあるが(参照:はてな 楽天スーパーポイント交換),もし登録ユーザーが10,500はてなポイントを超えて保有していた場合に退会するときには,次のいずれの取扱いとなるのか(仮に42,000ポイントとして考えることとする。)。
    • 10,500ポイントだけ交換でき,31,500ポイントが無効となる。
    • 退会する場合に限って,その退会日の1日以内に連続交換ができる。
    • 31,500ポイントが未だ交換対象となるため,全部で4日間をかけないと退会ができないことになる。
    • その他

10. ポイントは当社が定めた方法以外で購入、交換することはできません。また、換金、営利目的での譲渡はできません。
11. 当社が定めた購入、交換方法以外で不正に取得したポイントは当社にて無効とする場合があります。また、ポイントの購入、交換にあたり不正行為が発見された際には、以後、不正行為を行ったユーザーのアカウントの利用停止、またはポイントの購入、交換を制限する場合があります。

  • 本条11項においては,同条10項前段で禁じた「当社が定めた購入、交換方法以外」の取得につき,「無効とする場合があ」る旨を定めるが,同項後段で禁じた「換金、営利目的での譲渡」による取得については同様の措置をとることはないと考えてよいか。
  • 本条1項,3項ないし9項,12項では,「登録ユーザー」と表記しているものを,なぜ,ここでは「ユーザー」とのみ表記しているのか。

12. 登録ユーザーが、本規約ならびに本サービスに基づく当社に対する債務について、当社の定める期日を経過しても支払いを行わない場合、当該ユーザーは支払い期日翌日より支払い日までの期間において、当社の定める遅延損害金を当社に支払うものとします。

  • 「当社の定める遅延損害金」については,その具体的額(具体的利率)を明らかにしておくべきではないか。

13. 当社は、本サービスの利用料金を予告無しに改定することがあります。また、ポイント購入・交換に関する手続き方法を予告無しに変更することがあります。

  • 本条2項では「回答料、手数料ならびに本サービス利用に関する料金の額」とあるものを,なぜ,ここでは「本サービスの利用料金」のみを掲げているのか。

*1:利用規約は,ユーザーが「はてな」をどう利活用するかに関する予測可能性を担保するものであるため,これが不明確だと活発な利活用は期待できません。それゆえ,たいへん細かすぎる点についても,あえてツッコミを入れてみました。

*2:民法140条本文により初日不算入。143条2項本文により応答日の前日に満了。そこで「最終利用日から1年を経過した日」とは,「最終利用日」が「初日」,「その翌日」が「1年間の起算日」となるから,「最終利用日の翌日」(起算日)の「翌年の同月日(応答日)の前日」(満了日)を「経過した日」であって,すなわち,「最終利用日の翌年同月日の次の日」となる(例:最終利用日が08年10月14日の場合,1年間の起算日は08年10月15日,その満了日は09年10月14日,よって,最終利用日から1年を経過した日は09年10月15日となる。)

*3:猶予期間については民法140条但書により初日算入。143条2項本文により応答日の前日に満了。そこで「最終利用日から1年を経過した日から更に猶予期間1か月を経過した日」とは,「最終利用日の翌年同月日の次の日」が「初日」,「同日」が「1か月間の起算日」となるから,「最終利用日の翌年同月日の次の日」(起算日)の「翌月の同日の前日」(満了日)を「経過した日」であって,すなわち,「『最終利用日の翌年同月日の次の日』の『翌月の同日』」となる(例:最終利用日が08年9月14日の場合,猶予期間1か月間の起算日は09年9月15日,その満了日は09年10月14日,よって,最終利用日から1年を経過した日から更に猶予期間1か月を経過した日は09年10月15日となる。)