Winny事件関連/予算委員会・質疑応答

 参議院の会議録情報より、「第161回国会 予算委員会 第3号 平成16年10月21日(木曜日)」の会議録を私的に保存。

◆参照URL http://www.sangiin.go.jp/japanese/frame/joho2.htm
■参考 福山哲郎 公式サイト » TOP

※以下は、一部省略(前略、後略ですけど)しています。

(前略)
福山哲郎君 大変力のこもった御発言をいただきましてありがとうございます。是非、災害に関しては与野党関係ありません、内閣挙げて是非よろしくお願いをしたいと思います。
 私、今日、また政治と金についてやらなければいけないんですが、ちょっと政治と金をやり出すと時間がなくなりますので、どうしてもやっておきたい問題について一つだけ、これもちょっと与野党関係ない課題になりますが、ちょっと重要なので御質問させていただきたいと思います。
 実は、今年の五月の十日に、P2Pというファイル共有ソフトの開発者である東大の大学院の助手の金子さんという方が著作権法侵害の幇助容疑で逮捕されまして、三十一日に起訴されるということが起こりました。
 法務省、起訴事実についてお聞かせください。
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 お尋ねの事件の公訴事実の概要は、被告人は、外二名の者が、それぞれ法定の除外事由がなく、かつ、著作権者の許諾を受けないで、著作権者が著作権を有するゲームや映画の著作物の各情報につき、そのハードディスクにこれらの情報が記録されているパーソナルコンピューターで、インターネットに接続された状態の下、ファイル共有ソフトウィニーを起動させ、同コンピューターにアクセスしてきた不特定多数のインターネット利用者に自動公衆送信し得るようにし、各著作権者の著作権を侵害した際、これに先立ち、ウィニーが不特定多数者によって著作物の公衆送信権を侵害するデータの送受信に広く利用されている状況にあることを認識しながら、その状況を認容し、あえてウィニーを自分、自己の開設したホームページ上に公開し、二名の者にそれぞれこれをダウンロードさせて提供し、もって二名の者の犯行を容易にさせて、これを幇助したというものでございます。
福山哲郎君 もう非常に難しいので私も分かりにくいんですが、実は、このウィニーという共有ソフトは、世界じゅうでもう今実は開発競争をやっている非常に優れたソフトで、実はこのウィニーというのは、日本のこの技術者の方が作られまして、非常に優位性があるというソフトでございます。
 実はこれ、逮捕された後、すぐ技術者の間で支援のホームページが立ち上がりまして、カンパだけであっという間に一千六百万円集まったという状況でございます。
 そして、これ実は、総務省もIT政策大綱の中にこのP2Pという共有ソフトについて言及されています。総務大臣総務省のこのP2Pソフトについての見解をお聞かせいただけますか。
○委員長(中曽根弘文君) 総務省鈴木政策統括官。
福山哲郎君 えっ、せっかく大臣が……。
○委員長(中曽根弘文君) 失礼。麻生総務大臣
国務大臣麻生太郎君) やります。ええ、その程度のことなら分かっておりますので。
 P2Pというのは、これ、ピア・ツー・ピアが正確なんだと思いますので、ピートップなんと言う人もいらっしゃいますので、ピア・ツー・ピアが正確なところだと思いますが。
 基本的には、これはもう十六年度IT政策大綱におきまして、書かれておりますのを読み上げさせていただければ、セキュリティーや品質画面の問題を解決したピア・ツー・ピア型公共分野高度情報流通を実現するための技術開発を推進すると決めておるんです。
 したがいまして、私どもとしては、この今でも情報通信研究所等々におきましてこのアクセスのいわゆる管理技術、そういったようなものを研究開発を行っているところなんで、このウィニーだけについて聞けと言われても、今これは係争中の話でありますし、もう既に片っ方は起訴ということになっておりますし、有罪判決も二名のうち一名は出ておりますので、その意味では、この問題についてどうかと言われると、ちょっと答弁はできません。
