広告というメディアと、どう接するか?

 本日の講師は、長嶋宣夫 氏(株式会社 I&S BBDO)。コピーライターとのことであり、「広告という視点からの、メディア・リテラシー」を考えるという講義でした。

■サイト I&S BBDO | The Work. The Work. The Work.


(※以下は、あくまで【情トラ】の個人的なメモです。講義内容及び配布資料等の情報をもとに、私見も入れつつ構成しています。また、私の理解不足や事実誤認などもあるかもしれません(、いや、必ずあるはずです)ので、ご注意を!)

  • テレビについて

 高知県の小学生に、テレビに関する調査をしたところ、次のような意見があった。

 人を惑わせる、本物みたいなニセモノ。

 これは、ある真理をついているのではないか。たとえば、ニュースというと事実を伝えるだけであるかのようであるが、その実体は、加工されたものであるといえるし、「今日の占い」といったコーナーを見ても、真実を伝えているとは考えられない。

 メディアを通じて伝えられた情報は、「その情報により得する人は誰なのか」、「リソースは何なのか」などを確かめなければならないし、また、「コメントは意見であり、事実ではない」、「タイトルと内容に乖離があることも多い」などについて留意しておかなければならないのである。

  • 広告について

 「婚約指輪の値段は?」というと、「月給の3ヶ月分」と答え、「サンタの服の色は?」というと「赤色*1」と答えることは、最早、常識となっているが、これらはそれぞれ広告に端を発する常識である。
 広告は新しい「常識」や「習慣」を創ろうとしているのであり、人の心にとけこませていくことを目的としている。このとけこみの例としては、「武富士のダンスCM」などがあげられよう。あの映像、あの音楽が流れてくると、CMの最後に社名が出てこなくても、武富士という社名が直ぐに連想されるのである。

  • 広告は、真実を伝えているか

 広告とは、ひとつのことをデフォルメする方法がとられることが多い。それは、つまり、作り手の裁量でどのようにでも作ることができてしまうことと同義である。

 毎年5月31日は「世界禁煙デー」として、世界保健機関(WHO)が世界中の国々に呼びかけているのであるが、2004年の標語は、「たばこと貧困:その悪循環から逃れよう(Tobacco and poverty : a vicious circle)」というものであった。
 そのテーマを表すポスターを、WHOが作成しているとともに、日本では厚生労働省が作成しているのであるが、この2つは、ある意味、全く対極をなしている。

■WHO http://www.who.int/tobacco/resources/publications/en/poster_public_en.pdf
■日本 http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/poster.html

 WHOのものは、そのものズバリ悪循環の歯車を示しているのであるが、日本のものは、何ら意図するところがわからない。

 広告に接する際には、「どんな背景でこの広告がつくられたのか」、「どんな人物がつくったのか」、「どんな意図をもってつくられたのか」ということを、ちょっと批判的にみてみることが必要になる。
 メディアが伝える世界は、現実ほど真実にあふれたものではない。そのことを忘れないようにしなければならない。

■「自分を一言で表す言葉」を書き加えて、ポスターを完成する。

 このポスターとは、いわゆる選挙ポスター。
 まず、自分という存在をポジショニングして、そこからコピーを導くこと。留意すべきは、Inside→Outで発想したコピーを、Outside→Inの客観性で検証すること。
 この2点をもとに、それぞれグループにわかれて、コピーを考えました。
 その際に、考える目安となるのが、以下のチャート。

  • ターゲット層の決定…まず、あなたが目指すターゲットを設定すること。

   ↓

  • あなたのいいところ…次に、あなたが持っている他人とは異なる特徴・個性・性質は何かを挙げること。

   ↓

  • あなたが人に与える効果…その特徴・個性・性質は人に何を与えるのかを挙げること。

   ↓

  • あなたに対する周囲の感情…その特徴・個性・性質を人はどう感じているのかを挙げること。

   ↓

  • あなたの対外的価値…その特徴・個性・性質は人にどんなメリットをもたらすのかを挙げること。

   ↓

  • あなたらしさ、あなたである理由…そんなあなたを人はどう位置付けているのかを挙げること。

   ↓

  • コピー…導き出した答えをベースに、あなた自身を伝えるコピーを考える。
  • グループ討論結果発表

 で、グループごとに議論した結果のコピーが次のとおり。

    1. 南極(難局)でもHOT(ホッと)な私です
    2. 愛情をもって叱ります
    3. 世の中の寝ぐせを直したい 〜熱い風*2を送ってください〜
    4. 陽気でシャイなうつけ者
    5. 政策派いやし系
    6. あなたの疑問を私が調べます
    7. 出る杭は打たれてこその存在感
    8. ○○を変えるヤングレディ

 それぞれへの【情トラ】からのコメントは控えておきましょうかね。。(^ー^)
 講師からのコメントとしては、自分をきちんと分析して、検証して、考え抜いて決めることが必要であり、思いつきのコピーは人には伝わらないとのご指摘が。発表されたコピーは、まだまだ身内にわかるだけのものにとどまっており、マスの心に響くように「Outside→In」の視点が必要であると、再度、強調されました。

  • 参考図書

 参考図書として、紹介されたものは、次の2冊。
 マーケティングゲーム―世界的優良企業に学ぶ勝つための原則 (Best solution) マーケティングゲーム―世界的優良企業に学ぶ勝つための原則 (Best solution)
 詐欺師のすべて―あなたの財産、狙われてます (文春文庫) 詐欺師のすべて―あなたの財産、狙われてます (文春文庫)

  • 【情トラ】まとめ

 【情トラ】も、やってみました、【情トラ】本体サイトのキャッチコピーづくり。
http://www.geocities.jp/joho_triangle/note/junkan.html

  • ターゲット層の決定…古くからの「政・官・業の鉄のトライアングル」という癒着を表す際に用いる言葉に飽き飽きした人びと。

   ↓

  • あなたのいいところ…【情トラ】という場をもっていること。

   ↓

  • あなたが人に与える効果…政治や行政に主体的に参加するための情報を、できるだけ容易に手に入れられるという効果。

   ↓

  • あなたに対する周囲の感情…ちょっとムズカシイかなぁ、けど。。。

   ↓

  • あなたの対外的価値…わかりにくいこと、見つけにくいことを、整理して確認することができるという価値。

   ↓

  • あなたらしさ、あなたである理由…新しい「政・官・民の情報トライアングル」という情報共有、情報循環の場をひろめていく。

   ↓

  • コピー

  さびついたトライアングル取り替えて、
  あたらしいトライアングル響かせます。

 実は、このコピーをつける絵柄も考えたので、機会があったら、また公開します。

*1:コカコーラ・レッドですね。

*2:ドライヤーとかけてますね。