福島県良好な小売商業機能が確保された誰もが暮らしやすいまちづくりの推進に関する条例(仮称)について


 この条例案に関しては、平成17年3月4日から同年4月4日までの期間、パブリックコメントが実施されており、提出された意見とそれに対する県の考え方について取りまとめた結果が、平成17年9月定例議会に提出されているとのこと。以上のことについて、イロイロと考えたことを、以下にメモ。

  • 条例(案)の内容と、それに対するイオン側の主張に関して。また、パブリックコメントに提出された意見内容とそれに対する県側の回答について。県側は、「条例制定の背景」と「条例制定の目的」を次のように示しているが、果たして説得的な条例制定の背景及び目的に関する説明となりえているのか。

≪条例制定の背景≫
 今まで経験しなかった人口減少や急速な高齢化が進行する中で、自動車の普及等により小売商業施設の郊外への立地など都市の拡張が依然として続いています。
 また、小売商業施設の更なる大規模化が進んでおり、複数の市町村のまちづくりに様々な影響を及ぼす特に規模の大きな小売商業施設について、広域の見地から適正な配置を推進する必要性が高まっております。
≪条例制定の目的≫
 このため、環境への負荷の少ない持続可能なまちづくりや歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりの推進に調和した小売商業施設の立地やその他の商業に係る活動である商業まちづくりを推進するため、基本的な方針を定め、特に規模の大きな小売商業施設の立地について広域の見地から調整するために必要な事項等を定めることにより、商業まちづくりに関する施策を総合的に推進し、現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的に、条例を制定するものです。

  • パブリックコメントを実施する際の対象について。応募資格を「県内に住所を有する個人及び団体、並びに県内に通勤・通学している方又は県の事業に利害関係のある方」に限っているが、一般にはパブリックコメントとは、施策に対する専門的知識や意見を求める趣旨も含むものである。それゆえ、そうした限定をなすことに意味があるのか。また、あくまで利害関係がある者に限るとするパブリックインボルトメントとしての趣旨であるとするならば、その対象者である利害関係者のアウトリーチをどのように行ったのか。
    • たとえば、今回のイオン側からの意見提出は、パブリックコメントの際に提出することが望ましいと考えられるが、このときに果たしてイオン等の大規模小売商業施設を展開する事業者に対する呼びかけは行われていたのか。
  • パブリックコメントに意見を提出する側として。自らに利害関係がある事案についてパブリックコメントが実施されていたにもかかわらず、その実施自体を知らないまま当該実施期間が過ぎてしまい、その後に意見を述べようとしても、既にパブリックコメント実施済みであることを理由に、門前払いになるようなことが起こりうるのではないか。
    • たとえば、イオンなどの全国展開する事業者などは、全国の自治体のパブリックコメント実施状況を適時適切に把握しておく必要があるのではないか。