市民自治の可能性(千葉県我孫子市市長 福嶋浩彦 氏)@メセナひらかた

 特定非営利活動法人ひらかたNPOセンター運営協議会が主催の講座。イロイロなことが自分なりに整理することができた内容でした。

 以下は、あくまで【情トラ】の個人的理解に基づいたうえのものですが、数多くの印象に残ったことから、いくつかだけをメモ。

  • 新しい公共をつくる
    1. 市民主体で、行政をコントロールする
    2. 多様な民間の主体と行政が、対等な立場で連携・協働して公共を担う
  • 市の全事業を対象に、企業・NPOから民営化提案を公募
    • その際に、単に「委託を受けます」とか、「コストは下がります」とかいう提案ではなく、いかにして「事業の質(ex.市民にとっての利便性)を向上させるか」といった観点からの提案を求める
    • 行政は、権力行使及びコーディネートとしての役割が必要となる場面において主体となり、民間が、サービスを提供する場面において主体となることでよいのではないか
      • ただし、全てを民間主体としたとしても、監視のコストも大きくなる。この点、アメリカなどでは、不正が発覚したときには、徹底的に罰するといった姿勢がとられている
  • 誰に責任があり、権限があるのか
    • 市民の代表は、市長である。つまり、責任者であり、決定者は、市長である
    • ただし、その決定までの過程は透明化しなければならないし、決定したことについては説明責任を果たす必要も
    • 市長が進める市民参画は、あくまで市長の権限内におけるもの。議会が権限を有している範囲においては、議会の判断で進められることになる
  • 常設型の市民投票制度
    • 地域の理念や方向性を主権者が直接選択するものであって、市民の責任が問われる制度である
  • 【情トラ】の感想・見解をいくつか
    • 日本国憲法92条にいう「地方自治の本旨」には、住民自治と団体自治の2つの要素がある。そのうち、住民自治とは、地方自治が住民の意思に基づいて行われるという民主主義要素を意味する。この講演「市民自治をめざして」とは、この憲法にいう「地方自治の本旨を実現することをめざして」に他ならないものとも考えられる
    • 民営化提案の公募は、「いわゆる市場化テストではなく、言うならば市民化テスト」との趣旨であろうことには、ある意味、非常に納得できる
    • 本来的には、議会こそが市民参画を求め、そのリソースを活用すべきではないか
    • 市民投票制度が、賛否いずれかの二択型という制度設計では、不自由すぎるのではないか。たとえば、市民投票を実施する前に、パブリックコメントを実施するなど、より柔軟で実質的な運用も求められると考える
  • 個人的に質問させていただき、ご回答をいただきました
    • 「市長の多選を条例で制限する」ことの実現を目指されていることについて
    • 【質問として】選挙における有権者の判断が基本なのであって、それを条例で画一的に禁止するとなると、市民主体の判断を阻害することになるのではないか。たとえば、継続してその人を市長に選びたいといった市民の判断があったとしても、それが実現できないことにならないか
    • 【ご回答として】そうした考えも一理あるが、個人的な考えとしては、地方自治のひとつの知恵として、多選を回避できるようにしたほうが、その自治体がバランス良く発展できるのではないか。どうしても、個々人によって得手不得手な分野があって、福祉分野に詳しい首長や、まちづくりに熱意ある首長など、様々な個性がある。一人の首長の多選が続くと、その自治体全体のバランスに偏りがでてくる可能性も高いのである(※福嶋浩彦さんからのご回答の大意であって、【情トラ】の理解のもと記載していますので、その旨ご留意ください)


【追記】参考として。
 自治体の首長の多選自粛(または多選禁止)を定める条例について - 【情トラ】附゛録゛