福山哲郎君 総務大臣の方が私よりもお詳しいかもしれません。
 経済産業大臣、このP2Pの、P2Pのソフトについての開発についてどのような御認識か、お答えいただけますか。
国務大臣中川昭一君) 私も詳しいことはよく分かりませんが、この専門的な話はよく分かりませんが、いわゆるP2Pという、不特定個人間のファイルの共有ということ自体は、ほかにも、このウィニー以外にも今開発されておりますし、ある意味では開発競争、広い意味のこのIT時代のソフトの競争の一つの大きな成果だろうとは思います。
 したがって、今、総務大臣からもお話あったように、一般論として、非常に我々としてもこういう技術があるということはいいことだというふうに思いますが、このウィニーに関しては、今司法当局の手にゆだねられておりますので、このことについての評価については差し控えさせていただきたいと思います。
福山哲郎君 実は今の発言は総務大臣も経産大臣も問題でして、実はウィニーについての認識はお答えいただけるはずなんです、これは技術の問題ですから。要は、先ほど総務大臣が、二人逮捕者が出ていると言って、一人が有罪だと言われると非常に誤解を招くんですが、二人は共有ソフトを使ってダウンロードをして著作権を侵害したから逮捕され有罪になったんです。彼は開発者ですから、金子さんは。そこは全く違うので、そこは難しい話ですけれども、ここは一緒くたにすると非常にこれから問題になります。
 すごい分かりやすい例を言います。
 高速道路を造って、そこで百キロで車が走って、その百キロで走った人が捕まったからといって、高速道路を造った人が有罪になるかというと、有罪になりません。包丁を作って、包丁でこれは料理を、使うためだと思っても、それをだれかがそれを使って何か殺傷事件を起こしても、その包丁を作った人は有罪になりません。これは当たり前の話でして、これは開発者というレベルで御議論をいただきたいんです。
 その点で、ウィニーというものに対してどういう御認識か、お答えください。
国務大臣中川昭一君) ですから、技術という観点だけで申し上げますと、もとより私は素人でございますが、ほかにも同じようなものは既にできているわけでありますから、じゃ、ほかの人たちも、じゃ逮捕されているかというと、そうではないわけであります。ですから、容疑は今刑事局長の方からお話ありましたが、著作権法あるいは著作権法違反幇助という容疑だそうでございますけれども、技術としてはいいということと、それから、例えばこういう問題、一般論として私どものところで今非常に関心を持っておりますが、知的財産の保護という問題、あるいはまたプライバシーの問題、こういう問題も出てくるわけでありますので、いいものを作ったから後は何をやってもいいかどうかということは、それとこれとはまた別次元の問題ですので、トータルとしてお考えをいただきたいと思いますし、今その司法の手にゆだねられているということも、技術のこと以外のことも含めた御判断を今されていることだろうというふうに思っております。
福山哲郎君 じゃ、もう一つ確認しておきます。
 P2Pの、これは確認として、P2Pの開発をこれから日本国内でやっていくということに関しては経済産業大臣としては奨励をしていくということですね。
国務大臣中川昭一君) 不特定の個人間の情報のやり取りを共有できるというものがP2P、ピア・ツー・ピアだというふうに私は理解をしております。私もう本当に分かりませんので、間違っていたら訂正いたしますが。
 だとするならば、私はそれは非常に、先ほど申し上げた、知的財産の侵害がないとか、あるいはまたプライバシーの侵害がないとかいうその法的な、あるいはまたほかの人に対するダメージがないという前提でやれるということは一杯あるんだろうと思います。
 例えば、今、福山議員も冒頭おっしゃられた災害情報なんというのも、ある地域の災害情報、急に雨がこの地域で降りそうだから、もう家族も子供たちも早くもう外に出ないで家に帰りなさいみたいな大容量の情報を瞬時にピア・ツー・ピアで多数にばあっと送るというようなことも、正に今日のこの瞬間にも役立つようなこともあると思いますから、それ自体は否定はしておりません。
福山哲郎君 著作権法侵害幇助でこれまで逮捕、立件された例はあるかどうか、お答えください。
