違反行為に対する社会的な制裁としての公表制度

 ちょっとだけメモ。そう,あくまで個人的メモ。
 「違反行為に対する社会的制裁としての公表制度」というものがあると思うのですが,この「制裁目的の公表」って,一体何なのかがよくワカラナイ。もっと厳密にいえば,「制裁」が一体どういうものなのかがよくワカラナイ。いや,わからなくはないのですが,疑問が重なり積もってしまうということでして。
 以下に,疑問に感じる点のうち,いくつかだけを列挙。

  • 「制裁」といっても,公表者が意図したとおりの効果が生じるとは限らないのではないか
    • 「制裁」目的といっても,被公表者にとっては,逆に宣伝につながるようなことがありえるのではないか(ex.同時期同種同処理の案件であっても,Aにとってはマイナスとなったが,Bにとってはプラスとなった)
    • 「制裁」目的ではあるが,公表者が意図した以上のダメージを与えることがありえるのではないか(ex.あくまでCにおけるDという違反行為に制裁を与えようとしたのであるが,Cにおける他のEやFといった適法行為にもダメージが波及した)
    • 「制裁」目的であっても,そもそも公表に対して,社会が何ら反応しないこともありえるのではないか(ex.Gという違反行為を公表したが,そもそも当該違反行為に対しては,社会的なニュースバリューが存在しない)
      • なお,これらの疑問に対するひとつの対応としては,「制裁」目的の公表につき,一般的な規定を設けるのではなく,個別具体的に規定を設けることによって,「制裁」の効果につき,(ある程度の)予測が可能とする(≒予測が可能になると思い込む(?))ことが考えられるか
  • 公表する前に「制裁」効果が生じてしまうことがないか
    • 「制裁」目的で公表を行うとして(,やはり被公表者に対する聴聞等の事前手続の保障が重要となると考えるが),そのような事前手続をとること自体が,当該情報を公に表す効果を有していないか。特に,そうした公表の差止め請求が認められるとして,そうした請求自体が,当該情報を公に表す効果を有するのではないか
    • すでに違反行為の事実が社会的に周知されているなどの場合において,(それを追認するかのように)当該事実を公表することに,果たして問題はないか

【参考として】参議院法制局