関西自治体法務研究会 第2回大会@滋賀県大津市
第1回に引き続き、参加させていただきました。
■http://seisakuhomu.blog.bai.ne.jp/?eid=29419
幹事のお一人が運営されている上記blogでも紹介されているように、今回の報告内容は次の2つ。
いずれもタイヘン充実した内容で、サマザマな点から参考になった次第。以下は、それぞれの報告には必ずしも直接的に関係ないものですが、これらに触発されて、以前からなんとなく個人的に考えていたこと、そして、本日考えたことをメモ的にまとめてみることに。
■行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
※強調は【情トラ】による。
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- 詳しい説明はザックリ省略しますが、この9条2項の規定では、処分又は裁決の相手方*2以外の者が、当該処分又は裁決の取消しを求めようとする場合、その訴えを許すかどうかの判断には、「当該処分又は裁決の根拠となる法令が、一体どのような趣旨で、果たしてどのような目的で制定されたのか」を考慮することが重要といった定めがなされているわけです。
- さらには、裁判所は、単に処分又は裁決を行う行政庁が考えるトコロの「利益の内容及び性質」を判断基準とするのではなく、「処分において(客観的に)考慮されるべき利益の内容及び性質」を考慮するものとすると定められているのです。
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- このように、単に「規定の文言のみによることなく」、「法令の趣旨及び目的」や「処分において(客観的に)考慮されるべき利益の内容及び性質」が考慮されるようになることは、視点を変えれば次のように言うこともできるはずです。
- すなわち、そうした「法令の趣旨及び目的」や「処分において(客観的に)考慮されるべき利益の内容及び性質」を、立法機関が法令制定する時点から可能な限り客観的にも明らかにして、行政庁にそれらを遵守した法令執行を求めることがヨリ重視されるのではないかというコト。
- ただし、特にいわゆる行政立法においては、立法機関=執行機関となるともいえるわけですから、こうした客観化が困難であるとも考えられます。
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- では、こうした場合、法令制定時から、その「法令の趣旨及び目的」等を、いかにして「客観的に」明らかにしておくことができるのでしょうか。
- ここで登場してくるのが、パブリックコメント手続。これこそが「法令の趣旨及び目的」や「処分において考慮されるべき利益の内容及び性質」を、非常に多面的に検討しうる可能性をもたらしうる手続なのではないかと考えているわけなのです。
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- 以上のような考察(ワカリニクイかもしれませんが。)は、先般からのエントリにおいて、パブリックコメント手続を実施する目的をハッキリさせることが求められるとして、3つの目的を掲げたうちのひとつ、「①利害防御目的」に関する問題意識につながっているモノでもあります。なので、ここまでにメモにまとめたコトに関しては、次のエントリに改めてup予定。
- ■【情トラ】情報共有/パブリックコメント制度に対する意見について - 【情トラ】附゛録゛
- 防災関係対策等について
- 基本的に、政府や自治体が行う防災関係対策といったものは、いわゆる縦割り行政ではなく、横割り行政で対応しなければならないものだと考えるわけで。
- 「災害対策基本法」といった法律もありますが、特に自治体においては、たとえば「被災時対応基本条例」なんてモノも検討してみてもよいのではないかと。つまり、被災時に特例的に、個別の行政執行根拠規程の上位規範に位置付けるモノとしての条例等を制定するというアイデア。無理かなー。
- 一例としては、被災時における「個人情報の取扱い(たとえば、行政機関が有する個人情報を、『被災時対応のため』という目的のもとで利用することは、個人情報の目的内利用であると明記することも可能か?)」等々といったこと。