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 御質問については、統計上、著作権法違反ということであれば多々例がございますが、今のようなソフトウエアの、本件のような事例というものは今回が初めてだと、こういうふうに承知しております。
福山哲郎君 いや、もう少し、幇助で立件されたことがあるかどうか、お答えください。
○政府参考人(大林宏君) 統計上、著作権法違反とその幇助罪で区別したデータというものを今収集していませんので、具体的にはちょっと、今の時点ではちょっと把握できません。
福山哲郎君 ちょっと待ってください。僕、昨日、事前の質問していますから、事前の質問ちゃんとしていますから。通告していますから。
○政府参考人(大林宏君) 今申し上げたとおり、幇助罪との関係で分けた統計がないものですから、今の時点ではちょっとお答えしかねるということでございまして、更に調査できるものなら調査したいと、こういうふうに考えております。
福山哲郎君 私の認識では幇助罪で逮捕、立件された例というのはないんですね。そうすると、これ民民なんですね。
 それで、先ほど経産大臣もよく言われましたように、共有できるというのはもうこの技術では当たり前の話なんです。相手は、使った側の問題なんです。
 ところが、先ほど刑事局長は起訴事実のときに、いろんな共有できるものを認識しとおっしゃいました。その認識の問題だと。だって、認識しているのは、開発している人間なんか認識しているに決まっているじゃないですか。それで、いきなり民民のものに警察が出てくるんだったら、幇助罪の成り立つ構成要件を明らかにしてくれないとだれも開発できなくなりますよ。構成要件、幇助罪の構成要件をお答えください。
○政府参考人(大林宏君) まず一般論として申し上げますと、幇助罪の構成要件は刑法第六十二条にありまして、「正犯を幇助した者は、従犯とする。」というのが構成要件でございます。
 今、委員おっしゃられる御趣旨は分かりますが、私どもとしても、このようなファイルというものの譲渡についてすべて犯罪になると、あるいは幇助罪が成立するというふうに考えているわけではございません。
 本件におきましては、ウィニーの作成者の認識といいますか、それが著作権法違反に使われるかどうかという証拠判断の問題、最終的にはその問題に尽きるのではないかと。ですから、ソフト自体、その役目、先ほども大臣の方から御意見ございましたように、ソフト開発自体を捜査機関が妨げると、こういう意思は毛頭ございません。
 ただ、そのソフト、個々の性格を持っておりまして、開発者自体の認識が、そういう著作権法違反の行為が十分行い得るというような状況の下で開発されたというふうな認定がされた場合には、それは犯罪成立というふうに認められる場合があるというふうに承知しております。
福山哲郎君 いや、それなら余計問題ですよ。
 それじゃ、認識ということは内心の問題じゃないですか。内心の問題に警察がいきなり来て逮捕と、こんな乱暴な話ないじゃないですか。今まで幇助罪というのはないんですよ。構成要件も明らかにしていない。そうしたら、これから開発していこうと、世界にこの共有ソフトを、日本で知財だと言っている我が国は一体どうするんですか。これ、開発者がみんな萎縮しているんですよ。法務大臣、僕、実は昨日全部法務大臣と……
○政府参考人(大林宏君) 今のことについて御答弁申し上げますが、これは先ほどから出ていますように、既に刑事裁判にかかっている問題でございます。具体的な証拠関係について言及することはできませんけれども、内心的意思にとどまっている限りという形で、それだけで刑事裁判になっているかどうかということについて具体的には申し上げられませんが、それはそれなりの証拠収集がなされているというふうに考えております。
福山哲郎君 じゃ、今回、ウィニーのどこが問題で、どうすれば開発者は逮捕されなかったのか教えてください。
○政府参考人(大林宏君) 個々の事件でございます。現在、裁判中でございまして、その裁判結果を待たなければこの行為に対する評価ということは、言及することは困難だというふうに思います。
