市民裁判員先行記第20回/Winny事件第9回公判

 京都地裁Winny開発者が被告人となった、著作権法違反幇助に係る事件。第9回公判に傍聴に行ってきました。今日も、傍聴券は先着順です。前回公判*1には私用で行けなかったのですが、今回は、ナントカ都合をつけての傍聴です。春休みなのか、開廷前に並んでいる人たちのなかには、初傍聴の方もけっこーいらっしゃったようで。そのほか、東京からいらっしゃっていた弁護士さん*2もお見かけいたしました、よ(って、おそらくあの方でしょうという程度の確認ですが。)。

 なお、これまでの【情トラ】による傍聴録は、次のURLから。
【おっかけ情トラ】市民裁判員先行記 - 【情トラ】附゛録゛


■傍聴前について

  • 13:05ごろ 本日の到着は、早くも遅くもなし。だいたい15〜25番目ぐらい?
  • 13:10ごろ 裁判所の職員さんから、いつもどおりの注意事項の説明などなど。
  • 13:20〜 入廷開始。マイバックを預け、身体検査(ポケットにモノが入ってないかどうか程度)後に、101号法廷へと。
  • 13:30 さっ、いざ開廷です。


■公判内容については、あくまで【情トラ】の個人的なメモを、カンタンにまとめたです。全てを再現しているわけではモチロンありませんし、実際の内容に【情トラ】が理解したものを付け加えてしまっているトコロもあります。また、私の理解不足や事実誤認などもあるかもしれません(、いや、必ずあるはずです)。ご注意を!
◆また、一応、聴き取れた分については、ほぼ全てメモしてますから、もっと詳細に再現することも可能ではあります。しかし、概要をまとめるだけにしますので、その旨ご了承ください。ひじょーに詳しいまとめもあるはずですので、そちらも参考に!



■本日の証人尋問は、3名。1人目は、前回公判で尋問された方が、引き続いての登場。弁護側からの尋問で、個人的に印象に残ったものを以下に列挙。
※次のURLの記事も参考にしました。
 ◆http://www.asahi.com/tech/apc/050217.html

    • 被告人を、当初の参考人から、最終的には被疑者へと切り替えた根拠は、平成15年11月27日の参考人聴取において、「著作権法違反を蔓延させる目的で、Winnyを開発した」と被告人が言い出したことであると考えてよいか。
      • はい。
    • 同日に作成されたものには、捜査官の手による「供述調書」と、被告人の自筆による「申述書*3」がある。このうち、供述調書のなかには「蔓延」との記載はあるか。
      • (供述調書の写しを確認して、)ない。
    • 申述書にはあるか。
      • ある。
    • そうすると、「『著作権を侵害する行為を蔓延させる』旨の発言を被告人がした」との根拠は、供述調書ではなく、申述書であると考えられる。しかし、この申述書が被告人自ら作成したものではなく、他の人が書いたものを見本にしたものであったら、その根拠とするところの前提が崩れるのではないか。(証人は、)見本があるということは知っていたのか。
      • 前回の証言(が、K捜査官によってなされる)まで知らなかった。
    • 前回の(K捜査官の証言を直接聞いていないはずであるが、その)証言をどうやって知ったのか。
      • インターネットなどで知った。
    • その「見本を作成して、写させた」ということについて、問題があるとは考えないか。
      • 特に問題はないと考える。被告人が行っていることを文章におこして、それを見本としたのだと思う。
    • 2ちゃんねるにおける47氏(被告人のハンドルネーム)の書き込みについては、その書き込みが被告人本人によるものだと、どのようにして判断したのか。
      • 47番目の発言については、被告人本人が自ら書き込んだものであると認めている。 また、被告人がやりとりしたメールの内容が貼り付けているものも、本人にしかできない書き込みである。 その他もいろいろあるが、そうした確認ができる発言から波及するもの(つまり、同一IDや同一トリップのもの等)は、同一人物による書き込みと判断した。


