北九州市 末吉興一市長 「都市再生と都市経営」

 全国知事リレー講座、6回目。本日は、末吉興一北九州市長ということで、番外編。といっても、governorには違いないっつーことです。
(以下、あくまで【情トラ】管理人の個人的なメモです。事実誤認等があればゴメンナサイ)

 北九州とは、どんなイメージかとして、「無法松、あらくれ男が住む街、暴力、工業都市、公害、活気がない」等々のマイナスの都市イメージが生じていた昭和60年前後の状況。昭和62年の毎日新聞調査では、市民の74%が市の前途を悲観していたとの結果も。こうした状況に対して、都市再生の必要性を感じ、総合的な長期計画を策定したとのこと。なぜ「総合的」である必要があったかというと、大都市だけに一言で表すことは不可能だし、あらゆる分野を網羅し、バランスよく効果的に組み合わせることが重要だと考えたからである。
 具体的には、その総合計画は「北九州市ルネッサンス構想」として1988年12月に策定し、2005年を目標年次、「水辺と緑とふれあいの“国際テクノロジー都市”へ」を基調テーマに、現在では第3次実施計画の段階であるとのこと。ただ「テーマ」といえば、だいたい似たようなものになるのだが、具体的に何をいれるかが肝であり、法定・任意をあわせて部門別計画(H15.6時点で74件)をきちんと策定して取り組んでいるところである。
 そうした都市再生のシナリオを実現させるためには、行政力を高める必要があると考え、北九州方式と呼ばれる取組みを行っている。これは、国が縦割りだといってその弊害がよく指摘されるが、その縦糸に、市民の目線による知恵と工夫という横糸を組み合わせて、首長が政策を織りなしていけばいいとの認識によるもの。具体的には、「保健と福祉の合体によって、従来と比べてそれぞれの需要合計が3倍になった事例」や、「市民生活に関する多様なパトロール業務が多数の個別法ごとに規定されているため、10局19業務にわたっていたのを、結局立ち寄る場所は7割が重複していたことから、4局5業務に統合した事例」、そして、「女性消防団員がホームヘルパーの資格を取得して、住宅防火相談時にホームヘルパー業務を実施した事例」などがある。また、国が縦割りだとか文句を言うが、自分たちだって縦割りにしていた自治組織等への補助金のあり方を、地域や住民の力を生かす必要もあるとの認識から「総合補助金制度」へと改めたところである。このようにして、行政が垣根を越えると、民間もボランティアも市民も同じように垣根を越えてくるはず。

【情トラ】管理人まとめ
 このほか様々なお話がありましたが、【情トラ】管理人が特に興味を覚えたところをメモとして。知恵や工夫というものは、ふつうに考えればドンドンできくるものだと思います。ただ、行政組織のなかでは、なかなか動きがとりづらいもの現実なのでしょう。そこを首長みずから率先して国に対しても論争を挑む姿勢をみせることは、現状打破につながることとなるのではと感じた次第。まあ、至極当然といえば当然のことなのでしょうが。国という単位だけで考えるのではなく、市という単位だけで考えるのではなく、地域という単位だけで考えるのではなく、それぞれを重層的に物事を考え、取り組むことは、非常に大切な考え方だと思うところです。

※参考
http://osaka.yomiuri.co.jp/chiji/ch40519b.htm