福山哲郎君 これまでの議論を聞かれて、法務大臣、どうお考えですか。
国務大臣(南野知惠子君) お答えいたします。
 この事案につきましては、検査当局において、法と証拠に基づいて適切に処理していると考えております。
 御委員の御指摘のとおり、ソフトウエアに関しましては様々な議論がございます。今後、更に勉強しながらそういった問題についても……。
 以上です。
福山哲郎君 もう時間がもったいないのであれですが、これ公判終了まで時間が掛かっている間、世界じゅうではP2Pのソフトの開発を進めているんです。
 もう一個、経産大臣、経済産業省に未踏創造プロジェクトってありますよね。何でしたっけね。未踏ソフトウエア開発事業ってありますよね。その概要についてお答えください。
国務大臣中川昭一君) 御指摘の未踏ソフトウエア創造事業というものは、経済産業省の関連団体でございます情報処理振興事業協会というところが実施しております事業の中でこの事業がございます。
 関係あるかという御質問が次に出てくるんだとすれば、次に……
福山哲郎君 もうお答えください。
国務大臣中川昭一君) いいですか。
福山哲郎君 はい。
国務大臣中川昭一君) この未踏ソフトウエア創造事業に、この今回その著作権法違反幇助罪で逮捕された人を含めた人々が、複数のメンバーが申請いたしました事業に対しましてこの情報処理振興事業協会未踏ソフトウエア事業の支援事業になっております。
 ただ、また次に御質問が来るかと思いますので。よろしいですか。
福山哲郎君 ありがとうございます。はい、どうぞ。
国務大臣中川昭一君) この事業と今のP2Pのウィニーの開発とは全く関係しておりません。
福山哲郎君 今お話しいただいたように、実はこの金子さんというのは、経産省の平成十二年、十三年度の双方向型ネットワーク対応仮想空間共同構築システムというもののプロジェクトチームのメンバーで仕事をしている方なんです。それぐらい実はこの方は優秀な方だったんです。
 ですから、こういうときに、幇助罪という今まで例がないもので逮捕されたら、開発者はみんなうろたえるんです、動揺するんです。
 もう一度聞きます。
 この幇助罪についての構成要件をお答えいただかないと、これ、開発者がみんな注目しているんです。お答えください。
○政府参考人(大林宏君) 幇助罪自体の定義は先ほど申し上げたとおり、「正犯を幇助した者は、従犯とする。」ということでございます。
 ただ、もう少し詳しく、要するに今の構成要件の問題について、違法性の問題ですけれども、先ほども申し上げたとおり、すべてのそういうソフトが、譲渡、提供が犯罪になるというものではないということが基本だと思います。
 ですから、委員御指摘のように、そういう開発行為自体を妨げるような犯罪、あえて犯罪を作ってそのようなものを妨げるという意思は私どもにはございません。個々具体的な事件において、その証拠を判断して決めるしかないというふうに考えております。(発言する者あり)
福山哲郎君 答えになっていない。僕は一般論として、一般論として、答えてない。答えてない。
 ちょっと理事、お願いします。あれじゃ答えにならない。
○委員長(中曽根弘文君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
福山哲郎君 じゃ、本件の違法性と構成要件に絡めてお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 構成要件について今お尋ねですので、まず著作権法違反というのは、もう御案内のとおり、著作権法に、著作権を侵害した者については、三年以下の懲役又は三百万円以下の、ごめんなさい、三百万円以下の罰金に処するというまず構成要件があります。
 それから、先ほども申し上げたとおり、幇助については、先ほどの幇助行為というその刑法の定めがありまして、幇助行為とは、一般に実行行為以外の行為であって、正犯の実行を容易にするものと、こういうふうに解されております。これが構成要件でございます。
