市民裁判員先行記第16回/裁判を傍聴してみませんか?

 本日、参加させていただいたのは、次の催し。
裁判を傍聴してみませんか?(京都弁護士会主催)


■1週間前までに往復葉書を送り、抽選されたのかどうかはわかりませんが、16人という定員に入ることができたので、本日、京都弁護士会及び京都地方裁判所の協力(?)のもとで裁判傍聴することができました。


■まずは、12時30分までに京都弁護士会館内の会議室に集合。ちょっと入りづらい雰囲気はあるのですけど、今日は、招待状(返信葉書)があるしなぁ。もうすでに何人かの方々が来られていて、【情トラ】のあとにもまた続々と来られて会議室はいっぱいに。参加者は、老若男女それぞれいらっしゃいましたが、やはり壮年層の男性はいらっしゃらないのと、めちゃ若そうという方もいなかったような(←【情トラ】の主観によります。)。
 定刻になり、京都弁護士会でこの傍聴などの市民広報を担当されている方のご挨拶とご説明がありました。これについては、ほぉほうと思いながら聴くことができたのですけど、配布された資料(裁判の流れなどをしめしたフロー図など)は、何かの書籍のコピーではなく、オリジナルのものを作成されたほうが見た目もいいし、わかりやすさが追求できるのではないかと、余計なお世話を思った次第。


■さて、本日、傍聴する公判は、民事で医療過誤に関するものとのこと。へぇ、最近は刑事(著作権法違反幇助事件ですが。。)ばっかり傍聴していたから、民事とは、また、よい機会やなぁと思った【情トラ】。しかも、医療過誤ですか、おそらくは、証人尋問を傍聴するのでしょうから、どういう立場の証人かも気になるな。まっ、この段階では、詳細はわかりませんが、いずれにしても関心をひくような公判を選んでいただけたようです(※後から気づいたのですが、この傍聴する公判は裁判所側が選んでいただいたよう。おそらくは。そんな感じがしましたし、そもそも担当の弁護士さんも、他の弁護士担当事件の内容などわからないので、何の公判がよいとかいったことを考えることすらできないはずですしね。)。


■13時になり、京都地裁へと移動。玄関口にて、その日に開廷される公判が閲覧できるファイルの説明などをされたうえで、傍聴する法廷に。何でも裁判長から、開廷前に少し時間をとるとのお話。へぇーーー、サービスいいんですねぇ。
 そんなこんなで、入廷。各々、席に着いたら、裁判官が御三方入廷。医療過誤ということで合議制をとられているようです。そこで、なんと裁判長から開廷までの時間に「事件の概要を説明しておきますね」とのお言葉っ!! その概要とはだいたい次のとおり。

    • 医療過誤の事件。原告は脳梗塞で亡くなられた方の配偶者及びそのご子息。被告は診療してもらっていた医療法人。内容は、亡夫には脳梗塞の症状があり、投薬がなされていた。同時に、ジンマシンがでて、かゆみがとまらないために、同病院の皮膚科にて診察してもらったところ、薬疹の疑いアリとの結果。そこで、一旦、脳梗塞に対する薬の投薬を止めて、どの薬が原因かを調査しようとしたところ、中止後10日ほどのちに脳梗塞が再発、死亡されたとのこと。このことに対して、「投薬の中止の仕方に過誤があったのではないか」と訴えが起こされた。今日の公判では、その皮膚科の医師に対する尋問がなされるということ。

 わかりやすい説明で、開廷するまえに心構えができたこともあり、有意義な傍聴ができそうな感じがしました。


■で、実際の公判を傍聴。まずは、被告側弁護人からの主尋問。診察や検査については、通常用いられる手順をふんで、大きな過失というものがなかった旨の証明をしようという趣旨をもった尋問だと感じました*1。おそらくは、事前に代理人とも打ち合わせを積み重ねていたのでしょう。滞りなく尋問が進んでいった印象を受けたところです(【情トラ】だけではなく、他の方々もそのような印象を持たれたよう。)。
 そして、原告側弁護人からの反対尋問。こちらは、診察や検査について、落ち度があったのではないかとして、そうした印象を引き出そうとしての尋問です。こちらのほうは、原告側代理人の質問と原告側証人の回答が、かみ合わないところが多々あり、結局、尋ねたことの回答を引き出せていないにもかかわらず、尋ね方や視点を変えた再質問をしないままに、進んでいってしまった印象。他の傍聴者も、後ほど別室で「素人考えなのですが、、、」と前置きして質問する原告側弁護人に対して、疑問を示されていました。
 とまあ、詳しくは描写しませんが、イロイロと思うところがあった公判内容なのでした。


■公判終了後は、原告、被告双方ともに、退廷されたあとで、裁判官のみなさんのご好意で、質問ターイムッ。【情トラ】からも、ひとつだけ(あたりさわりのない)質問を出させていただきました。

    • 民事事件における合議制(裁判官3名)と単独制(裁判官1名)の判断は、誰がどのようにして決めるのでしょうか。 その具体的な判断基準はあるのでしょうか。
      • 刑事事件の場合は規程で決まっているが、民事事件の場合は、「世間からの注目度」や「医療過誤訴訟のような専門的事件」であることなどを勘案して、裁判所管轄部において決定する。

 ほぉ〜、ある意味、裁量で決められるのですね。とすると、専門的事件を扱った経験とその専門的知識を有する裁判官がいるとするならば、「専門的事件」であっても単独で行うこともあるということなのでしょうか。まっ、そうした専門的判事は、今のところイナイということになっているのでしょうけどね。
 その他、いくつか質問があり、それぞれに答えられる範囲でお答えいただき、非常にタメになりました。そのあとは、別室に移って、この傍聴会を担当された弁護士さんにも、いくつか質問などさせていただき、解散ということに。


■以上、公判内容もナカナカに興味深いものでありましたし、何はさておき裁判長のサービス満点ぶり! モチロン主催者側の弁護士さんたちにも感謝です。 ありがとうございましたっ!!

*1:かな?