平成17年8月31日/意見提出

 次のとおり、京都府府民労働部文化芸術室あてに、意見提出いたしました。

  • 1.条例の制定に関して

 「『文化力による京都活性化』に関する各種施策の推進に当たり『拠りどころ』となる条例を制定する」とのことですが、単に施策実施の根拠を定めることだけを目的としているのであれば、条例を制定するまでの必要性が乏しいのではないでしょうか。
 京都府において定めている「文化力による京都活性化」アクションプランが、府行政において、どのような位置づけか不明なのですが、当該アクションプランだけでは不十分であって、やはり条例を制定する必要性がどうしてもあるのか、一府民からは不明です。
 全体的にも、規定しようとする内容が漠然としている印象もあって、個人的には、なぜ条例を制定しなければならないのかという必然性を感じることができません。
 ただし、私的な考えにすぎませんが、次のように考えることもできるのではないかと思っております。すなわち、本条例の制定については、文化力に基づく社会/経済の振興が、府政運営の中心的かつ重要な課題であること、それ故に議会という公開の場で多様な議論が要請されること、そして、これらの結果として、条例で制定すべき内容となるとの位置づけが可能ではないかという考えです。また、それと同時に、より実質的な条例内容を含む必要もあるのではないかとも思うところであり、その一例を「府の責務に関して」の項目にて示させていただいております。

  • 2.前文に関して

 この前文に重きを置きすぎているのではないかとの印象があります。つまり、この前文に記載されている内容を広く府内外に知らしめたいがために、条例を制定しようとしているのではないか、という、あえていうと主客が逆転した印象を受けなくはありません。

  • 3.基本理念に関して

 それぞれについて、一体、京都府が主語/主体なのか、京都府民がそうなのか、それとも、他のものが主語/主体となるのか、判然としないように感じます。また、「文化力」等といった独自の用語については、いわゆる定義規定等の最低限の説明等が必要ではないかと考えます。

  • 4.留意事項に関して

 この留意事項と、基本理念と区別した理由は何かあるのでしょうか。また、これは細かいことであると自認していますが、留意事項中の表現について、「多様な文化を認め合」うことが、「世界平和に資すること」につながるのは理解できなくはありませんが、「我が国及び京都の文化に対する理解を深めること」が「世界平和に資する」ことにつながるということには、無理があるのではないでしょうか。

  • 5.府の責務

 府行政における施策実施/運営に関する規程にとどまらず、せっかく条例を制定するのであれば、「府は、前項の規定による施策の策定・実施に当たっては、府民等の幅広い参画のもとに、相互に連携・協力するよう努めます」といった努力規定などではなく、府民参画に関する具体的規定を設けるべきではないかと考えます。すなわち、文化力による地域活性化に関する施策の策定・実施に関して、その策定・実施の過程に、府民が参画できる制度又は手続を設けなければならないと条例に明記することによって、単なる規程ではなく、条例でなければならない性格付けがなされるのではないでしょうか。
 具体的には、行政手続法の一部を改正する法律(平成17年法律第73号)により、新しく規定されることとなった、行政手続法の意見公募手続に類似した施策の策定・実施における意見公募手続規定を設けることを提案します。その例として、府が施策を策定・実施する際に、「①府民、利害関係者等から意見公募を行わなければならないこと」、「②提出された意見は、施策の策定・実施において考慮しなければならないこと」、「③提出意見を考慮した結果及びその理由を示さなければならないこと」等といった定めを、本件条例案に含めることを検討していただきたく思います。

  • 6.文化力の向上、文化力による京都の活性化に関して

 「府は、京都の文化力を向上させるために、また、文化力により京都の活性化を推進するために、施策・支援に取り組」むとのことですが、単に「施策・支援に取り組む」とするだけではなく、その取組みを評価する体制作りや、「評価をしなければならない」旨の規定を設けることも必要となるのではないかと考えます。