 それから、違法の問題をお尋ねでございます。個々の行為が著作権法違反に該当するか否かは、収集された証拠に基づいて判断される事柄でございます。今の違法というのは、その構成要件、今のような、まず著作権違反の行為があります。お客さんの方というか、譲受人の方があります。それに対して、その著作権法違反を容易にするような行為についてどの程度認識していたかということが証拠上の一番問題だと思います。
 ですから、そこは、私もウィニーの詳しいことは存じませんけれども、公判中のものでございますけれども、一般的に言えば、そのウィニーの性格、あるいは作られた方の認識、これは認識は内心のものも含みますし、いろいろ御本人が第三者に対して発信されている言葉とかいろいろなものが総合的にどのような認識を持っていたのかということを最終的には判断して起訴されたものだと承知しております。最終的には裁判所の判断を待つより仕方がないと私どもは考えております。
福山哲郎君 金子さんは、自分のメルマガとか2ちゃんねるへの投稿に、人の著作物を勝手に流通させるのは違法ですので、そこを踏み外さない程度でテスト参加をお願いしますとか、このソフトにより違法なファイルをやり取りしないようお願いしますという書き込みさえしているんですよ。
 どうお考えですか、今のを聞いて。内心の問題だという議論なんですか。
○政府参考人(大林宏君) 今のは正に証拠の問題でございます。委員が御指摘のような形のそういう発言があるとしたならば、それをどう見るかという、そういう証拠判断の問題だというふうに思います。
福山哲郎君 アメリカやカナダでこのファイル共有のソフトがどういう判例があったか、お答えください。
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 お尋ねにつきましては、起訴当時、様々な報道がなされたことを承知しております。法務省として、今御質問の件を正確なところを収集しておりませんので、具体的なところは私ども分からないという状況にございます。
福山哲郎君 昨日、事前通告していた。そんなの、調べりゃしまいじゃないですか。
国務大臣中山成彬君) お答えいたします。
 著作権侵害の幇助罪に関するアメリカ及びカナダにおける刑事裁判事例は、把握しておりません。
 なお、アメリカにおけるファイル交換ソフトの主な民事裁判事例といたしましては、ナップスター事件及びグロクスター事件が挙げられます。
 ナップスター事件は、中央サーバーを通した中央管理型のファイル交換システムを用いて著作物のファイル交換を行うことが著作権侵害に当たるとして、アメリカのレコード業界がナップスター社を提訴したものであり、連邦控訴裁判所は二〇〇一年、ナップスター社の著作権間接侵害を認めました。
 一方、グロクスター事件は、中央サーバーを介さない非中央管理型のファイル交換システムを用いて著作物のファイル交換を行うことが著作権侵害に当たるとして、米国の映画業界、レコード業界等がグロクスター社を提訴したものでありますが、連邦控訴裁判所は二〇〇四年、グロクスター社の著作権間接侵害を否定しました。その後、連邦裁判所に上訴されております。
 また、カナダにおきましては、カナダのレコード業界がインターネットサービスプロバイダーに対して非中央管理型のファイル交換システムを用いたユーザーの身元の開示を要求した事件で、連邦裁判所は二〇〇四年、ユーザーのダウンロード行為は個人使用のための複製行為であって著作権侵害には当たらないとした裁判例があります。
福山哲郎君 という状況なんですね。
 これ実は大変問題だと思っていまして、共有ソフトを使って新しいビジネスをしようとしている会社もたくさん出てきています。提訴が、この裁判というか、判決が出るまでみんな実は結構動きにくい状況になっておりまして、これ、経産大臣どう思われますか。
