パブリックコメント・カレンダー090403

 我が国は「世界全体の温室効果ガスの排出量を現状と比べて2050年までに半減する」という長期目標を提案し、世界に誇り得る「低炭素社会」を目指している。
 このための重要な取組みが新エネルギーの技術開発や普及促進である。
 その中でも、太陽光発電については、「低炭素社会づくり行動計画」(2008年7月閣議決定)において「再生可能エネルギーの中でも特に潜在的な利用可能量が多く、エネルギー自給率の低い我が国の国産エネルギーとして重要な位置づけを占める可能性がある」とされ、エネルギー・セキュリティの確保や地球温暖化対策の観点から、我が国における新エネルギーの中でも、その導入拡大には高い期待が寄せられている。
 また、我が国の太陽電池は、世界に先駆けて行われてきた研究開発の成果もあり、世界で最も高品質(高効率、長寿命)とされている。関連産業の裾野も広く、雇用創出の効果も大きいものと見込まれている。
 とりわけ、現在の経済環境のもと、太陽光発電の導入の約8割が住宅用である我が国の現状にかんがみれば、その導入拡大は、太陽電池の産業のみならず、関連産業も含めて地方の経済や雇用にとっての重要な意義を有している。中長期的な視点からも、我が国の経済・産業が直面しているグローバルな競争環境のもと、我が国の太陽電池が技術の優位性を中心とする産業としての「強み」をこれからも発揮し、世界の市場を牽引していくことにより、将来の我が国の産業の中核を担うものとしての期待も高い。
 さらに、個人にとっては、他の新エネルギーと比べて、自ら導入に取り組むことが比較的に可能な電源であり、国が取り組むべき地球温暖化対策という課題に対して、一人一人の国民が自らの意思で参画し得る電源としてとらえることができる。このように、太陽光発電は、エネルギー政策や低炭素社会の形成の観点はもとより、経済政策や産業政策の観点にかんがみ、その導入拡大には一層の重要な意義を見出すことができると考えられる。
 特に注視すべきは、太陽光発電について「低炭素社会づくり行動計画」において「導入量を2020年に10倍、2030年には40倍にする」との高い導入目標が課されているとともに、「3〜5年後に太陽光発電システムの価格を現在の半額程度にすることを目指す」という高いコスト低減目標が課されていることである。
 すなわち、風力発電バイオマス発電などと比べて現状では発電コストがなお高い水準にはあるものの、太陽光発電については、技術革新と量産効果による市場の拡大を通じて将来のコスト・ダウンが強く求められているのである。
 太陽光発電のコスト・ダウンの加速化を図ることによって、その導入拡大の意義をより確実なものとし、かつ、現下の厳しい経済・雇用の情勢を打開する「鍵」としての期待にも応えていくことが非常に重要であると考えられる。
 このような視点から、ここ3〜5年こそが、我が国の太陽光発電にとっての「正念場」であると考えられる。
 したがって、我が国の新エネルギーの中でも、太陽光発電について、これまでの施策に加えて、新たな措置も含めた総合的な取組みを集中的に実施することによって、需要創出の効果の拡大を図り、市場拡大の中での太陽光発電のコストの低減目標の達成を確実なものにすることが可能であり、かつ、必要不可欠であると考えられる。
 このことにより、併せて、さまざまな分野での太陽光発電をはじめとする新エネルギーの活用をもたらし、我が国における創造的なモデルが世界を先導することも可能となると考えられる。