市民裁判員先行記第24回/もうすぐスタート!! 裁判員制度@京都地裁

 京都地方裁判所事務局総務課広報担当の企画による「裁判員制度説明会」。平成17年度憲法週間行事として、本日、開催されたので行ってきました、よ。
 「18時30分から20時まで」が、「裁判員制度の説明及び質問」の時間、「20時から20時30分まで」が「庁舎見学(希望者のみ)」の時間だったのですけど、なんでも、お勤め帰りの方にも参加していただけるような、こうした時間設定は、京都地裁では初の試みとのこと。しかし、残念ながら、60名の参加受付定員のところ、実際の参加者は30名ぐらい(?)。
 まだまだ周知がたりないよーで、今後の課題ともいえるでしょー。そもそも【情トラ】が、この説明会のことを知ったのは、1週間ほど前に京都地裁のサイト上で。本日参加された方は、そのほとんどが新聞に掲載された記事(お知らせ)で知ったようで、それがそんなに余裕がない時点で掲載されたようですので、仕方がないといえば仕方がないのかもしれませんが。
 なお、その内容に対する【情トラ】の感想は、というと、とりあえずは裁判員制度広報の第1歩として、タイヘン満足マンゾクというものでした。

もうすぐスタート!! 裁判員制度


(※以下は、あくまで【情トラ】の個人的なメモの概要です。説明会の内容及び配布資料のほか、私見も入れつつ構成していますので、当然ながら私の誤解等もあると思います。ご注意ください。なお、基本的な説明については、裁判所Webサイトの該当ページにリンクしていますので。)

  • 説明会

 基本的に、判事*1(部総括)がお一人いらっしゃっていて、その方がパソコンを操作してスライド(パワーポイント(?))を映写し、それに従いつつの説明がなされました。おそらくは、このスライドは全国共通のものなのでしょう。裁判所のWebサイトにも使われているイラストもあり、非常にわかりやすくまとめているなぁとの印象を受けました。なお、説明内容は、おおよそ次のとおり。

    1. なぜ裁判員制度が導入されたのか
    2. 対象となる事件
    3. 合議体の構成
      • 原則として、「裁判官3名、裁判員6名」である(例外として、「裁判官1名、裁判員4名」の場合がある。)。
    4. 刑事裁判手続の流れ
    • (1)公訴提起−(2)公判前整理手続−(3)裁判員の選任手続−(4)法廷審理−(5)評議−(6)判決宣告(従来からの手続においては、(2)及び(3)がない。)
    1. 裁判員の仕事や役割
    2. 裁判員に選ばれるまで
    3. 裁判員の資格
    4. 裁判員の辞退理由
    5. 裁判員の保護
    6. その他
  • 質疑応答

 質疑応答は、ある程度まとまった説明が済むごとに受け付けていただきましした。さすがに、ワザワザこうした説明会に来られるだけあって、みなさんスゴク熱心に質問をされて、最後に全体として質疑を受け付けた際などは、時間も超過するほど。
 その質疑内容については、非常に根本的な問いかけや意見から、たいへん具体的な疑問などなど幅広いものがありました。しかし、このような質疑は、おそらくは法律にそもそも規定しているか、裁判員制度の導入にあたって議論を尽くしてきたはずのものが多いのではないかと推察されるところ。ある程度、わかりやすく配慮した「Q&A」もヨイですが、今までの議論の蓄積を、一般の人びとが参照できるようにすることも、裁判員制度のより広く深い周知につながるのではないでしょうか?
 具体的には、「Ži–@§“x‰üŠv„i–{•”-Ù”»ˆõ§“xEŒYŽ–ŒŸ“¢‰ï」の議事録を、(質疑がでそうな)項目ごとに抜粋して読めるようにしておくが必要なのではないかと思います*2。このことについては、もっとカンタンなやり方として、この「Ži–@§“x‰üŠv„i–{•”-Ù”»ˆõ§“xEŒYŽ–ŒŸ“¢‰ï」の議事概要の部分を、単に「議事概要」と表示するのではなく、例えば、第3回ならば「『公訴提起の在り方』に関する議事内容」とするだけでも、読む気がでてくるんですけどねぇ。
 なお、【情トラ】からも1問だけ質問をぶつけさせていただきました。これは、おそらくドコにも掲載されていない質問のはず。この間のシンポジウムでなるほどねぇと思ったことに関するものです。
■【参考】市民裁判員先行記第23回/司法への市民参加−ドイツとEUにおける裁判員制度 - 【情トラ】附゛録゛

