京都と政策研究

 (以下、あくまで【情トラ】管理人の個人的なメモです。事実誤認等があればゴメンナサイ)
 地方自治体は地方分権の時代を迎え、政策形成の能力が問われている。また、大学も単に学内で研究に勤しむだけではなく、社会貢献を求められている。そうした現状のもと、大学と自治体との連携がまさに社会的なニーズとなっているのではないか、という前提をうけて各パネリストがそれぞれ順に発言。


山田啓二京都府知事
 国が政策的に行き詰まった現状というものがあるのではないか。例えば、特区構想にしても然り、地域からのプロポーザルを受ける形の政策が目立ち、国からアイデアがでない状況である。しかし、だからといって地方にもまだまだ力不足の面が多々ある。そうした中で、府はアクションプランという取組みを始めた。これには、たくさんの大学の先生にも入っていただき、作業を積み重ねてもらっているが、どうもプランをつくったら終わりという印象を受けなくもない。Plan(企画)だけではなく、行政にはDo(実施)−Check(点検)−Action(見直し)も必要になってきているが、学者のみなさんは、実務経験の少なさや責任感の希薄さもあって、そこまでの作業をしないことがあるのではないか?
 また、今、自治体と大学の連携というと、どうも「あの先生なら」といった個人的なつながりによる1本釣りの状況にある。これを何とかシステム化できないものかと考えているところである(、、、と問題提起に相応しい発言をされました。)。
 ※参考 アクションプランについて※ http://www.pref.kyoto.jp/actplan/apsankaku.html


■高木壽一京都市副市長
 市は直接行政なので、理屈をこねたり相談をする間がないのであるが、とはいってもその日暮らしではだめ。また、京都市は人口の1割が大学関係者で占められるということもあり、いわゆる産学公の連携ができないものかといろいろ手がけている。とくに大学の単位互換制度やシティカレッジ、コンソーシアム京都といったものが、その例としてあげられる。


■池上惇京都橘女子大学文化政策学部長
 文系の産学協同は、大学院での社会人教育を重視することではないか。現在、タダで社会人学生を受け入れ、かわりにタダで学部生のインターンシップを受け入れてもらうようにしているところである。しかし、せっかく大学院で有意義な研究をさせても、会社なり役所に戻ると、その蓄積を活かした仕事をさせず、従来のローテーションに埋没してしまうという問題もあるのではないだろうか。
※参考※ http://www.tachibana-u.ac.jp/official/univ/graduate/bunkaseisaku.html


■谷口浩司佛教大学社会学部長
 社会学部に公共政策学科を設置するということに、意味があると考えている。また、コミュニティキャンパスと銘打ち、積極的に街のなかに融合していくことを目指しているところである。
※参考※ http://www.bukkyo-u.ac.jp/bu/guide/intro/news/sociology/koukyou.html


■真山達志同志社大学政策学部長
 自治体や社会は、いわゆる応用研究にニーズがあるのは仕方がないことかもしれないが、研究ということから考えると、いわゆる基礎研究は大切なものである。そう考えると、学生なり研究者の卵に、時間と環境を与える土壌をつくることが、大学のまちという意味づけになるのではないか。また、審議会の委員に呼ばれることもあるが、自身の研究関心と全く異なる場合もなくはない。このような場合、常識的な意見をするに過ぎないことも。そこを何とか発展的なつながりを見出せればよいが。
※参考※ http://policy.doshisha.ac.jp/


■川口清史立命館大学政策科学部長
 大学の役割として、単なるシンクタンク等とは違い、政策提言をするだけではなく同時に教育・人材育成を行っている。なお、山田知事からの問題提起に対しては、学者が逃げているのではなく、逆に行政が本気で参加してほしいと思っていないから、そこまで踏み切れないだけではないか。単に知的権威を得ようと、アリバイづくりに利用しようとしている面が行政にあることは否定しきれないと思う。本気で来いと言われれば、誰だってその意気に応えようとするだろう。
※参考※ http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/sps/index-j.html


■まとめ
 これからシステム化をどうはかっていくか、また、研究関心と社会的ニーズのマッチングをどう調整するかによって、単なる連携から実りある融合というレベルまで期待したいと思う。現在、任期付公務員という制度もあり、政策スタッフの導入も考えられるであろう。政策コンペティションを行うこともひとつのアイデアである。