政府主催全国都道府県知事会議(平成17年度)議事録から

政府主催全国都道府県知事会議(平成17年度)議事録(PDF文書)
 議事録がナカナカ面白かったので(、こんなことしてる時間なんてないんやけどなぁなどと思いつつ)、簡単にまとめてみました。単純に誰がどのようなことを発言されているかを楽しむだけでもよろしいかと。基本的に挙手による発言のようですし(とはいえ、特に後半の「各閣僚と知事との懇談」においては、あらかじめ発言者を決めているような感じもします。)。
 また、それぞれの発言の背景には、イロイロな事情があるはずですが、そうしたことまで考えてみるのも一興かと。
 さらには、発言していない知事がいないか確認するのも(モチロン発言の有無がどうこうというコトではありませんが。欠席された方もいらっしゃると思いますけど、出席者一覧名簿を見つけることができませんでしたので、その旨ご留意ください。)。
 なお、「…」部分は、各知事の発言の一部を(あくまで)私個人の主観的な判断に基づき、抜粋したものであり、(…)部分は抜粋者による補足です。また、掲載順は、議事録そのままとしています。
 これらの知事の発言・意見・質問・要望に対する国側の回答なども含めた議事内容の全体については、上記に掲げたリンク先にPDF文書で読むことができますので、興味のある方は、そちらをゼヒご確認ください。



内閣総理大臣と知事との懇談】
地方分権三位一体改革について

  1. 麻生渡福岡県知事(全国知事会会長)
    • 「画期的な3兆円の税源移譲を確実に実施をするということを改めてお願い」
  2. 増田寛也岩手県知事
    • 三位一体改革につきまして、特に施設整備費について、ぜひ対象に加えていただきたい」
  3. 谷本正憲石川県知事(生活保護関係者協議会の委員)
  4. 石井正弘岡山県知事(中央教育審議会の審議に参画)
    • 「義務教育費の国庫負担金のこの一般財源化の問題、これを我々地方案のとおり実現をしていただきますよう」
  5. 加戸守行愛媛県知事
    • 「義務教育費国庫負担金堅持」
  6. 太田房江大阪府知事
  7. 國松善次滋賀県知事(全国知事会で国の過剰関与問題の小委員会の委員長)
    • 「政府の『骨太の方針2005』でも、国から地方へという中で、地方公共団体が実施する事業への細部の国の規制や関与を大胆に撤廃するというように書いていただいております。しかし、去年もそのようなことは書かれていましたが、残念ながら何ら進歩しませんでした」
  8. 片山善博鳥取県知事
    • 「ぜひその地方議会で税を議論できる、そういう環境をつくっていただきたい。それは内容に選択肢を持たせるということが一つでありますし、それから、私は国法で、国の法律でその地方税の大枠は縛っていいと思いますけれども、それはタイミングの問題がありますので、もっと早く議論できる、地方議会で議論できる、そのタイムリーな時期に改正を行っていただきたい」
  9. 石井隆一富山県知事
    • 「ほとんどの自治体はまじめにやっている。それをぜひ理解していただいて、交付税の安定確保ということもひとつよろしくお願いしたい」
  10. 木村良樹和歌山県知事
    • 「中央集権型じゃなくて、真の分権型社会に転換させるという観点から、この道州制についての検討を行っていただきたい」
  11. 古川康佐賀県知事
    • 「(米百俵の逸話は)それが可能だったのは、これは米なんだから食べてしまいなさいと指示する所管官庁はなかったということなのであります。地方の判断で教育に充てられたからこそできた逸話であるということをまずもって申し上げたい」
  12. 井戸敏三兵庫県知事
    • 三位一体改革をきちんと仕上げていくためにも、最後の担保になっております地方交付税をきちっと確保していただくことが絶対条件」
  13. 柿本善也奈良県知事
    • 「国、地方が一緒になって、抜本的な方針を探さないと、そして充実しないと、根本的な改善は難しい歳出構造だということをやはり認識として持つべきではないか」
  14. 浅野史郎宮城県知事
    • 「(各省は)補助金を幾つかまとめて交付金にしたと、これで三位一体改革のこれの答えになると、意識的に誤解しているんですね。意識的な誤解という言葉があるかどうかわかりませんけれども、それをもって回答ですよと、いけしゃあしゃあと、という感じなんですけれども、言ってくる」


