性的自己決定力の育成について【獨協】

■子どもたちの性は、10代の妊娠の70%近くが中絶に至っており、また、HIVエイズが10〜20代に顕著な形で増加しているという現況にある。こうした状況は、このまま放置しておけないものであり、国の施策、教育などによって、子どもが性にかかわる確かな自己決定権を行使できる力を育成する必要がある。
■性にかかわる子どもの人権には、「安全権」「幸福追求権」「学習権」の3つがある。このうち、特に「学習権」は、性的主体者として自己決定力をつけるためには不可欠といえ、性についての科学的社会的認識を備えた「予知力」を育てることにつながる。しかし、「性」は相手との関係性を伴って初めて具体化する行為であるので、自己決定といっても自分中心の考え方では意味がない。それゆえに性的自己決定の力には、自尊心を持った「交渉力」も必要とされるのである。
■こうした「予知力」「交渉力」をつけるためには、子ども・青年の教育学習の機会をふやし的確な情報提供を行うとともに、情報収集活動を大人たちが支援することが期待される。この点で、学校や社会が果たすべき役割は大きいといえよう。