法廷のなかの人生/佐木隆三

 法廷のなかの人生 (岩波新書) 法廷のなかの人生 (岩波新書) /佐木隆三
 【情トラ】管理人として裁判傍聴をするにあたって、「無心に傍聴席にすわりつづけて四半世紀。裁判傍聴業を自称する作家」の法廷エッセイは読んでおくべきでしょー、ということで読了。ひとりでできることには限界があると思うので、このような先人の業績は、素直にお世話になります(といっても、ひとつに限らず、複数のものを参考にさせていただく予定。)。やはり、一回でも刑事裁判を傍聴したことがあるかどうかで、この本を読む際の臨場感というか感じ方が全く異なるだろうという印象を受けました。何事も経験は大事であり、また、その経験だけでは主観だけに偏ってしまいかねないということですかな。
 なお、内容については、過不足ない適度な質量。この本を読了するぐらいの方なら、もし傍聴経験がない場合は、ならば1回傍聴しに行こうかという気を起こさせるでしょうし、経験アリの場合は、このような視点もあるということを踏まえつつ、再度傍聴しようという気を起こさせるのではないでしょうか。

 あと、個人的に気になったことが、以下の記述。

(1873年5月)京都を本拠とする豪商の小野組が、京都裁判所へ「難渋御訴訟」をおこした。三井・島田組とならび、新政府の御為替方をつとめる小野組は、貿易実務のこともあって、当主の小野善助が東京へ転籍を願い出たところ、京都府が許可しなかったからだ。わが国の住民訴訟として、これが第一号である。<p.134>

 ちょっと、後日、調べてみようっと。