首長の多選問題

 総務省「首長の多選問題に関する調査研究会」による報告書の取りまとめ方針が掲出されていたので,メモ。
首長の多選問題に関する調査研究会(第5回)議事要旨(PDF) 

 総務省の「首長の多選問題に関する調査研究会」(座長・高橋和之明大教授)が今月末をメドにまとめる報告書の概要が19日、明らかになった。
 地方自治体の首長について、3選以上を法的に制限することは、憲法上、許されるとの見解を打ち出す。知事や政令市長に限らず、それ以外の市町村長の多選制限も憲法上、認められるとする。
(中略)
 多選制限は「必ずしも憲法に違反するとは言えない」との見解を明確にする。
 その上で、任期を「1期」限りとし、「再選」を制限することは、「選挙人が首長の実績を判断する機会を奪うことになり、憲法上、問題がある」とし、憲法が許容するのは3選以上の制限との見解を示す。3選から制限するか、4選、5選からとするかは立法政策の問題と位置づける。
(中略)
 多選制限を制度化する方法については、〈1〉法律で一律に制限する〈2〉新たに法律に根拠を定めた上で、制限するかどうかや、制限の具体的内容は条例に委ねる――の2案を示す。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070520it03.htm から一部を抜粋

 (現時点での)首長の多選問題に関する個人的見解は,既に掲げたとおり。

 要約すると,多選制限の制度化ではなく,「地方自治法81条の要件を緩和できるよう法改正を行い,その具体的内容は条例に委ねるとの制度設計」又は「住民からの発議に基づき,議会に首長解職に関する審議を義務付け,可決となれば首長解職となるとの手続創設」をアイデアとして有しています。


 なお,今回の調査研究会の件は,興味深い考察内容が掲げられた次のエントリ経由で。

 どうなんだろ,と思っていたのはその制限のやり方。たぶんここは今回の研究会の議論の焦点にはしてないと思うのですが,中央政府の法律で定めるとなると(あんまりこの言葉は使いたくないものの)やはり「地方自治の本旨」にひっかかるんじゃないか,という気がして仕方がない。首長がある一定以上の任期を務めることができるか,っていうのはまさに団体自治の根幹みたいなところなわけだし,中央政府が,全国一律に多選制限をして,例えば五選なんかを望んでくる住民の意思(そんなものがあるかどうかは知らないですが,設例として)をはじめから制限するというのはちょっと問題があるんじゃないだろうか。いや僕は基本的にはそんなに分権分権言うのは好きではないですが,こういう風な意思決定の問題こそまさに(ほんとにやるなら)分権すべきじゃないだろうか,と思うところで。
(中略)
 多選がやや難しいところは−条例でやるとむしろこっちが問題になってくると思うのですが−議会が首長に対する不信任を突きつけて,任期途中でやめさせることができるのとどう整合性を取るのか,というところ。
多選禁止 - sunaharayのブログ から一部を抜粋