「決議」って? 「請願」って?

自治体法務の備忘録(Old)
 ちょこっと気になったので、あくまでこの方の件に関して、ドーノコーノというわけではなく、「決議」に関する一般的な説明と、住民がもつイロイロな権利のうちのひとつである「請願」という権利について、簡単に書いておきたいと思う次第。
※あくまで「決議」及び「請願」に関する一般的な説明にすぎませんので、その旨ご理解いただきますようヨロシクお願いしますね。特に「請願」っていうモノは、ほとんどの方が知らない制度だと思いますので、コンナモノもあるんですねぇという紹介ってことで。

  • 「決議」とは何か

 「決議」とは、議会が法令上の権限に基づかないで、事実上その意思決定を行うことであり、それが議会の意思決定として事実上の効果、すなわち政治的な意味をもつことはあるものの、一定の法的効果を発生するものではない、と解されています。
 また、地域住民の代表機関である議会という立場においては、一般的に地方公共団体の事務に関する事項か、あるいは少なくとも地方公共団体の公益に関する事件について、どのような内容の「決議」であっても、原則として自由に行うことができる、と考えられています。
※以上は、伊藤祐一郎自治行政講座2 地方議会』(第一法規、1986年)p.91を参考にしました。

  • 「請願」とは何か

 「請願」とは、国又は地方公共団体の機関に対し、その職務に関する事項について希望することを述べることをいいます。一般的には、あまり実効的な権利とまでは言いがたいものの、憲法16条を根拠として、地方自治法124条にも規定が設けられている権利です。
 この「請願」は、形式、手続が整ったものであれば、議長はそれを受理しなければなりません。そして、通常は、その請願を所管の委員会に付託するなりして、採択するかどうかの審査がなされることとなりますが、結果として、請願を採択するかどうかは全くの議会の自由です。また、議会が採択したとしても、何ら法的な拘束力をもつものでもありません。
 ただし、もし「請願」が採択されると、地方自治法125条の規定により、議会から適当と認める機関に対して、その請願を送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができるとされています。
※以上は、川村毅「請願と陳情」井上源三 編『議会 (最新地方自治法講座)』(ぎょうせい、2003年)pp.423-433を参考にしました。
※なお、この請願の詳細な手続等は、各地方議会の会議規則に定めがあるはずです。

【参考】地方自治法(昭和22年法律第67号)
第百二十四条 普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。
第百二十五条 普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、教育委員会選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。