第1回新司法試験の結果に関する個人的備忘録

 いろいろなblog などにおいて,それぞれ先般の結果をふまえたデータを掲げた分析等がなされているようですが,私的には最も分かりやすい並び替え(ザックリ言うと,「最終合格率を真ん中に配置し,左をみれば短答に関するデータが,右をみれば論文に関するデータが」という並び)を行ったので,次に掲げておくことに。
 ついでに,文部科学省が行った調査*1の結果による個別留意事項も付しておいたので,何らかの相関があるのかないのか,ご参考まで。単なる感想としては,受験者数が1名であった2つの法科大学院における今回の結果の違いと,この2校が来年はどうなるのかについて,なんとなく気になった。かも。
※なお,30分程度でザーッと作成したものなので,データの取扱いミスがあるかもしれませんので,その旨ご注意ください。)。

法科大学院名(受験者数) 短答 合格率 順位 最終 合格率 順位 短答 合格者最終 合格率 順位 H17年度 年次計画履行状況調査の結果による個別留意事項
島根(1) 100.00% 1 100.00% 1 100.00% 1 法曹養成を担う法科大学院として、制度の趣旨に対する理解を一層深め、教育研究活動全般を通じて格段の充実を図ること。その際、認可時以降の留意事項については、依然として十分に履行されているとは認められないことから、以下の点と併せて、適切に対応すること。○ 国際関係科目の履修指導の在り方を検討するとともに、「地域と法」に関する授業内容と配当学年を更に検討するなど、設置の趣旨の実現に努めること。○ 授業科目(特に展開・先端科目)の履修に偏りがないように、具体的な処置を講ずること。○ 法律基本科目の編成方法、教育内容について、更に改善すること。○ 臨床系実務教育の配当年次について改善すること。○ 1日の必修科目のコマ数が適切な分量となるよう改善すること。○ 教材の指定とレジュメの配付について、学生の自学自習に支障がないように改善すること。○ 成績評価の偏りが見られるので、成績評価の在り方(客観性及び厳格性の確保、学生に対する明示、再試験制度の方法等)について抜本的に再検討し、改善を図ること。○ 履修免除試験の一部科目合格者に係る在学期間の短縮制度について抜本的に再検討し、改善を図ること。○ 図書について、自習室に最低限必要な基本書及び雑誌を揃えるなど充実を図ること。
一橋(53) 96.23% 8 83.02% 2 86.27% 2
愛知(18) 94.44% 10 72.22% 3 76.47% 5 ○厳格な成績評価について、引き続き検討し、早期に改善すること。
東京(170) 84.12% 25 70.59% 4 83.92% 3 ○法律基本科目の授業について、50名が標準とされていることを踏まえ、現状のクラス規模における教育効果を検証し、適切な対応をとること。
北海道(37) 94.59% 9 70.27% 5 74.29% 11
大阪市立(26) 92.31% 13 69.23% 6 75.00% 7
京都(129) 86.82% 21 67.44% 7 77.68% 4 ○法律基本科目の授業について、50名が標準とされていることを踏まえ、現状のクラス規模における教育効果を検証し、適切な対応をとること。
神戸(62) 93.55% 11 64.52% 8 68.97% 16
慶應義塾(164) 84.15% 24 63.41% 9 75.36% 6
早稲田(19) 89.47% 16 63.16% 10 70.59% 14 ○ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の成果を全教員に浸透させる方法の策定を含め、一層の推進に努めること。○ 自習室など施設の充実に努めること。
名古屋(28) 85.71% 22 60.71% 11 70.83% 13
福岡(5) 80.00% 29 60.00% 12 75.00% 7
千葉(26) 88.46% 18 57.69% 13 65.22% 18 ○成績評価基準の一層の明確化に努め、あらかじめ学生にそれを明示する等、適切に運用すること。○ 法律基本科目の民事訴訟法の科目については、理論的教育を担う専任教員を配置するよう、引き続き努めること。
創価(14) 92.86% 12 57.14% 14 61.54% 22
中央(239) 88.70% 17 54.81% 15 61.79% 21
