パブリック・コメント制度@福岡県

http://legalport.blog.ocn.ne.jp/jititaihoumu/2006/02/post_e32e.html
 貴重な情報をお教えいただき、アリガトウございます。
 やはり福岡県でも、制度としてのパブリックコメント手続が定められていたようですね。私が次のリンク集で「−」と記していたのは、福岡県庁Webサイトにおいてパブリックコメント情報を一覧化したWebページを見つけることができなかったため。早速、何らか内容を更新しておくことといたします。
http://www.geocities.jp/joho_triangle/publink.html


 なお、この「審議会の答申に係る福岡県意見書提出制度要綱」の施行は、調べてみたところ、平成12年度である模様。以下は、平成12年2月定例会(第1日) 麻生渡 知事 発言から抜粋したものです。

 重点施策の第七の柱は、「分権時代に対応した県行政の展開」であります。
 県民参加の県政を推進するため、県政の当面する課題や主要な施策などについて、広報紙の全戸配布やテレビ、ラジオ、新聞紙面などを通じた幅広い情報の提供を行ってまいります。また、県民の意見、要望などを県の施策に反映させるため、移動知事室、県政モニター制度などを実施するほか、県の重要な課題を県の審議会が審議する過程において県民の意見を求める意見書提出制度を導入していくことといたしております。


 さて、肝心の内容ですが、福岡県の制度は、次のように独特のものであるようです。

福岡県では、重要政策については審議会の答申を経て決定することが通例だからということで、その審議会が実施主体となってパブリック・コメントを実施する

 この点について個人的に思うところはイロイロあるのですが、関連する事柄として、「『何を決定する』ときに『誰がパブリックコメントの実施主体となる』べきか」ということについて、ひとつだけ私案を(メモ書きとして)掲げておきます(これは何も福岡県に限った話ではなく、地方自治体におけるパブコメ制度に関する話ということで。)。
 すなわち、地方自治体が実施するパブリックコメント対象案件に「条例案」を含んでいるところは、現在でも多々ありますが、そもそも「条例を設け又は改廃すること」は、「議会が議決する」案件です。そうした案件に関して、首長部局が実施主体となってパブリックコメントを実施することは(、議案提出前だから、とかいったとしても)、本来的には議会の権限を侵しているのではないかとの疑問が生じなくもありません。国が行う意見公募手続も、法律はその対象外とされているわけですし。
 しかし、住民の多様な意見を反映しうる手続としてパブリックコメント制度が存在するにもかかわらず、大いに住民の多様な意見を反映すべき「義務を課し、又は権利を制限する内容の条例等の制定・改廃」については、その制度の対象としないと取り扱うのでは、ある意味「勿体無い」とも考えられます。
 このように、「条例案に関するパブリックコメントについて、首長部局が実施主体となることは議会の権限を侵害しかねない」が、「条例案に関するパブリックコメントは実施したい」という場合、どのようにすればヨイのか。
 この解答としては、個人的には「『条例を決定する』ときに、『議会がパブリックコメントの実施主体となる』べき」ではないか、と考えています。これは(、一概にいうことはできないものの)、今日の地方議会は、個別の地元利益や支持を受ける職業団体等の利益を代表する一面を持ちますが、この役割から導かれるものとして、議員は個別利益を代理さえすれば当選できると言えなくはない現状がないとはいえないのではないかとの認識等を、その根拠のひとつとしています。もちろん既得権益に縛られず地域全体の利益を考える議員も多数いらっしゃいますが、そういった議員であっても、住民の声を集約するリソースは、個人後援会や地縁、血縁に頼ることが多いのではないかと思うトコロ。
 つまりは、多様な住民意見に対し、議会はリソース不足の状態にあり、そのリソース充足には、パブリックコメント制度の活用が非常に効果的なのではないかと考えているワケです。この場合、パブリックコメント制度においては応答責任がありますが、提出意見に対して議会が応答してもよいし、さらには議会が良質な意見だと採用したものについては、首長部局に答弁させることなども考えられるわけです。
 以上は、マダマダ単なるメモ書きに過ぎない内容であって、たとえば本当に「条例案に関するパブリックコメントについて、首長部局が実施主体となることは議会の権限を侵害しかねない」のか? だとか、どのような内容の条例であっても、その「『条例を決定する』ときに、『議会がパブリックコメントの実施主体となる』べき」といえるのか? だとか、多々検討しなければならない事項が山積みです、、、が、ひとつの地方自治のあり方に関する私案ということで、今後も検討していきたいと思っている次第。