法律家の思考と行政官の思考と,そして。
興味深いエントリ。せっかくなので,このエントリから少し引用しつつ,次に掲げる一連のものも読んだうえでの私的な視点を(,「かなり忙しいのですが」と言い訳しつつ),メモ書き程度の箇条書きにてup *1。
- 法科大学院は何をもたらすのか または 法知識の分布モデルについて
- http://bewaad.com/20060411.html#p02
- http://legalport.blog.ocn.ne.jp/jititaihoumu/2006/04/post_0ecc.html
- 「法律家の思考と行政官の思考」の違いとは(,非常に乱暴にまとめると),次のように表すことができるのではないか
- 法律家の思考
- 法的思考パターン= If A, do B (=もしAだったら、Bをしろ)
- 二元的・事後的・包摂型
- 行政官の思考
- 政策的思考パターン= For C, do D (=Cのために、Dをしろ)
- 多元的・事前的・裁量型
- しかし,行政の役割の拡大(肥大)等の結果,事後的法的思考だけでなく,事前的政策的思考にも基づくような「法」への要請が生じた
- つまり,政策的思考を含んだ法的判断が求められ,法的思考を含んだ政策的判断が求められているのではないか
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- 具体的には,望ましい社会状態を実現するために,将来的な抑止効果をもたせるような訴訟判決(政策的思考を含む法的判断)もある
- ex. 罰の厳しい認定や莫大な損害賠償責任の認定など
- 具体的には,望ましい社会状態を実現するために,将来的な抑止効果をもたせるような訴訟判決(政策的思考を含む法的判断)もある
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- また,望ましい社会状態を実現するために,事後的評価等をも考慮するような規制政策の設計(法的思考を含む政策判断)もある
- ex. 規制を設ける際における憲法的価値への必要不可欠な配慮など
- また,望ましい社会状態を実現するために,事後的評価等をも考慮するような規制政策の設計(法的思考を含む政策判断)もある
- そして,これらの思考パターンへの理解は,今後の「法律家」及び「行政官」には,より一層求められるモノであると考えられる
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- 具体的に考えると,「行政官の判断が裁判官の前で法的判断にさらされる事態が多くなれば」,行政官が法的思考パターンを理解しなければならない
- その背景としての行政事件訴訟法改正等
- 具体的に考えると,「行政官の判断が裁判官の前で法的判断にさらされる事態が多くなれば」,行政官が法的思考パターンを理解しなければならない
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- また,「行政事務の遂行を通じて社会実態を的確に把握し、必要に応じて法律(政省令又は条例・規則)の制定・改正を含む所要の施策を講じる」という立法・行政レベルの政策形成過程において,社会各層の要求や意見を公正に反映するためには,法律家(だけではなく,住民,議会,利害関係人,有識者等々)も政策的思考パターンを理解したうえで提言・提案しなければならない
- その背景としての行政手続法改正等
- また,「行政事務の遂行を通じて社会実態を的確に把握し、必要に応じて法律(政省令又は条例・規則)の制定・改正を含む所要の施策を講じる」という立法・行政レベルの政策形成過程において,社会各層の要求や意見を公正に反映するためには,法律家(だけではなく,住民,議会,利害関係人,有識者等々)も政策的思考パターンを理解したうえで提言・提案しなければならない
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- なお,後者の「行政官以外の者が,政策的思考パターンを理解する」ことは,当然ながらに,行政官自身も,より正当で,かつ,公平であるといった説得的な政策形成を行わなければならないことにつながるのではないか
- 特に「弁護士」に限って考えれば,「国会議員,地方議会議員を支援する役割としての立法過程への関与」,「いわゆるパブリックコメントへの関与」,「行政内部への所属」等により培われていくことも考えられるのではないか
- cf. 政策形成過程における弁護士の役割