【おべんきょ情トラ】身につくロースクール/行政法6/条例が国の法令に違反するかどうか(徳島市公安条例事件)

ケースブック行政法 (弘文堂ケースブックシリーズ)に掲載された問いを自分なりにアレンジし、解答案を掲げています。

【行政立法と条例】
条例が国の法令に違反するかどうかに関し、最大判昭和50年9月10日(徳島市公安条例事件)が示した枠組みとはどのようなものか*1

 条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによつてこれを決しなければならないとした。
 このことを具体的に考えると、次のようにまとめうる。

  1. ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうる。
  2. 特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。 ⇒「いわゆる『横だし条例』」
  3. 特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、両者が同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。 ⇒「いわゆる『上乗せ条例』」

*1:この解答案は、【情トラ】が作成したものであり、その内容については無保証ですので、ご注意ください。