地方分権、三位一体以外のテーマについて

  1. 澄田信義島根県知事
    • 「我々地方にとりましては、この選挙の結果を受けて、都市重視の傾向が強まるのではないかという懸念も正直禁じ得ないところがございます。私は、国と地方、それから、都市と地方がお互いの長所を生かして、機能を分担し、また、いい意味で競い合う連携と共生を柱とした分権社会をつくり上げるということが今後の我が国の生きるべき道ではないか」
  2. 高橋はるみ北海道知事
    • 「私ども自身としても北方領土の早期返還に向けての環境整備を一生懸命やっているところでございます。この問題(北方領土問題)はもう発生から60年という、私が生まれる前からやっているわけでありまして、ぜひここで具体的な第一歩を総理のお力で実現をしていただければ」
  3. 佐藤栄佐久福島県知事
    • 「過疎地の問題ばかりでなくて、地方都市あるいは地方全体の医師不足が非常に深刻になっておるということを申し上げると同時に、せめて自分の県立医科大学の定員ぐらい、これは二、三の省が絡むということなんでしょうが、決めさせていただきたい」
  4. 松沢成文神奈川県知事(全国の米軍基地を抱える自治体でつくる渉外知事会の会長)
  5. 稲嶺惠一沖縄県知事
    • 「過重な米軍基地負担というものにつきましては、来年の3月の最終報告に向けて、日本全体で考える問題だとする、小泉総理大臣のリーダーシップを心から期待」
  6. 二井関成山口県知事
    • 「ぜひ総理におかれましても、この(在日米軍の再編問題に関する)最終報告に向けまして、地元の意向を十分踏まえた対応をしていただくように、また、所管省庁に適切な対応をとるようにご指示をぜひいただくようにお願い申し上げます」
  7. 藤田雄山広島県知事
    • 「岩国への空母艦載機の移転による負担増についてでございます。NLPのことばかりが問題になるのでありますけれども、実際にはNLPだけではなくて、昼間も着艦訓練が行われる」
  8. 潮谷義子熊本県知事
    • 水俣病の対策についてです。公害の原点と言われます水俣病問題については、来年には公式確認から50年を迎える」
  9. 西川一誠福井県知事(知事会の憲法問題特別委員会の委員長)
    • 憲法改正の議論におきましては、万機公論といいますか、先般、福井県では、福井の出身の由利公正の草稿を購入しましたが、万機公論、国民議論を大いにしていただきまして、地方自治について一つの柱にしていただきたい」
  10. 橋本昌茨城県知事
    • 「(アスベスト対策について、)先般、関係閣僚会議ができたわけでありますけれども、この対応を見ておりましても、例えば省庁によって必ずしも対象が一定していない」
  11. 堂本暁子千葉県知事
    • 男女共同参画といっただけで、最近は過剰な、性教育ですとか、そういったような曲解をされて、本質的あるいは時代に対応する必要のあるような議論がないがしろにされているのではないかという危惧を抱いております」
  12. 飯泉嘉門徳島県知事
    • 「耐震化の税制、特に補強に対しての耐震化税制、これを18年度に実現をしていただきたい」

