選挙制度

 「選挙」とは「多数人が合同して公職就任者を選任する行為」であり、「選挙権」とは「その選挙に参加し得る資格」をいう。この選挙権については、これを個々人が参加し得る個人的な権利だという説があるが、個人的な権利を行使した結果、公職就任者を選任するという公の効果をもつために、この説はおかしいと言わざるをえない。つまり選挙権とは本来的に公務であると解される。
 選挙に関する事項は、選挙事項法定主義といって、原則的には国会の広範な立法裁量に属するところである。ただし、その裁量を限界付ける憲法上の原理も存在し、「公正かつ効果的な代表」や「選挙の自由公正の原則」を害すると選挙無効事由になるし、選挙人資格の平等に関する「普通選挙の原理」や議員定数不均衡問題などに代表される選挙人の投票価値の平等に関する「平等選挙の原理」、投票環境の整備に関する原理である「自由選挙の原理」などがあげられる。なお、このうち「平等選挙の原理」に関しては、判例は人口の最小区と最大区を比べる最大格差を問題にするが、本来的には平均値からの偏差をみるべきではないかといった論点や、「自由選挙の原理」に関しては、この自由選挙とは任意投票や立候補の自由を確保しているものではないので、強制投票や政党(だけの)選挙もありうるという論点がある。