国務大臣中川昭一君) 著作権法そのものは文部科学省でございますから、私の所管ではございませんけれども、私も、音楽を聴くときに、個人用に昔でいうと録音する、今でいうとダウンロードするのは問題ない、それ以外の使用にしてはいけないということが明示、書いてありますし、私はそういうふうに理解をしております。それが不特定多数の方々のところに行くということはどうなのかというところが、多分、今司法当局のところに行って判断を仰がれているんだろうと思いますけれども、経済産業省といたしましては、とにかく、先ほど台風情報、災害情報の例を申し上げましたけれども、いろんな形で有用な使い方があると思いますし、それはやはり法律に違反をしないということが前提であると思いますし、法律に違反するか違反しないかは捕まって裁判をしてみなければ分からないというものでも私はないというふうに思っておりますので、その辺のことはないようにしながら、しかしその技術の進歩、それによって利用されるユーザーの皆さんの利便というものが前進していくことを我々としてはお手伝いをさせていただきたいというふうに思います。
福山哲郎君 今の御答弁、分かるんですが、もう一度確認、確認というか、確認します。
 著作権法の侵害は違法なんです。それは私も認めているんです。開発をした人間が幇助で捕まっているんです。いいですか。著作権法で違反した人間が、侵害した人間が捕まるのは、それは当たり前の話なんです。幇助で捕まっているから、開発者が、じゃ、こういう共有ソフトをこれからどんどん開発していったら、どこでだれがそれをダウンロードして使うか分からないのに、その人が何か違法なことをしたら自分が捕まってしまうんだと思ったら開発できないだろうという話を私はしているんです。
 これ、竹中大臣はよく、お詳しいと思いますが、どう思われますか。突然振って申し訳ありません。
国務大臣竹中平蔵君) あのナップスターの件以降、P2Pに関しては様々な議論が専門家の間にあると思います。そのための開発競争、日本もしっかり取り組まなければいけないということで、経産省もしっかりやっておられると思います。
 恐らく、これは私は全く当事者ではございませんが、今のやり取りを聞いて一つ思いましたのは、今委員が、道路を造っても罪にはならないだろう、それを違反して走った人が悪いんだろうと。ただし、もしもこの人は、例えばその先に行って放火をしたいと、そういう犯罪性を持っているということが分かっていた上でその人の逃亡を助けるような道を造ったんであるならば、それはその道を造った人はやっぱり罰せられるであろうと。恐らく、それがどういうことなのかと、それがそういう目的を持っていたのかどうかということが裁判で争われているのではないかと思います。
福山哲郎君 まあ、そういう御判断をください。
 我々は、実は一太郎というソフトがあったのが、いつの間にかマイクロソフトに全部席巻をされました。この改良、共有ソフトは、実は日本のこの金子さんの技術は世界的にも非常に優れた評価がありました。それが逮捕をされることになりました。私は金子さんをかばうわけではありません。その違法性が本当にあれば、それは公判で争えばいい話だと思います。しかし、この時期にこういうことをしていることは、私は非常に損失だと思いますし、ましてや経済産業省が開発プロジェクトチームの一員に加えていたような人を逮捕した。
 僕は、京都府警が逮捕したことに対しても、サイバー室というところが、実は一生懸命これ、今サイバー犯罪を取り締まりたいということに対して頑張っておられることも評価します。しかし、ここは総務省経産省法務省もみんなばらばらの対応で、どこが内閣挙げて知財立国なんですか。総理、一言最後、御感想をください。
内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、経産省が逮捕したというのは、それは……
福山哲郎君 経産省じゃないです、京都府警。
内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、経産省、かつて協力していた方であって、別に経産省が逮捕したわけではないと思っております。
 私は、IT、これは日本のみならず、世界がいかにIT国家になろうかと今しのぎを削っている。日本としてもIT世界最先端国家になろうと努力している。同時に知的財産立国を目指している。この双方を実現する。インターネットにおける著作物をいかに保護するかと、これは極めて大事でありますので、関係省庁連携して双方が実現できるように今後適切に対応していかなきゃならないということをお話を聞いていて感じました。
福山哲郎君 最後に付け加えておきます……
