第4回「知的財産・資産をめぐる国家戦略」

 5回連続講座「知的財産をめぐる潮流−知的財産の管理から経営へ」の第4回目。本日は経済産業省経済産業政策局知的財産政策室長が講師です。
 今日の講座が、一番、あぁこの講座受けていてよかったなと実感。次は、前回の分かな?講座の順番が個人的には悪かったのではないかと感じてまっす。

  • 経済発展に向けた戦略

 グローバルな市場、グローバル化された制度の中での「レント」の確保がわが国経済の活力維持の鍵となる。日本は製造業が強いが、その製造業こそは、各種のノウハウなどの知的財産が非常に重要な産業である。しかし、企業は自らの強みがいかにしてレントとして実現していくかをハッキリ認識していない。こうした現状に対して、単に知的財産を大切にしようということではなく、経済の持続的発展こそを目的として、そのなかで知的財産を正しく評価し、正しく価値付けしていくかが必要となると考え、そうした環境なり、システムを整備するのが政府の役割なのである。

  • 社会システムとしての好循環サイクルの形成

 企業の強みに関する適正・戦略的な開示を推し進め、それに対する市場・投資家から適切な評価をする仕組みをつくりだすことにより、そのシステムを利用した企業と市場(投資家)の対話によって、更なる知的資産創造が行われるサイクルをつくることが求められている。

  • 新たな開示の仕組み

 各企業は、それぞれ企業価値の源泉となる企業哲学を持っているため、企業の特徴を表す指標は企業ごとに異なることになる。そのため、アナリスト、投資家、ステークホルダーが開示された指標から単純に企業比較することは、本来的に困難となる。では、その難点をどのように解決するべきかというと、これは、誰にでも一見して比較できる程度の比較可能性を求めないことに尽きるのではないか。例えば、子どもから見たとき、大人から見たとき、お年寄りから見たとき、男性から女性から見たとき、それぞれの視点からの評価をそれぞれが行うことが必要なのではないか。求められるのは、知的なアナリストやステークホルダーにとって、何らかの形で比較可能なものをつくることであって、それぞれの比較の結果が異なってよいという態度である。