【情トラ】質問
 裁判員の仕事や役割については、公判への立会いと評議・評決であることはわかりました。しかし、判決宣告にあたっては、判決理由文が裁判官の手によって作成されると思うのですが、この理由文について、裁判員が宣告前に確認したり、場合によっては、その表現等に意見をしたりすることはできるのでしょうか?

 これに対しては、おおよそ次のようなご回答をいただきました(正確に再現したものではありません。私の理解(誤解)が含まれていると思います。)。
 「手続の流れや時間的都合もあるので、判決理由文について裁判員のみなさんから一々詳細を確認していただくことは難しいのではないかと思う。ただし、そもそもその判決理由は、裁判員と裁判官の評議・評決に基づくものであり、それにそった理由文を作成することは確かなので、裁判官に任せていただくことになるのではないか。」

  • 庁舎見学

 さて、説明会も盛況のうちに*3終わり、その後は、希望者を対象に庁舎見学です。職員さんに、民事のラウンドテーブル法廷と、京都地裁で最も大きい101号法廷(Winnyに係る事件公判が開廷されている法廷)を案内していただきました。
 ラウンドテーブル法廷については、大きな法廷には初めて入ったのでが、ものすごく余裕があってヨイ感じでした。もっとセセコマシイのかと思っていたところ、意外や意外っつー感じで。テーブルの下などものぞき見たりすると、裁判官が座る席のところには、「緊急呼び出し用(?)のスイッチ」があるのですね。ほぉ〜などと感心したりしていました。
 そして、次に、101号法廷。こちらは、ひょっとしたら、裁判官席のところに行かせてもらえるかなぁーなんて期待していたところ、ドンピシャリ。検察官が座る席や書記官席、そして、一段あがった裁判官席にも自由に見学させていただき、裁判官席にも座ってOKとのことでしたので、何の遠慮をすることもなく、座らせていただきました。フカフカの座り心地でしたよ。そして、こちらにも裁判長席にはスイッチがありました。
 なお、裁判官席からの視点は、やっぱりかなり高い位置にあると感じた次第。このことについては、権威的だとみるなど、イロイロな意見があるところだと思います。【情トラ】が実際に座ってみての感想としては、視線の高さを同じくしないことにより、より客観的な審理を行えるようになるのではないかとも思ったところなのですが。

  • まとめ

 裁判員説明会の内容等については、なかなかに満足いくものでした。しかし、その開催に関する広報や周知方法については、改善を要するところなのでしょう。これは、今後に期待するところです。
 また、質疑応答の時間に感じたことなのですが、裁判官には、わかりやすく説明することが求められているだけではないようなのですね。他にも求められていることがあり、それは、何かといえば、一般の人びとが感じている疑問などは、うまく表現できないことが往々にしてあること(モチロン【情トラ】も含めて。)に配慮して、そうした思いを裁判官が的確に汲み取り、その疑問等を共有し、一緒に解決することも、また要請されているのだと思います。若干ではありますが、会場からの質疑と裁判官からの応答がズレているのではないかと感じたことがなかったわけではないので、この点も、今後に期待かな?
 以上、そのほか細かいことをあげれば、いくつか指摘したいところはありますが、積極的な広報がなされていくうちに改善されていくことでしょう。次回以降には、ぜひ法曹三者がそろった形での開催を願っています。本日は、どーもアリガトウございました(裁判員制度のクリアファイルも貰いましたし!?)。

*1:Winnyに係る事件公判の裁判長でしたよ。

*2:時間があれば【情トラ】がやるかもしれませんが。。

*3:人数は少なかったのかもしれませんが。