【各閣僚と知事との懇談】
三位一体改革地方分権

  1. 泉田裕彦新潟県知事
    • 三位一体の改革に絡んで、この災害(昨年の中越地震)の中で、やはり補助制度というのが相当使いにくい部分があったというところがありますので、ちょっとご報告をさせていただきたい」
  2. 石井正弘岡山県知事
    • 「今後、歳入面のあり方を検討されるに当たりましては、この地方税財源の拡充につながるような、我々も地方でも子育てとかあるいは福祉とかあるいは教育、こういったようなものに財政需要が非常に高まっておるという状況でございますので、ぜひとも地方消費税の税率の引き上げ等につきましても検討いただきますように、お願いいたしたい」
  3. 田中長崎県副知事
    • 「合併市町村に対します財政支援措置のための財源の確保と、内容の拡充についてお願いをしたい」
  4. 太田房江大阪府知事
    • 厚生労働省生活保護に関する見直し案に対しましては、正直申し上げまして、私ども愕然といたしました。地方にできることは地方にという看板のもとに、今回の提案がなされておりますけれども、その提案の中身は、最初に地方負担の導入ありきというものでありまして、私どもは47名全員、改革の本旨には沿わない内容であるというふうに強く思っております」
  5. 松沢成文神奈川県知事
    • 三位一体改革推進法というような法律をしっかりとつくって、推進計画をその中でつくっていく。あるいは国と地方の協議の場もありますから、これもしっかり法制化していく。そして、できれば三位一体改革推進委員会のような民間や学識者も入れて、行司役もやっていただけるような推進委員会もつくる」
  6. 片山善博鳥取県知事
    • 「先ほど合併市町村に対する財政措置をという話がありましたけれども、私は、客観的に見まして、どう見ても合併市町村に対しては、その措置が過剰だと思います。ありとあらゆるあめがついています。過剰なあめです。逆に、何とか自立をして頑張ろうという、そういう立派なところに対しては、非常に冷遇しています」
  7. 野呂昭彦三重県知事
    • ナショナルミニマムとしての守りだけはしっかりやってもらいたいなと。それから、地方分権でも、何でもかんでも、地方ができるから地方へ持っていったらいいのかというと、そうではなくて、やはり地域間競争にさらされてしまうような課題まで、私は地方へ移譲するというのは、これはどうかなと思います」
  8. 高橋はるみ北海道知事
    • 「私ども地方が安心して分権の世の中、医療なり福祉なり、そういった住民生活に密着した行政サービスを維持していくために、地方交付税の総額の確保、そして、地域間の財政力格差が拡大しないような配慮をぜひお願いをいたしたい」
  9. 井戸敏三兵庫県知事
    • 「経済の潤滑油である金融対策も地域経済に目を向けた対策として取り組んでいただきたいと、このことをぜひお願い申し上げたいと思います。これは地方税の増強にもつながると、このことを強く申し上げたい」
  10. 澄田信義島根県知事
    • 原発立地地域をはじめ、過疎地域あるいは離島地域など、特定地域振興立法による財政上の特例措置の対象とされている地域については、政府与党合意にある特定地域に当然含まれるものと理解しております。(中略)したがって、国庫補助金の廃止・一般財源化に際しましては、政府与党合意に基づいて、特定地域に講じられております財政上の特例措置につきまして、立法措置を踏まえた代替的な財政措置をぜひ講じていただきたい」


道路特定財源、交通について

  1. 齋藤弘山形県知事
    • 「人と物との交流というものをきちんととっていくという観点からすれば、やはりどうしても高速道路、地域高規格道路というのが広域経済圏、広域連携、広域交流という観点からすれば不可欠であります。また、昨年も新潟の地震での経験などからも、自然災害等からも極めて汎用性の高いという意味で、交流、分断とか地域の孤立化を避けるための緊急輸送道路のネットワーク確保、災害対策という観点からも極めて重要」
  2. 橋本昌茨城県知事
    • 「箇所づけについても、直轄事業については、地方公共団体に判断の余地が確保されていない。あるいはまた、維持管理費にまで直轄事業負担金が強いられている。事務費の節減、合理化が図られていないなどなど、不合理が大変多い」
  3. 柿本奈良県知事
    • 「実は本県、道路整備がおくれている関係かもしれませんが、いろんなアンケートをすると、いろんな需要の中で常にトップなんです。県民の要望は道路整備」
  4. 木村良樹和歌山県知事
    • 「例えば和歌山県でも、1.5車線道路というような、地方の規格の道路だったらもっとつくってほしいという話はものすごく多いわけです。ただ、お金は足らないというふうなことがある」
  5. 伊藤祐一郎鹿児島県知事
    • 「ここ10年ぐらいで、今申し上げましたような高規格幹線道路等は整備する、そういう大きな方針のもとに、これからの道路予算等を考えていただければ大変ありがたい」


■国民保護、防災関係について

  1. 西川一誠福井県知事
    • 「これまではこういう原子力発電施設と、この地域振興というのはかなり個別的な議論で論じておりましたが、やはりこれからは研究、人材育成、アジアとの関係など、大きな問題としてとらえる必要がある」
  2. 麻生京都府副知事
    • 「関西による首都機能のバックアップ体制の実現と関連をいたしまして、文化庁の関西拠点の設置について発言をさせていただきたい」
  3. 真鍋武紀香川県知事
    • 国土交通大臣におかれましては、ぜひともこの高潮対策について、特別な配慮をよろしくお願いをいたしたい」
  4. 坂宮崎県副知事
    • 「(被災者生活再建支援制度は)現行の制度では住宅本体の建築費、補修費が支給対象となっていないこと、同じ災害を受けても所得要件や年齢要件などによって、支給を受けられない世帯があることなど、生活の根幹であるところの住宅に対する支援が不十分」
  5. 福田富一栃木県知事
    • 「(国会移転に関する問題が)バックアップの中枢の優先移転の調査検討ということで、平成2年の国会移転に関する決議あるいは国会移転等に関する法律からはずれてきている」


