半直接民主制

  • 代表民主制の構造

 「代表民主制」とは、「代表制」と「民主制」という2つの原理を単にプラスしたものではなく、逆に対立することもある概念。両者のいずれかを強調することにより、多様性をもつという構造を有する。
 「直接民主制」とは「代表制」原理を否定するものであって、「民主制」をおしすすめていった先にあるもの。対して「代表統治制」とは「代表制」原理を前面におしだしたものであって、これには「純粋代表制(=代表に完全委任するもの)」と「半代表制(=代表が選挙民の意向に事実上拘束されるもの)」の区別がある。そして、「半直接民主制」が「代表制」と「民主制」の両者の特徴・長所をいかす協調的なものとされる。これは基本的には「代表制」をとるが、重要問題については「民主制」原理からのレファレンダムを導入するというものである。
 日本国憲法においてもこの「半直接民主制」が採用されているといえる。ただし比較憲法的にみると、日本国憲法は「国民発案の制度」を欠き、通常の議会制定法に対するレファレンダムを欠くため、初歩的という評価になる(→地方自治においては話は異なる。)。ならば、もし現行憲法において法律制定に関するレファレンダムはできるか、と考えた場合、当該レファレンダムが決定的、拘束的な性質のものであれば、憲法41条の「国会は唯一の立法機関」との規定に違反するといえる。ただし、諮問的なものであれば、合憲といえよう。
 なお、最高裁国民審査は、レファレンダム(国民投票)がいわば国民が国政の内容を直接決定する(憲法を改正するか、しないか等々)のに対して、国民がその内容を直接決定するのではなく、国会議員の選挙と同じように代表を選ぶ(国民審査の場合では、代表に相応しくない人を選ぶ)という間接的な決定をするものであるので、レファレンダムと異なるもので、国民主権のあらわれであると考えられる。最高裁判事の国民審査は、別に国民が裁判の中身を直接に決定するわけではないのであるから。

  • 国民

 国民とは、ある特定の国家法に、原則として属人的に適用があるものをいい、その国家の構成員として認められる法的資格のことを国籍という。そして、国民主権の意味するところは、「最終的に統治する権威が国民であるという正統性原理」と「政治的共同体のあり方を決定できる実力を国民が有するという権力的原理」の2つの原理がある。これらの原理に関連して考えると、単に国民の委任を受けた代理人が国政を決定するいわゆるナシオン主権は「正統性原理」のみを含むだけであり、対して、実在する個人の集合体である国民が国政を決定するいわゆるプープル主権は「正統性原理」も「権力的原理」も双方を含むといえる。そして、日本国憲法はまぎれもなく後者のプープル主権の考え方をとりいれているのである。

  • 公民団

 国政に積極的に関与することを認められたものを公民といい、その要件は政治社会に関する一定の判断能力を基準とし、選挙権の問題として表れる。過去は、身分・経済力・性差などが要件となっていたが、現在では年齢要件のみが残っているところである。ただし、なぜ20歳なのか、納税しながら選挙権がないのはおかしいという問題もあると考えられる。また、その他の要件として、居住要件があるが、やむを得ないものだと認められる。