山梨学院(11) 72.73% 40 54.55% 16 75.00% 7 ○厳格な成績評価の体制を確保すること。○ 専任教員の年齢構成に偏りがあるため、早期に対応するよう、引き続き努めること。○ 学生による授業評価、教員の相互評価等の在り方も含め、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の実効的な実施体制を整備すること。○ 自己点検・評価の実効的な実施体制を整備し、着実に実施すること。
九州(13) 76.92% 34 53.85% 17 70.00% 15
南山(10) 80.00% 29 50.00% 18 62.50% 19
新潟(10) 80.00% 29 50.00% 18 62.50% 20 ○授業運営(多方向、双方向授業の工夫、同一分野の授業科目間の連携)について、各教員間の共通理解が図られるよう、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の一層の推進に努めること。○ 成績評価基準の一層の明確化に努め、あらかじめ学生にそれを明示する等、各種情報開示を適切に行うこと。
國學院(2) 100.00% 1 50.00% 18 50.00% 29
近畿(6) 66.67% 48 50.00% 18 75.00% 7 ○授業内容について、予習・復習がバランスよく行えるように改善すること。○ 兼任講師について、オフィスアワーが設けられないのであれば、基礎科目については、なるべく専任教員が担当するように配慮すること。
白鴎(6) 100.00% 1 50.00% 18 50.00% 29 ○専任教員の年齢構成に偏りがあるため、早期に対応するよう、引き続き努めること。○ 教育課程における法律基本科目の比重について改善し、また、土曜日の補習指導の在り方について、学生の自主性を妨げることがないよう配慮すること。
西南学院(4) 75.00% 37 50.00% 18 66.67% 17
金沢(2) 100.00% 1 50.00% 18 50.00% 29
横浜国立(10) 70.00% 45 50.00% 18 71.43% 12 ○自己点検・評価の実施項目が、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)と重複しているが、より幅広く自己点検・評価を行う体制を整備すること。○ 履修科目の登録の上限単位数については、適切に配慮すること。
大阪(21) 80.95% 28 47.62% 26 58.82% 24 ○法律基本科目、法律実務基礎科目の履修への偏りが生じないよう、選択必修等により工夫するなどの配慮を行うこと。○ 成績評価について、各教員間でばらつきが生じないように、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)を充実するなど、対策を講じること。
東北(42) 78.57% 32 47.62% 26 60.61% 23 ○教育課程や入学者選抜に関して変更がある際には受験生、学生に不利益を及ぼさないよう事前に十分な周知を行うこと。○ 成績評価基準の一層の明確化に努め、あらかじめ学生にそれを明示する等、適切に運用すること。
明治(95) 90.53% 15 45.26% 28 50.00% 29
明治学院(18) 77.78% 33 44.44% 29 57.14% 27
成蹊(25) 88.00% 19 44.00% 30 50.00% 29 ○社会人学生に配慮し、科目配置等について工夫すること。○ 成績評価基準の適切な運用を含め、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の一層の推進に努めること。
関西学院(64) 75.00% 37 43.75% 31 58.33% 25
東京都立(39) 87.18% 20 43.59% 32 50.00% 29
名城(5) 100.00% 1 40.00% 33 40.00% 43 ○昼夜同一科目の内容に齟齬がないように改善すること。また、学生相談の時間帯が夜間中心となり、昼間対応が手薄にならないように配慮すること。○ 進級要件や、法学既修者の単位認定の単位数など、設置認可申請時の計画から変更しているが、これらの点について、学生に周知徹底するとともに、不利益が生じないようにすること。○ 資料室の充実を図ること。○ 双方向・多方向型の授業を一層充実すること。
同志社(88) 69.32% 46 39.77% 34 57.38% 26
立教(18) 72.22% 42 38.89% 35 53.85% 28
法政(61) 75.41% 36 37.70% 36 50.00% 29 ○法律基本科目の刑事訴訟法の科目については、理論的教育を担う専任教員を配置するよう努めること。
関西(50) 84.00% 26 36.00% 37 42.86% 42
