第3回「メーカーにおける品質と知的財産」

 5回連続講座「知的財産をめぐる潮流−知的財産の管理から経営へ」の第3回目。本日は富士通株式会社品質保証本部長が講師です。

  • 検査と品質保証

 検査は、決められたことをきっちりやることが大事となる。しかし、お客様のニーズにきちんと応えているかどうかは関係ないという企業のロジックである。
 対して、品質保証は、検査よりも責任が重くなる。例えば、パソコンでいうと、ハードの検査OK、ソフトの検査OKとなっても、この両者をくっつけるとNOといくケースも考えられる。そのため、全てのプロセスについて、お客様の視点で見直すことが必要となるのである。

  • ノウハウ伝承の難しさ

 過去に経験した問題が再発することもある。それは、その問題が起きた昔に決めた対策ルールをただ単に金科玉条として守っていることなどが原因ともいえる。大切なことは、ルールを守ることではなく、なぜそのようなルールを作ったのかを理解して行動することなのである。しかし、時間の経過や事業環境の変化に伴い、「なぜそうしたのか」というノウハウを伝達することが困難化していることも事実であり、いかにシステム化するかが問題であろう。

  • 技術者と法律相談

 技術部門が法務と相談する際には、とにかく生の事実をだしてもらうことが肝要である。技術は中途半端に法を知らないほうがよいというときもある。中途半端な理解で、事実を勝手に取捨選択していては、本当に大事な事実が把握できないこともあり、その点だけは気をつけるように言っているところである。