市民裁判員先行記第5回/Winny事件第2回公判

 本日は、京都地裁にて、Winny事件、つまりは著作権法違反幇助に係る事件の第2回公判です。今日も、傍聴券は13時50分までに並んだ人で抽選するとのこと。集まっても100人程度かなという気がするんですけど、どうなることやら(前回の「まとめ」参照。)。


■傍聴の抽選などについて

  • 13:30 京都地裁に到着。この間は長い長い行列が出来ていたのに、駐車場には誰もいない。時間は間違えて、、ないはず。裁判所の職員さんもいらっしゃいますし、単に人が減ったということなんでしょう。
  • 13:35 とりあえず、職員さんに質問すると、13:50までに並べば大丈夫とのこと。なら、館内で座って待つことに。
  • 13:40 もし定員74人以内だったら、早めに並んでいたほうが早く入場できるはずと考えて、10分前なのに並ぶことに。前のほうに並んでおりました。こないだ見かけた人もチラホラ。遠くから来られている方もいらっしゃるようで。お疲れさまです。
  • 13:50 ゾクゾクと行列が長くなっていきましたが、このあいだと比べると一目瞭然、減ってます。今日は傍聴できそうでヨカッタヨカッタと思いつつ、傍聴整理券を受け取って、最終的な人数の発表を待ちます。
  • 13:55 結局、整理券の配布枚数は66枚、つまり、並んだ人数は66人でした。第1回と比べて4分の1ですねぇ。
  • 14:00〜 ということで、傍聴できることに決定。早速、身体検査(ポケットにモノが入ってないかどうか程度)を受けて、101号法廷に。しかし、確認しなかったのですが、身体検査をする人は男性だけ2名だったような。。女性の身体検査もあの人たちがしていたのでしょうか。あと、並んでいた66名のほかに2人が遅れて来られましたが、定員まで余裕有りということで傍聴可能だったみたいです。このあとは、検察官や弁護団が入ってこられたり、などなど。それにしても、やっぱり弁護団たくさんいらっしゃいますなぁ。
  • 14:30 裁判官が登場されて、いざ開廷。


■公判内容について(※注※ 以下はあくまで【情トラ】管理人の個人的なメモをカンタンにまとめたです。全てを再現しているわけではモチロンありませんし、また、私の理解不足や事実誤認などもあるかもしれません(、いや、必ずあるはずです)ので、ご注意を!)
■なお、Winny(ウイニー、ウィニー)事件公判傍聴録/【情トラ】まとめ(概要も含む。)は、次に掲げています。ご参考まで。
【おっかけ情トラ】市民裁判員先行記 - 【情トラ】附゛録゛



■公判冒頭

  • まずは、弁護側から、前回の求釈明申立てに対する検察側の回答について
    • 回答書が送付されたが、日付は22日とあるが実際に届いたのは24日(つまり当日)の朝。内容も誠実なものとはいえない。このままでは、弁護側の防御が困難であって、迅速な訴訟進行にも支障がある。
    • そもそも正犯の実行行為を容易ならしめたと検察側は言っているが、何が違法行為なのか、Winnyを開発したことなのか、公開したことなのか、わからない。
    • たとえば、ファイル交換ソフトならWindowsですらそうであって、他にも多数ある。他のものも処罰する意思があるのなら別だが、その意思はないのではないか。
  • それに対して、検察側は、釈明する必要はないが任意に答えることとするとして回答
    • 何が違法行為であるかについては、著作権法違反行為を増長させるという状況を認識しながら、あえてそのことを認容し、公開にいたったことである。
    • 詳細については、立証段階で明らかにする。
  • またまた、この回答に対して、弁護側
    • 防御の具体的内容がわからない。例えば、「この機能」と示してもらえれば、防御内容がはっきりするのだが。このままでは空中戦になってしまう。
  • 検察側
    • すでに明らかになっているものである。
  • 裁判所側
    • 現時点では、これ以上は求めない。
  • 弁護側
    • ならば、「立証段階に明らかにする」とは、何時のことか。
  • 検察側
    • 11月1日には。


