第3回関西自治体法務研究会@大阪府豊中市

 第1回,第2回に引き続き,参加させていただきました。


 今回の報告も,いずれも非常に充実した内容で,たいへん参考になった次第。今年の秋の尼崎も参加させていただく予定です。なお,以下は,それぞれの報告には必ずしも直接的に関係ないものですが,これらに触発された私個人のメモということで。


条例制定権の限界について(幸田雅治・安念潤司・生沼裕『政策法務の基礎知識』(第一法規,2004年)p.114を参考しました)

  • 法令の規定が存在しない場合
    • 法規制を行わないという意思はなく,法令が空白としていることに係る条例
      • 制定は可能である
    • 法規制を行わないという意思をもって,法令が空白としていることに係る条例
      • 制定は不可とされる
  • 法令の規定が存在する場合
    • 法令の規定と明白に抵触する条例
      • 制定は不可とされる
    • 法令の趣旨・目的と異なった趣旨・目的で規律を行う条例
      • 原則として,制定は可能である。ただし,条例の適用により,法令が意図する目的と効果を阻害するときは,不可とされる
    • 法令の趣旨・目的と同一の趣旨・目的をもって,法令の規制より厳しい規律を行う条例
    • 法令の趣旨・目的と同一の趣旨・目的をもって,法令の規制の対象外の事項を規制する条例
    • 法令の趣旨・目的と同一の趣旨・目的をもって,法令の規制の基準未満の事項を規制する条例
      • これらの条例の制定が認められるかどうかについては,関係法令の規定がこれらを許容する趣旨かどうか,また,法令の規制とのバランスを失していないか等の議論があり,一律に,制定が可能または制定は不可といった判断をすることはできない
    • 法令の趣旨・目的と同一の趣旨・目的をもって,法令の権力的規制と異なるいわゆる行政指導型の規律を行う条例
      • 法令と正面から抵触するものではなく,制定は可能である場合も考えられる
    • 法令の特別な授権に基づく法施行の役割を担う条例
      • 授権の限界を超える制定は不可とされるが,授権の範囲内であれば当然に制定は可能である
    • 法令の特別な授権がないが法施行の役割を担う条例
      • この条例の制定が認められるかどうかについては,法令の規定がこの法施行条例を許容する趣旨かどうか,また,法令とのバランスを失していないか等の議論があり,一律に,制定が可能または制定は不可といった判断をすることはできない
    • 【法令及び条例の在り方の案として】法令の規定につき,地域の特性などに応じ,「それぞれの自治体が基準等を決定するほうが有意義である場合」等に,「それぞれの自治体の条例において独自の規定を設ける」ことを「許容する法令の明文規定」に基づく独自条例
    • 【取組みの案として】法令が及ぶ範囲に対する直接的な取組みとして
      • 地方自治法263条の3に定める制度の活用(全国連合組織から内閣への意見提出)
      • 行政手続法39条等に定める意見公募手続の活用(地方自治体から命令等制定機関への意見提出)/いわゆるパブリックコメントでは,地方自治体が積極的に意見を提出することも考えられるのではないか。特に,法令と条例との関係においては,命令等で実質的な定めがなされることも多いことから,地方自治体が,既に制定された命令等が規定する範囲内で,それぞれの条例を定めようと工夫するぐらいならば,そもそもの命令等が規定する範囲等につき,その制定手続を活用して意見を提出し,あらかじめ自ら条例を制定できる途を確保しておくことなど考えられないか
        • 【参考として】先般,「群馬県県民意見提出制度運営要綱素案」に対する意見として,「群馬県内の市町村は,意見等の提出者としての対象範囲に含まれるのでしょうか。基本的には,その他の制度等を利用することになるのでしょうが,排除するものでもないと考えますので,確認的な意味を含めて,その旨を明示しておくことを提案します」との意見を提出しました