青山学院(14) 71.43% 43 35.71% 38 50.00% 29 ○ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)、自己点検・評価の一層の推進に努めること。
上智大学(51) 76.47% 35 33.33% 39 43.59% 41 ○授業運営、学生による授業評価結果の活用なども含め、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の一層の推進に努めること。○ 自己点検・評価の実効的な実施体制を整備し、着実に実施すること。○ 履修科目の登録の上限単位数については、適切に配慮すること。
岡山(12) 66.67% 48 33.33% 39 50.00% 29 ○自己点検・評価及びファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の実効的な実施体制の早期の整備に努めること。○ 展開・先端科目の配当年次の変更については、学生の教育効果にも十分に配慮したものとなるようにすること。○ 社会人や他学部出身者については、教育上、十分に配慮すること。
神奈川(13) 84.62% 23 30.77% 41 36.36% 45 ○成績評価について、各教員間でばらつきが生じないように、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)を充実するなど、対策を講じること。○ 実務家教員については、教員間の教育負担のバランスを取ることはもとより、全体の負担軽減についても一層配慮すること。○ 時間割の編成上、刑法について、1年次必修科目としているが、「刑法各論」、「刑法総論」が2〜5限に1日で履修するようになっているため、学生及び教員の負担に配慮すること。
学習院(49) 63.27% 51 30.61% 42 48.39% 39
甲南(18) 83.33% 27 27.78% 43 33.33% 46
立命館(102) 67.65% 47 26.47% 44 39.13% 44 ○ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の実施体制を一層整備すること。
久留米(4) 50.00% 55 25.00% 45 50.00% 29
熊本(4) 100.00% 1 25.00% 45 25.00% 48 ○成績評価の明確化に努め、あらかじめ学生にそれを明示する等、適切に運用すること。○ ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の体制を整備し、学生の授業評価アンケートの活用なども含め、取組の一層の推進に努めること。
広島(12) 91.67% 14 25.00% 45 27.27% 47
大東文化(19) 47.37% 57 21.05% 48 44.44% 40 ○専任教員の年齢構成に偏りがあるため、早期に対応するよう、引き続き努めること。○ ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の実効的な実施体制を早急に整備すること。
専修(51) 72.55% 41 17.65% 49 24.32% 49 ○学生の授業評価について、効果的にフィードバックがなされるような方法を検討するとともに、学生からの要望を適切に取り入れるシステムを構築すること。
東洋(24) 70.83% 44 16.67% 50 23.53% 50 ○自己点検・評価の実効的な実施体制の早期の整備に努めること。○ 学生の授業評価アンケートの活用なども含め、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の一層の推進に努めること。○ 成績評価基準の明確化に努め、あらかじめ学生にそれを明示する等、適切に運用すること。○ 専任教員の年齢構成に偏りがあるため、早期に対応するよう、引き続き努めること。○ 双方向・多方向型の授業を一層充実すること。
日本(54) 55.56% 53 12.96% 51 23.33% 51 ○授業アンケートについて、学生が提出しやすいように運用を工夫すること。また、アンケート結果を効果的にフィードバックさせる体制を整備すること。○ ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)は、教員の連携を強化するなど、より組織的に実施すること。○ 成績評価基準の明確化に努め、あらかじめ学生にそれを明示する等、適切に運用すること。○ 法学部が別地にあることを考慮して、教員の授業の負担のバランスを適切に見直すこと。
