第5回「知的財産管理から知的財産経営への流れ」

 5回連続講座「知的財産をめぐる潮流−知的財産の管理から経営へ」の最終回。本日は大阪大学大学院高等司法研究科教授が講師です。

  • ブロードバンド・インターネットの時代に求められる「情報」とは

 過去は、マスメディアによる、いわば画一的一方的な情報提供がなされていた。未来においては、パーソナルニーズに合った情報提供が求められると考えられるところである。
 このパーソナルニーズに合った情報とは、「サービスの提供者」からの一方的な情報ではない。なぜなら、そうした画一的一方的な情報提供では、それぞれの「個」のニーズに対応しきれないからである。ならば、どのような情報が、パーソナルニーズに合った情報とされるのか。これは、「サービスの利用者」の声を集約し、それを体系的に編集したものこそが必要とされるのである。
 この「声の集約」には、個人自らが情報の発信者となる必要がある。そして、それらの情報を各個人の知識の差異に関わらず、同じ意味を理解できるようにする情報提供の仕組みが求められているのである。

  • 知的財産とは

 多様でありながら編集された情報と、その情報を提供する仕組みづくりこそが、知的財産といえるものである。言うならば、第三者が活用できるようにしてこそ「知的財産」であり、そのためには、「(1)信憑性、信頼性の確保」、「(2)当事者意識の共有」、「(3)管理体制の整備」が必要になるのだ。

  • IT政策に係る法体系の変遷

 著作権法をはじめとして、IT政策にかかる法について様々な見直しが進んでいるのが、現在の特徴である。そこで、単に見直しがなされつつあるとの認識を持つだけではなく、見直しがなされつつあるなら、それをふまえて企業としてどうするのか、というビジョンを模索することこそが大切であり、必要である。