国際セミナー「渉外弁護士の現状と将来像」

 同志社大学法科大学院 国際セミナーを聴講してきました。講師は、小林 俊夫 氏(長島・大野・常松法律事務所所属弁護士)です。


※以下は、【情トラ】の個人的理解を前提にした単なるメモ書きにすぎませんので、ご注意を。

  • 渉外弁護士とは

 渉外弁護士には、「扱う法が日本法だけではない」という面と、「依頼者が外国人である」という面の2種類があって、一般的には、国際的案件ばかりを扱うイメージがある。しかし、実際上は、そうした国際的案件ばかりではなく、いわゆるドメスティック、国内案件における企業法務が携わる案件の7割方を占めるようになっている。そうした現状からすると、実は、渉外弁護士とは、企業法務弁護士ということもできるのである。
 このことは、ここ6、7年において、日本の企業が弁護士を使うようになってきたことに由来しており、そして、日本企業(日本人)の法律に対する意識が変わってきたことによるのではないかと思われる。

  • 活動内容について

 大きくわけて、次の3つ。

      1. 紛争処理活動(訴訟を含む。)
      2. 紛争予防活動
      3. 戦略法務

◆詳しくは、ここ(→) 業務内容/長島・大野・常松法律事務所

 このうち、今後は紛争処理活動をマネジメント的には拡大していきたいとのこと。ただし、訴訟では、収入に関して波があることになりかねないので、いわゆる成功報酬制ではなく、時間制でチャージすることが多いとのこと。
 あと、【情トラ】がふぅ〜んと思ったことには、外資系企業において、たとえば、株主総会の議事録作成など、日本企業では総務が行うことを、弁護士がサポートして作成することもあるということ。弁護士活動をヨリ組織化できるのならば、リーガル・マーケットも、もっと広げることができるような気がしますねぇ。
 

  • 【情トラ】感想

 国際案件にも、企業法務についても、(今のところ)あまり興味がない【情トラ】なのですが、「従来からの慣行」や「お付き合いにより形成される関係」が、「契約による合意」や「ルール化により構築される関係」へと移り変わってきているとの指摘*1は、何も、“企業法務”に限ったことではないとの思いをもっているトコロ。
 また、今後は、現在の渉外弁護士、企業法務弁護士が持つノウハウを上手に活用して、法曹による積極的な“行政法務”なり、“政策法務”が構築されることもありうるのではないでしょうか。まっ、企業とは、また、別の考え方や働きかけが必要になるでしょうけど。包括外部監査人制度があるように、行政内部だけではなく、外部専門家による示唆やチェックが必要になるのではないでしょうか、ねぇ。

*1:これらの表現は、【情トラ】オリジナルなものですので、ご注意を!