市民裁判員先行記第14回/Winny事件第6回公判

 京都地裁Winny事件。著作権法違反幇助に係る事件。第6回公判に傍聴に行ってきました。今日も、傍聴券は先着順です。先日の正犯判決公判は,その余りの寂しさに驚いたわけですが、それと比べると、さすがに多い傍聴人数。あと、今日は、今まで見かけたことがない方が少し多めにいらっしゃるようでしたが、、この方々は、おそらく京都弁護士会による、次の行事の参加者のみなさんですね。公判における証人尋問について、検察側の主尋問、弁護側の反対尋問を傍聴できたわけですが、内容自体は、わかりにくかったのではないかと。
◆参考 裁判を傍聴してみませんか?


■傍聴前について

  • 13:00ごろ 今日は、遅めに着いたわけです。それでも、30〜40番目ぐらいかな。
  • 13:10ごろ 今回も、裁判所の職員さんから、注意事項の説明など。本日はさほど聴こえませんでしたが、いつもと同様のアナウンスのようでした。
  • 13:20〜 入廷開始。今回もバックを預け、身体検査(ポケットにモノが入ってないかどうか程度)。毎度毎度の101号法廷です。
  • 13:30 私が入廷したら、すぐに裁判官が登場されて、いざ開廷。


■公判内容について(※注※ 以下はあくまで【情トラ】の個人的なメモを、【情トラ】の理解も含めて簡単にまとめたです。全てを再現しているわけでは勿論ありませんし、また、私の理解不足や事実誤認などもあるかもしれません(、いや、必ずあるはずです)ので、ご注意を!)
◆また、一応、聴き取れた分についてはメモしてますから、もっと詳細に再現することも可能ではありますが、概要をまとめるだけにしますのでご了承ください。非常に詳しいまとめもあるはずですので、そちらも参考に。

■なお、Winny(ウイニー、ウィニー)事件公判傍聴録/【情トラ】まとめ(概要も含む。)は、次に掲げています。ご参考まで。
【おっかけ情トラ】市民裁判員先行記 - 【情トラ】附゛録゛



■今回は、3名の証人に対する尋問です。ただし、予定していたうちの1人が体調不良とのことで、急遽(2日or1日前に)違う方へと変更となったため、その3人目については、弁護側の反対尋問は行うかどうかわからないということに。

■と、ここで、検察側から。「2ちゃんねる」において、ある(←【情トラ】により、ぼかしておくことにします)スレッドが立てられているとのこと。それゆえに、本件に関する捜査体制を明らかにするような尋問は、相応しくないといった旨の発言が。それに対して、弁護側からは、検察側のほうで捜査の重要な部分を明らかにしないので、やむを得ず行っていることであるとの趣旨の反論。うーん、思わず、これまでの傍聴録を確認しましたが、【情トラ】としては、個人名を出さないよーにしておこうと何となく思っていたので(、ブログ等を公開されている壇弁護士を除いて)、記していませんでしたが、本当は書いちゃいけないってことはないでしょうしね。。

■そんなこんながあって、本日の3人の証人が宣誓。そのあと、その3人の尋問順序をめぐって弁護側から意見。今まで、Winnyの送受信実験に関わった証人の尋問を行ったが、現場にいた送り手と府警にいた受け手がいるうち、送り手側の証人ばかりであった。今日は、送り手側にいた証人と受け手側の証人がいるわけだから、受け手側の証人から尋問をしてほしい、という旨の要望。これに対して、裁判所は合議をしたうえで、当初、検察側が言ったとおりの順序のままに尋問をすることに。


■1人目の証人に対して、まずは検察側から主尋問。尋問初登場の検事さんが、技官である証人(※京都府警側のルータの設定などを行っている担当とのこと)に対してです。以下は、そのうちで個人的に印象に残ったもの。

    • 正犯(ゲームボーイアドバンスのロムデータの著作権法違反行為に係る正犯)宅のパソコンから京都府警のパソコンに、Winnyを使ってファイルの送信ができるかの実験について。
      • 担当はコンピュータの操作。予め用意していたファイルは「キーロストによる切断」のため送信できなかったので、ファイルサイズを縮小して最終的には送信できたことを確かめた。どうして、切断されたのかはわからない。
    • Tipsページの作成者宅のパソコンの検証について。
      • ここでも、担当はコンピュータの操作。パソコンを解析したところ、「Winnyの操作方法」や「47氏語録」が確認できた。


■続いて、弁護側からの尋問。イロイロと話がかみ合わないところが多々あったのですが、以下は、そのうちで個人的に印象に残ったもの。

    • 正犯宅(愛媛)での送信実験においては、結局、2MBを超えるものは送信できなかったといえるか。
      • 「できなかった」のではなく、時間的な都合により「しなかった」のである。そのまま放置していたら、また、つながって送信できると思う。
    • 大きなサイズで送信できなかったときに、ファイルサイズを縮小することは、どのように決めたのか。
      • 電話にて上司の指示を受けた。
    • Tipsページの作成者のところには、著作権法違反幇助の嫌疑で検証にいったと思われるが、この場合、誰が正犯で、どのような幇助行為があったとして、検証したのか。
      • 誰が正犯であるかわからない。上司の指示に従って検証しただけである。幇助行為の内容もわからない。
    • では、Tipsページから、Winnyはダウンロードできたか。
      • 覚えていない。
    • Tips作成者のところでもWinnyの送信実験をしているが、そこで送信したファイルサイズは約1MBか。
      • はい。
    • それより大きいサイズのファイルは送れないということか。
      • 検証ではわからなかったということ。
    • キーロストによる切断の原因は。
      • 検討していない。
    • 時間的な都合で、大きなサイズの送信実験を続けなかったとのことだが、続けなかったことの判断は誰がしたのか。
      • 最終的な判断は上司。
    • 京都府警から送信することはしなかったのか。
      • しなかった。なぜ、しなかったかは、聞いていない。