駿河台(21) 47.62% 56 9.52% 52 20.00% 52 ○自己点検・評価の実効的な実施体制の早期の整備に努めること。○ 専任教員の年齢構成に偏りがあるため、早期に対応するよう、引き続き努めること。○ 修了試験の実施方法等について、あらかじめ学生に明示し、適切に運用すること。○ 履修科目の登録の上限単位数については、適切に配慮すること。
関東学院(15) 73.33% 39 6.67% 53 9.09% 54 ○成績評価基準の明確化に努め、あらかじめ学生にそれを明示する等、適切に運用すること。また、厳格な成績評価の体制を確保すること。○ 法科大学院にふさわしい授業実施のため、教員相互の授業参観も含めた各種の改善、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の一層の推進に努めること。○ 入学状況に対応して、未修・既修の枠組みについて検討し、その方向性を明確にすること。○ 授業評価アンケートの実施時期等について、工夫すること。
駒澤(18) 55.56% 53 5.56% 54 10.00% 53 ○発展演習科目等、一部の科目について、展開・先端科目に分類する妥当性に関して検証し、適切に対応すること。
姫路獨協(8) 62.50% 52 0.00% 55 0.00% 55 法曹養成を担う法科大学院として、制度の趣旨に対する理解を一層深め、教育研究活動全般を通じて格段の充実を図ること。その際、認可時以降の留意事項については、依然として十分に履行されているとは認められないことから、以下の点と併せて、適切に対応すること。○ 教育課程については、展開・先端科目の比重の在り方を含め、法曹養成の目的実現のため、適切なバランスを確保し、不断の点検・見直しを行うこと。また、偏りのない適切な科目選択がなされるよう、履修指導の充実に努めること。○ シラバスの作成と適切な運用、法科大学院に相応しい授業(双方向・多方向の授業など)の実践、ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)や自己点検・評価の実施などにつき、教員間の共通理解を確立し、組織的な取組の強化を図ること。○ 教員間の共通理解の下、厳正な成績評価の実施に努めること。成績評価の在り方が不透明なものとならないよう、本試験の内容・方法、本試験に対する補充試験の位置づけ等について所要の見直しを図ること。また、一部の科目において、学生の出席状況が必ずしも十分でないことから、実状を的確に把握し、授業内容・方法や成績評価の在り方の見直しを含め、適切な対応をとること。○ 法学既修者の入学者選抜や一括単位認定の在り方について、当該既修者の学修状況を一層的確に判断する観点から、適切な見直しを図ること。○ 学生による授業評価について、今後、その意義を学内に広く理解させ、継続的・効果的に実施すること。また、法律基本科目の在り方などへの厳しい意見など、授業評価の結果を今後の具体的な改善に生かすこと。○ 専任教員の年齢構成に偏りがあるため、早期に対応するよう、引き続き努めること。○ 施設・設備について、法科大学院の学生利用環境の改善充実に引き続き努めること。
神戸学院(3) 66.67% 48 0.00% 55 0.00% 55 ○履修科目の登録の上限単位数については、適切に配慮すること。○ 授業アンケートについて、学生が提出しやすいように運用を工夫すること。また、アンケート結果を効果的にフィードバックさせる体制を整備すること。○ ファカルティ・ディベロップメント(授業内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究)の実効的な実施体制の早期の整備に努めること。
東海(3) 33.33% 58 0.00% 55 0.00% 55 ○授業クラスの人数について、申請書の記載に基づき、少人数クラスを実施すること。○ 双方向・多方向型の授業を一層充実すること。○ 成績評価基準の明確化に努め、あらかじめ学生にそれを明示する等、適切に運用すること。
京都産業(1) 100.00% 1 0.00% 55 0.00% 55

*1:法科大学院の教育水準の維持・向上及びその主体的な改善・充実に資することを目的として、文部科学省告示に基づき、文部科学省が、設置認可後、当該認可時における留意事項(設置基準の要件は満たしているが、一層の改善・充実が必要と認められた事項)、授業科目の開設状況、教員組織の整備状況その他の設置計画の履行状況について、各法科大学院から報告を求め、書類、面接又は実地により調査するもの