■医師確保、医療について

  1. 三村申吾青森県知事
    • 「今般の医療制度改革は、これまでにない大規模なものになるでしょうが、医療費抑制という視点のみならず、医師不足を解消しようとしても、地方ではいかんともしようがないと。国の制度そのものにも目を向けながら、こういった問題を進めるようにお願いしたい」
  2. 増田寛也岩手県知事(全国自治体病院開設者協議会の会長)
    • 「例えば大学の医学部入学定員につきましては、閣議決定で、10%削減という中で、ずっと年々減ってきているわけでございますけれども、端的に言うと、特に医師不足の目立つ地域の大学の医学部の入学定員については、拡大するとか、あるいは地域枠を認めていただくといったことをぜひお考えをいただいて、実際、少しずつ地域枠についても認めていただいているわけでございますが、ぜひこうしたことについてお考えいただきたい」
  3. 加戸守行愛媛県知事
    • 「あらゆる現在の医師養成機関である大学の医学部で、僻地医療従事医師養成制度の創設ということを提案させていただきたい」
  4. 古川佐賀県知事
    • 「小坂大臣にぜひ義務教育についても、小坂大臣は、名前は『憲次』でございますけれども、これだけは『堅持』せずに、ぜひ地方に渡していただきたい」
  5. 福田栃木県知事
    • 「病院間の病床移転につきまして、対象を公的病院に限定せず、また、再編後の病床の減少を条件から外すなど、地域の実情に合わせた緩和措置につきまして、ぜひ取り組んでいただきますように要望いたします」
  6. 佐藤栄佐久福島県知事
    • 福島県医大というのがあって、私が設置者ですから、そこで定員を少なくとも増やしていけるわけです。そのお願いをしたんですが、まだ返事が来てないんですよ。3省の大臣、今日ちょうどいらっしゃいますので、なぜ、その定員を増やすということが、私が設置者でありながら、医師がいなくて、まさに命に関するような状況があちこちで起きている中で決められないのか、それはまさに地方分権そのものなんですが、お答え、どなたかからいただければ」


■まちづくり、地域振興について

  1. 古田肇岐阜県知事
    • 「私ども地方の側も、選択と集中という観点から、地域をきっちり見定めて対策を講じていきたいと思っているわけでございます。そしてまた、政策については細かな政策の小出しではなくて、思い切った総合的なパッケージを規制、振興、両面にわたって講じていただければというふうに思う」
  2. 石井輶一富山県知事
    • 「(大型商業施設の立地の)広域的な調整というのはやっぱり個々の市町村では無理な面があるものですから、ぜひ今の都市計画法にそういったケースの場合は、都道府県がイニシアティブをとって、広域的な観点から立地調整できる仕組みをお願いしたいと。これは条例であるとか、いろいろ考え方はあるんですけれども、せっかく都市計画法というものがあるんですから、そういう手当を、仕組みをつくっていただけないか」
  3. 佐藤栄佐久福島県知事
    • 「国のほうでゾーニング授権法という、アメリカの場合ですと、授権法というのを、州なり市町村に与えて、それで、その範囲内でやっているんですが、環境という問題の視点から、自然環境、社会環境、それから、経済環境も含めてどうかという判断、それから、公平かどうかは当然でございますが、そういうことを判断基準にしてブレーキをかけて、地域社会の衰退を防いでいる」


■テーマを限らず一問一答

  1. 潮谷義子熊本県知事
    • 次世代育成支援対策推進法によって義務づけられている事業主行動計画、この策定義務が301人以上のところに義務づけられています。熊本県の例でいいますと、301人以上の事業所というのはわずかに0.43%にしかすぎません。今後大多数の300人以下の事業所、ここをどのようにお考えになっていかれるのか」
  2. 高橋はるみ北海道知事
    • 「、就学前児童に向けての医療費助成は全国トップレベルまでしておりますが、この経済的な支援の面はやはり税制面、あるいは全国一律の助成制度など、やっぱり国において検討していただくべきことだと思っているところ」
  3. 國松滋賀県知事
    • 「私どもの県だけではなくて、全国、たくさんの県で、林業公社で造林を進めてきまして、今、大変な課題を抱えております。(中略)木材価格が低迷したまま、一方で、金利は制度金融でございましたので、全体の金利が下がっているのに下げてもらえないというような状況の中で、借金が膨れ上がりまして、実に現在、全国42の公社がありますが、その累積残高は1兆2,000億円」
  • 債権法
  • その他