新潟県 平山征夫知事 −「新潟方式」の地域づくり−

 全国知事リレー講座。
 以下は、個人的なメモとまとめです。
 (あくまで【情トラ】管理人の個人的ノートですので、事実誤認等あればゴメンナサイ)


−「新潟方式」の地域づくり−


1 新潟県とは
 江戸末期までは、日本一の人口を誇った新潟。当時の人口は、何と150万人(江戸が90万人だったというのに。)。
 現在において新潟と言えば、、、人物では田中角栄氏、田中真紀子氏。あとは、「大雪→豊富な水→米どころ→お酒」。そして、トキ(ニッポニアニッポン)。

 また最近では、北朝鮮拉致問題と東京電力原子力発電所問題で、ここ2年ほど平山知事はテレビによく出演。その頻度は、全国知事のテレビ出演を調査した結果によると5本の指に入るとのこと。

※参考※ 東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所について
http://www.pref.niigata.jp/atom/kk/index.htm

 特に北朝鮮問題については、万景峰号入港問題もあり、これについては、賛否両論、様々な意見が届いている。知事は、港湾管理者としての立場として入港の許可を与える立場にあるが、あくまで港湾管理者としては開港自由の原則を守るということがルールとなっているので、港湾管理者においてこう思われるから止めてしまえとはいかない。だから国に対して別途、法的措置をとって対応していただきたいということをお願いして、今般、議員立法で入港をとめることできる法律案が提出され、現在国会にて審議中である。

新潟県庁HP/知事記者会見要旨(平成16年4月7日)より抜粋

(特定船舶入港禁止法案について) 
Q 
 昨日、自民公明両党が特定船舶入港禁止法案を国会に提出し、また万景峰号の入港も今月末に予定されているが、改めて法案に対する期待など伺う。
A 知事
 前々からこの法案については議員立法でやるという話だったが、それぞれ政党に提出方要請してきたわけなので、要望が形になってきたということについては評価したい。
 実際にどういう発動ができるかということについては、いろいろ議論が残っていると思うが、形として、(発動)できるようにしておくということは、大変意味がある。国民感情、県民感情からいっても、そのこと(法を整備すること)に対しては大勢の方が支持すると思う。
 一点あるとすれば、国際法上の開港という原則と、個別法による阻止ということが法的にどうなるのか宿題としてあったわけだが、国が一定の条件を侵すものに対して一定の措置ができるというのは、私は理屈として成り立つだろうと思っている。


2 新潟県が目指す国際化
 古くからの交流実績があり、地理的にも新潟から近い中国東北三省、ロシア、韓国などの、日本海を取り囲む地域との連携のもとで、より活発な交流を推進。中国は豊富な労働力と大きなマーケットが、ロシアは地球上最後ともいわれる資源が、韓国・日本は高い技術力と確かな資本力があることにより、それぞれがそれぞれの長所を足しあう「互恵の精神」と「相互理解」が重要になるとのこと。


3 地方分権地方自治の確立
 最近の1番の関心事は、何といっても地方分権である。国とは別の形で地方外交などをやってはいるが、多くは中央集権で一定のルールのもとでやらざるをえない。例えて言えば、学生食堂におけるメニューで、定食A・B・Cしかないようなものである。確かに定食は安くて、予め栄養も考えられているので良い面も多いのだが、少しくらい値段が高くなったって自由におかずを選ばせて欲しい!という気持ちが芽生えてくるのではないか。メニューを決められて、それでやってくださいよというのでは、個性がないし、また、結果に対して自己責任の考え方が生じてこない。受益と負担の関係が明らかになることが自律の条件であり、自分でお金の使いみちを決められるのであれば、一所懸命になってより効果的でより満足のいくものを検討することになるだろう。地方分権とは、現段階では国が地方に権限をわたす改革とみられる傾向があるが、そうではなく地域がその地域自身のことを真剣に考えるきっかけと見るべきである。


4 なぜ構造改革を行わなければならないか
 世界の人口の推移をみると、西暦元年には1億人だったのが、いまから200年前には9億人になり、100年前には17億人、そして現在60億人と、ここ100年において爆発的に増えているといってよい。2050年には93億人となると予想されており、このままでは限りある地球の資源が枯渇することが目に見えているのである。こうしたときに進むべき道は2つ考えられ、ひとつはみんなが負担しあってお互いに助け合う方法、そしてもうひとつが効率性を求めてみんなが競争する方法。前者が「大きな政府」であり、後者が「小さな政府」。日本は現在「大きな政府」であるが、国と地方の借金が合わせて719兆円ともいわれているなかで、大きな政府のままではいられない現状にある。だからこそ構造改革地方分権が必要と考えられるのである。


5 新潟方式の地域づくり
 3つのア。「identity/個性−amenity/暮らしやすさ−activity/活気」が必要。最近の例では、「アルビレックス新潟」が良いケースといえよう。当初「県がもっと補助すべし」との声があり、議論になったが、「ファンを集めてから言え!」、「集めりゃいいんだろ!」といった大喧嘩(?)の結果、手づくりで知恵をしぼってファンを集めて、今ではものすごい集客力を示すまでなった。

※参考※
http://www.albirex.co.jp/

 ほかは、「一村一価値」運動や「里創プラン」、にいがた「緑」の百年物語といった取組みをしている。


【情トラ】管理人 まとめ

 北東アジア経済圏という、ロシア・中国・北朝鮮・韓国・モンゴルそして日本が形成する経済圏における、日本の窓口であり拠点として新潟県は位置付けられる。そもそも新潟は江戸時代末期までは日本一の人口をほこる土地であり、当時の人口は150万人。江戸の90万人をはるかに超えるものであったのだが、新潟が今後北東アジア経済圏における交流をもとにして、そのような地位に再び返り咲く可能性がないとは言えないのではないか。
 確かにゴルバチョフペレストロイカまでは、イデオロギーの対立により北東アジア経済圏の形成ということ自体が不可能に近かったであろうが、現在においては、そうした政治的な壁もほとんどなくなっている。中国は2008年の北京オリンピックぐらいまでは、7〜8%の成長をするともいわれており、韓国も5%くらいの成長軌道を確かにしてくるだろうといわれる。さらにはロシアも、今やサウジアラビアと並んで世界一の石油産出国になろうとしており、5%成長を確実にしてきている。このような状況においては、北東アジア経済圏として、「一体として互恵」という言葉を使い、お互いが成長しようとやってきた新潟の取組みが、ようやく本当の意味で実現に近づくのではないだろうか。そこに日本の拠点としての地位への返り咲きが見えなくはない根拠があるのである。

※「21世紀の日本の進むべき道−そして地方」〜寺島 実郎氏((財)日本総合研究所理事長)との対談〜 (平成16年1月15日、於:東京都内)
を参考にしました。

※参考
http://osaka.yomiuri.co.jp/chiji/ch40423b.htm