「行政手続法に基づく手続」か,「任意の意見募集」か

 これらのパブリックコメント実施案件のことにつき,キチンと調べてはいないことを前提としたうえで,次の疑問をメモ。

  1. それぞれが該当するのは,「行政手続法に基づく手続」なのか,「任意の意見募集」なのか
  2. 果たして「意見提出が30日未満の場合その理由」として掲げられた理由は,適切であるのか
  3. 関係すると考えられる総務省令の改正は,一体いつ行われていたのか

 まず,1つめの疑問については,この2つのパブリックコメント案件の内容は,それぞれ同様のものであると考えられるにも関わらず,前者所管の農林水産省経営局協同組織課は「任意の意見募集」としており,後者所管の社会保険庁運営部年金保険課厚生年金保険管理係は「行政手続法に基づく手続」としており,何が両者の判断を分けたのか。
 次に,2つめの疑問については,後者が「行政手続法に基づく手続」としたうえで,次のような理由を掲げて,意見公募期間を30日間以上とらないことについて,果たして,理由があるものといえるのか。

●本省令案は、農林共済年金と厚生年金保険の統合により、農林共済年金から厚生年金保険に移行された年金の受給者の生存確認方法について、これまでは年に一度誕生月にはがきの提出を求めていたところを、住基ネットにより生存確認を行うというものであり、住民サービスを目的としたもの。
●5月生まれの方からこのサービスを適用するためには、5月1日公布が必要であり、30日以上の意見提出期間とすると、5月生まれの方は従来どおりはがき提出の負担を強いることとなる。
●よって、5月1日公布のため、意見提出期間を7日とする。

 これは,3つ目の疑問にもつながるものであり,住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)30条の7並びに同法別表第一の75の項及び81の項,そして,住民基本台帳法別表第一から別表第五までの総務省令で定める事務を定める省令(平成14年総務省令第13号)1条75項及び81項において,既に今回のパブリックコメントに関する事務については,本人確認情報の提供を受けることができるようになっていたと思うが,なぜ,現在になって,農林水産省厚生労働省は自らの省令を改正することになったのか。そもそも,5月1日公布が必要であるなら,3月中に意見公募をしておけばよかったのではないか(そもそも意見公募なんて必要ないと考えていたところ,4月になり改正行政手続法が施行されたため,やむを得ず,今回の意見公募となったのか。)。

【参考】


※ついでに,次の案件は,4月8日までの時点においては,e-Gov の一覧ページには掲載されていなかったはずなのに,「案の公示日 2006年3月31日」ということで,現在,掲載されている模様。法務省のサイトには掲載済みだったから,ともいえますけど。
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の一部改正に関する意見募集
 消防庁の案件は,消防庁Webサイトへの掲載日ではなく,e-Gov の一覧ページへの掲載日を「案の公示日」としていたのになぁ(^ー^)
【参考】 e-Gov に全て掲載されますように - 【情トラ】附゛録゛