パブリックコメント・カレンダー080918

これまでの主な成果
 平成11年4月に策定した総合基本施策において「地震調査研究の推進方策」及び「当面推進すべき地震調査研究」として示した課題は、この約10年間、国、関係研究機関、国立大学法人等が連携・協力した体制の中で、いずれも一定の成果が上げられたと言えよう。具体的に生み出された主な成果を以下に示す。
(基盤観測網の整備)
 地震本部が策定した「地震に関する基盤的調査観測計画」等に基づき、高感度地震観測網やGPS観測網等、世界的にも類を見ない全国稠密かつ均質な基盤観測網が整備されるとともに、その観測データの幅広い流通・公開が実現した。このような基盤観測網で得られた地震観測データ等については、文部科学省気象庁との協力の下、一元的に収集・処理し、地震調査委員会における地震活動の評価等に提供されている。大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域及びその周辺における観測等も充実した。また、衛星搭載の合成開口レーダーや、GPS−音響測距方式による地殻変動観測技術が向上した。
(基礎研究の推進による知見の獲得)
 科学技術・学術審議会の建議「地震予知のための新たな観測研究計画」等の下、基盤観測網等で得られる観測データを基に、低周波微動やスロースリップ現象の発見、プレート境界地震のアスペリティモデルの構築、内陸における地殻のひずみ速度が大きい地域の発見等、地震発生メカニズムの解明に繋がる新たな知見の獲得が進んだ。
(全国を概観した地震動予測地図の作成)
 「地震に関する基盤的調査観測計画」等において、主要活断層帯として指定した全国110の活断層帯及び主要な海溝型地震を対象とした調査観測・研究が実施された。これらの調査観測・研究から得られた結果等に基づき、関係機関の協力の下、地震調査委員会において、地震の発生場所、規模、将来的な発生確率についての評価(長期評価)を行い、順次公表している。また、強震動評価手法の高度化を行うとともに、震源断層を特定した強震動評価を行い、これについても公表している。さらに、平成17年3月に長期評価や強震動評価等の結果を統合した「全国を概観した地震動予測地図」を作成・公表するとともに、最新の成果に基づいて毎年更新を行っている。
緊急地震速報の開始)
 地震発生直後に震源に近い観測点で観測された地震波を解析して、震源地震規模を即時推定する技術が開発され、その技術に基づき地震動を予測し、強い揺れが発生する直前にその予測結果を知らせる緊急地震速報について、気象庁が平成18年8月より一部の事業者向けに、平成19年10月からは一般への提供を開始している。