■証人尋問に関して

  • まず、弁護側から、この段階で証人尋問を行うこと自体について異議申し立て
    • 刑事訴訟法301条において、「第322条及び第324条第1項の規定により証拠とすることができる被告人の供述が自白である場合には、犯罪事実に関する他の証拠が取り調べられた後でなければ、その取調を請求することはできない」との規定は、「客観的証拠→主観的証拠」の流れにしないと、主観的証拠の取調べによって形成された心証に、客観的証拠の取調べが左右されるおそれがあるという趣旨をもつ。
    • 今回、この段階で、Winnyの具体的機能の何が違法であるのかという客観的な証拠を明らかにせず、証人尋問を行うことは、まさに主観的証拠の取調べを先行させるものといえる。
  • 対して、検察側
    • 理由はないものと主張する。
  • 裁判所側
    • 理由はないものとして棄却する。


■証人尋問の内容

  • 証人は、京都府警のハイテク犯罪対策室所属のお二方。まずは宣誓を行い、その後、1人は退廷して、1人ずつ尋問されることに。
  • 内容は、2人とも、被告人のパソコンハードディスクなどを実況見分した際に、次に掲げるものなどを確認したことを、それらが証拠として提出されているため、ちゃんとしたものですよと裁判所で証言するというもの。
    • Winnyのソース及び実行ファイル
    • Winnyを使ってダウンロードしたと思われるCG、アダルトゲームなど
    • “デジタル証券によるコンテンツ流通システム”という論文(→コレのことでしょう。)
    • Winnyの将来展望について 2003/10/10”というHTMLファイル(→コレかな?)
    • 被告人と(別件の)正犯の弁護人とのメールのやりとりの記録
    • 2ちゃんねるの)ひろゆき氏とACCSコンピュータソフトウェア著作権協会)のクボタ(?)氏の対談が掲載された雑誌
  • また、実況検分した内容だけではなく、その手続や方法、手順などについても証言。例えば、次に掲げるようなことです。
    • 証人の所属・役職など
    • 現在の所属に配属された時期及び具体的な職務経験
    • 被告人のパソコンを実況検分する際の具体的手法
    • 2ちゃんねるにおけるID及びトリップの作成方法


■まとめ
 2人の主尋問が終わり、予定修了時刻より1時間は早く閉廷。次回は、弁護人による反対尋問。その予定は、2時間及び1時間ということですので、本日よりも、長くなりそーですね。
 ここから、【情トラ】の感想を少しだけ。終盤、検察側は、「Winnyを使ってダウンロードしたと思われるアダルトゲームの一覧表」を調書に追加添付を求めたのですけど。著作権法違反幇助に係る公判において、それが何の意味を持つのか、ここが今回、全く意味がわからなかった点です。
 検察側は被告人が自らのパソコンハードディスクに違法複製著作物を数多く保存していたことをもって、被告人が違法性についての認識を持っていたと主張しようとしたのでしょうけど、そのなかでもアダルトファイルをことさら強調するのは、(たいへん)主観的(と感じられるよう)な取捨選択なのではないでしょうか。もし、被告人のハードディスクにそれらアダルトファイルしかなかったのだとしたら、恣意的な取捨選択ではないんでしょうが、それは非常に考え難いことだと私は考えるわけなのです。
 なお、今回、フ〜ンと思ったことが、検察官が証人に証拠資料を見せて尋問を行うときには、弁護人も何を見せているのか一緒に確認するんですね。ないことだとは思いますが、何かしらメモ(=一種のカンニングペーパー)を見せて、よりよい証言を得ようとすることを防ぐためなのかもしれません。
 次回は、10月15日。一応、行く予定にしてます。


■参考
 今回の傍聴記をまとめるにあたり、以下を参考にさせてもらいました。