国務大臣麻生太郎君) 関連させて、関連させて、福山先生のお話ですけれども、この金子先生の話は、有能であることはもうかなり、分かってない人は全然分かってない人になるんですけれども、分かっている方においちゃ、もうこの方もう極めて有名な人です。
 しかし、その本人が五月十日のその当日に供述しておられる内容をここに、新聞報道ですが、結果的に自分の行為が法律とぶつかるので逮捕は仕方がない、コピーが簡単にできるネット社会が放置されていることに疑問を感じる、変えるには著作権法違反状態を蔓延させるしかないと考えたと供述しておられるそうです。あくまでも法律、新聞の話ですからね。新聞に書いてある話が全部本当だったら世の中あれですけれども、ここにはそう供述したと書いてあります、この新聞によれば。
 私どもの立場としてこれどうするんだと言われるんであれば、これは、便利なものができてくるとそんな、世の中便利になる、安くなる、非常に利便に供するというのは確かですが、それと同時にそれを悪用するのが出てくることもまた確かなんで、恐らく常に世の中そういうものだと思いますんで、このバランスが、このコンテンツ、コンテンツ、その使い方の、利用する人の倫理とかいろんなものが関係してきますんで、これは常に追っ掛けっこなんだとは思いますけれども、私どもとしてはこれバランスを取ることが大事なんであって、この種の便利なもののソフトというものは、これは私ども政府としては積極的に開発を進めていく、かつそれは著作権法とうまくバランスさせていくという、そこのところ、作り方が難しいと申し上げているんであって、政府としての中、何かばらばらというわけではないという具合に御理解いただければと存じます。
国務大臣中川昭一君) 今総理からもお話ありましたが、まず一つは、ITで政府が一体となって世界一を目指そうとやっております。それから知財においても、若干アメリカ等に比べると後れぎみであった知的財産立国、つまり権利の保護と、権利、その法、価値の利用という両面をどうやって、その法制度も含めてやっていこうということもやっております。これはまあ一見矛盾するようですけれども、実は矛盾しないと私は思っております。知的財産がきちっと守られることによって更に技術の進歩があるというふうに私はとらえたいと思っております。
 そういう意味で、今回のこの不特定多数の間の個人間の情報のやり取りソフトと、大変すばらしいことだろうと思います。でも、それはそれとして、今、麻生大臣や竹中大臣からも御答弁ありましたように、やっぱり必ずその一つの政策を進めていくと何か弊害なり障害なり、また課題が出てまいりますから、それが知的財産の権利の問題である。
 つまり、知的財産を持っている方の、コンテンツをそもそも持っている方から見れば、どんどんどんどんそれでもって結果的に、結果的にですよ、大勢の人に、一枚幾らで買ってもらえたものを、ただでダウンロードされてどんどんどんどん配信されちゃったんじゃ、これはこれでまたコンテンツの問題としていかがなものかという問題が知的財産の側からの論理としてあるわけでありますから、その辺も御理解いただいて、後は司法判断を待ちたいというふうに思っております。
福山哲郎君 私は、麻生大臣や中川大臣がおっしゃられたことに対して異論を唱える気はございません。今回に関しては、別に政府を何かやり込めたいみたいな思いで言っているわけでもございません。逮捕が不当だと言っているわけでも、先ほどから申し上げているように、言っているわけでもありません。その構成要件をはっきりさせていただく、幇助というものが初めてだったと。こういうことがこれからも起こり得るかもしれないので、是非、内閣の皆さんに御認識をいただきたいと思ってお話をさせていただきましたから、知財が大切だ、それによって悪用する人間も出てくる、そのバランスをどうするかという議論は重要だと思いますが、あいまいなほど実は開発者は不安だということは御認識をいただきたいということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 では次、政治と金に行きます。
 実は、先ほどからのウィニーの件は南野大臣にお答えをいただきたかったんですけれども、なかなか厳しそうだったので。
(後略)