現行憲法の基本原理

 基本原理については、憲法前文から抽出するか、憲法典全体から抽出するかという考え方がある。さらに、後者には、明治憲法との比較(「国民主権天皇主権」、「人権尊重−人権概念の不十分」、「平和主義−なし」)によるものと、外国憲法との比較によるものがある。このうち、日本国憲法の比較憲法史的位置付けを考えると、アメリカ型「法の支配」と第1次世界大戦後ヨーロッパ新憲法「議会制民主主義」の混成型ということができるだろう。
 国民と議会の関係からいうと、「半直接民主制」と称せられ、代表民主制というヨーロッパ新憲法の系譜に属するとみられる。レファレンダムも憲法96条1項*1にみられるように制度として存在するが、実際の運用は、その細則であるはずの国民投票法がなく、現実として行うことができないようになっているという問題がある。
 また、議会と政府との関係でいうと、第1次世界大戦後の「合理化」構想からくる議会支配型の「議院内閣制」がとられている。
 そして、政治と司法との関係は、アメリカ型の「法の支配」ということができる。つまり「法の支配」の技術的構成になっており、基本的人権の列挙や司法裁判権の一元化、違憲立法審査制がとられているのである。

*1:この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。