■これに対して、検察側から再尋問。

    • 供述調書の内容について、特に着目したのは、どのような部分か。
      • 「違法行為がされるであろうことは、知っていました」、「警察につかまらないように、匿名性を確保した」、「一度ひろまったWinnyは根絶することはできない」、「社会への啓蒙」といった部分である。


■続いて、本日2人目の尋問。この捜査官の役割は、Winnyの「バージョンアップ/修正の一覧表」の作成。つまりは、2ちゃんねるにおける47氏の書き込み(平成14年4月1日から平成15年11月26日までのもの)を抽出し、どのようにバージョンアップ等をしてきたかの一覧表を3人で等分して作成し、そのとりまとめも担当したとのこと。以下は、弁護側からの尋問で、個人的に印象に残ったもの。

    • どのようにして、被告人本人の書き込みであるかどうかの取捨選択をしたのか。
      • 「(1)(被告人が)Webページにバージョンアップor修正したものをUp」⇒「(2)ユーザーが『キター』、『ネ申降臨』などと2ちゃんねるに書き込み」⇒「(3)47氏がバージョンアップor修正の概要について書き込み」といった流れになっている(3)の書き込みについては、被告人本人によるものと判断した。
    • 「違法著作物収集家の意見を聞きながら、修正やバージョンアップを繰り返してきた」との記述があるが、誰が「われざー*4」で、誰がそうでないのか判断できるのか。
      • できない(?)。動画やアニメなどに関連する書き込みをしているか、どうかである(?)*5


■そして、3人目の尋問。この方の役割も、2ちゃんねるにおける発言の抽出、分析、一覧化など。平成11年に、情報処理能力検定初級*6を取得したとのこと。


■最後は、検察側からの請求(添付資料の調書添付請求など)に対する弁護側からの意見が述べられました。その内容とはいうと、、「信頼に値しない証拠であって、裁判所は採用すべきではない」といったもの。裁判員制度の施行が近づきつつある現在、証拠の採用等には適切な対応がなされることが、裁判自体への信頼へとつながるになるといった趣旨の意見だったように記憶しています。



◆【情トラ】まとめ
 前々回、前回、そして今回の公判は、捜査の中心人物及び責任者が証人として出廷されていたこともあり、それまでと違って、この公判の行方を左右する争点が、ある程度ハッキリしたように感じます。さて、これらをふまえつつ、今後の公判は、どのように進んでいくのでしょうか?
 その次回以降の期日等なのですが、今日の公判においては明らかにされませんでした。まっ、4月中に1回ぐらいはあるのかな? 4月以降に傍聴できるかどうかは、4月初めにおおよそ予測がつくのですけど、何曜日に公判があるのかによって、大きく左右されそうです。もし、4月以降も傍聴が可能であれば、次回からは、概要だけではなく、詳細版を出すようにしてみようかなとも考えているトコロ(いつも、参考にさせてもらっている id:gb2 さんは、4月からムリのよーですし。□ http://d.hatena.ne.jp/gb2/20050206#c )。
 ただし、あくまで、考えている“だけ”ですので、実現しなかったとしたらゴメンなさいっ。それに、実現できたとしても、穴だらけのものになる可能性も高いですし。。
 まっ、とりあえずは、京都地裁の「傍聴券を交付する事件の予定について」のWebページをチェックですね。あぁ、あとは、壇弁護士のblogにもお知らせがでることを期待しておきましょー。

*1:2月4日のもの。2月25日は開かれていなかった模様。

*2:はてなダイアリー市民の方です。

*3:警察の取り調べの際に一般的に使われる文書様式で、事情聴取を受けた人間が考えたことをそのまま書き、提出する文書のことを指すとのこと。

*4:違法コピーソフトの収集家のこと(らしいです)。

*5:このあたり記憶がありません。。

*6:メモにはそう書いていますが、いったい何の資格なのかわかりません。。初級システムアドミニストレータのことか?