■1人目は、14:50ごろ終了(ここで、京都弁護士会による裁判傍聴行事の参加者のみなさんは出ていかれました。)。そして、2人目の方に対する尋問。検察側からの主尋問については、特に印象に残るところはなかったです。他の証人への尋問とほとんど同様に、これまでの経歴や捜査経験、証人が作成した調書に関する内容の確認と署名押印等の確認がなされました。弁護側からの尋問のうちで個人的に印象に残ったものは、以下のとおり。

    • 正犯宅(愛媛)からの送信実験では、50MB、2MBのファイルは送信できなくて、600KBのファイルが送信できたということか。
      • 結果としては、600KBしかできなかったということ。時間帯やネットワーク環境がかわれば、大きなサイズのファイルもできたかもしれない。
    • 送信できなかった原因は。
      • 今でもわからない。
    • ゲームボーイアドバンスのロムデータは700MBほどあるが、実験に使うファイルを50MBにしたのはなぜか。同じ大きさがダウンロードできるかどうか実験しようという認識は。
      • わからない。認識はなかった。
    • 本件の被告のサイトには、Winnyに関する説明は記載されていたか。たとえば、インストールをどのように行うかなど。
      • わからない。
    • Winnyを動かすには、初期ノードの設定が必要だとの説明はあったか。
      • わからない。
    • Winnyの操作中、対処に困ったときに、Winnyのなかで「このようにせよ」などど示されたりしたか。
      • いいえ。
    • 大きなサイズで送信できなかったときに、ファイルサイズを縮小することは、どのように決めたのか。
      • 現場の者との、電話での話し合いで。


■2人目は、15:55ごろ終了。続いて、3人目の方に対する尋問。3人目の方は、「初期ノード」に関する情報をネット上で提供していたサイト作成者のパソコンを検証されたとのこと。検察側からの主尋問については、特に印象に残るところはなかったです。他の証人への尋問とほとんど同様。弁護側からの反対尋問は、次回期日に行うということに。


■最後に、裁判所側から、次回以降の期日が指定されて、16:05ごろ閉廷。なお、期日は次のとおり。

      • 平成17年1月14日(金) 13:30〜
      • 平成17年2月4日(金) 13:30〜
      • 平成17年2月25日(金) 13:30〜
      • 平成17年3月18日(金) 13:30〜

◆【情トラ】まとめ
※本日の傍聴録も、最初に掲げた注意書きを特に注意してください。
 今日の1回で、検察側主尋問と、弁護側反対尋問の両方が行われたわけですが、両者の違いは次のように言えるのではと(【情トラ】は)思います。
 つまり、基本的に、検察側からの尋問は、証拠とする検証調書の内容確認のため。弁護側からの尋問は、その検証内容が、捜査手法や捜査員の知識、認識等をすべて含めて「信頼できるものではない」ことを印象付ける証言を引き出すため。そんな感じで言えるかなと。
 ただ、単に「信頼できない」と感じるかどうかは、パソコンやネットワーク、Winnyに関する知識があるかどうかに左右される感じがします。【情トラ】個人としては、証人と弁護側のやりとりを聴いていると、証人側に対して「適当やなぁー」ってツッコミたくなることは、多々あるのですが、そうは言っても「最低限クリアしておかなければならない」トコロは、きちんと押さえた捜査・検証内容なのかもしれません。ハッキリ言って、現段階では、【情トラ】には判断つかない状況なのですね(※もちろん判断つかない私が悪いってのが、最も大きな原因ですが。)。
 そうした状況のなかで、「こうしたことが、本件では大きな争点になるんじゃねぇの」って気がしたのが、次のような趣旨のやりとり。

    • 本件被告のサイトに、Winnyに関する説明(インストール方法や初期ノードの設定方法などについて)は記載されていたか。
      • わからない。
    • Winnyの操作中において対処に困った場合、Winnyによりヘルプが示されるか。
      • いいえ。

 これらのことが、本件被告が「著作権法違反行為を増長させるという状況を認識しながら、あえてそのことを認容し、公開にいたった」という検察側の主張と、どう関連するのか。本件被告は、「Winnyの使用方法について、懇切丁寧に解説したりしていない」として、「著作権法違反行為を増長させようなんか考えてもいなかった」と弁護側が主張することになるのでしょうか。

※アレッ、「Winny裁判を切る」って削除しちゃったんですか? まさか、、本日の冒頭のやりとりが関連しているのではないですよね?