法曹から法律家へ

法務総合学部とは(11月21日): 橋本大二郎です

(前略)
 法律の専門家から、法務総合学部という、従来の法学部とは違った、新しい大学モデルの考え方をうかがいました。
 この構想は、従来の法学部が、主に裁判など、法律の専門家が関わる場面を想定して、人材の育成をしてきたのに対して、これからは、企業経営や情報化社会の中でも、法律との接点が、飛躍的に広がっていくことに着目をしています。
(後略)

 先般のシンポジウムでも言及されていたこと。
ミニシンポジウム「司法改革の成果と行方」@京都大学法学部佐藤会 - 【情トラ】附゛録゛
 法廷で従事することを想定した「法曹」から、社会の様々な場面における交渉・決定・助言・予防といった非常に幅広い法務に従事する「法律家」へと、法律の専門家の役割がかわっているのではないかとの指摘です。
 確かに、問題/紛争が既に起きてしまったところにおいて、その解決を図るだけではなく、事前の検証なり、案件が縷々転々としているなかでの交渉なり、重大な決定を行う際の助言なり、実に様々な場面において、いわゆる「法律家」へのニーズの高まりがあるのではないかと、私も思います。
 たとえば、具体的にいうと、「地方自治体における条例立案に際して、地方議会への法的サービスが必要ではないか」といったコトや、「地方自治体に対して、法的な観点を中心とした監査の実施が必要ではないか」といったモノが考えられるトコロ。つまりは、「条例が制定され、実際に行政処分がなされてから、その効力を問うのではなく、そもそもの立法過程時から関与するという姿勢」、そして、「何か問題が起きてから、手続上の違法な運用が発覚するのではなく、通常業務の精査により適正な執行を求めるという姿勢」が大事ではないというコトですね。
 ただし、やはり「法曹」にとっては裁判・訴訟等が、不可欠なモノであることも確かであるでしょう。そして、それらの基本的な実力を身につけた上でこそ、幅広い場面における応用も可能であるということも。
 そうした意味からすれば、高知県立大学が構想されている「法務総合学部」において、「法経営」と「法情報」の2つのコースでは、どのようにして基本的な実力をつけうる(つけさせうる)のかには、たいへん関心があるところです。
 とはいえ、この話ってのは、全国各地の法科大学院ロースクール)にも当てはまる議論といえるのでしょうけどねぇ*1(^ー^)

*1:私自身は、『基本が大事』って感じで、(現状においては)毎日を励む所存でゴザイマス。