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科学的合理性と社会的合理性【京都】

【問1】 ■真理境界(科学者の妥当性境界)と責任境界(公共の妥当性境界)は、従来は前者が既に固まったところで、後者が議論されることが多かったので、両者は一致するものと信じられてきた時代があった。しかし、現在においては、この両者は一致するもの…

組織に距離をおく日本人のあり方【I】

問1 ■これまでの日本の特徴は、組織に依存した集団主義であるとされていた。しかし、今日では、自分なりの働き方や生活スタイルにこだわり、仲間同士の私的な人間関係を大切する「マイペース型個人主義」、所属組織よりも自分の専門とする仕事に一体化する…

生命倫理/科学技術/法/民主主義【I】

問1 ■現代においては、科学技術が発達したことにより、従来からの生命倫理に同様がもたらされることとなった。そして、この両者の調整を、法が規定することによって求められているのである。 ■この科学技術の発達がもたらす生命倫理の動揺とは、たとえば、…

21世紀の日本社会の理想像【I】

■21世紀の日本社会においては、これまでの結果責任*1のみを主体としたあり方では、最早よい結果が生まれることすらないと考える。大切なことは、責任倫理*2や心情倫理*3を重視することであり、これらを社会全体に浸透させていくことによって、理想像に近づい…

介護のあるべき姿【I】

■介護のあるべき姿とは、単に介護サービスの内容を充実すればよいというものではなく、当該サービスの利用者が安心して将来を任せることができる体制づくりにある。その意味で、介護を行う主体は、長年にわたって変わらぬ質のサービス提供を肝に命じなければ…

ルール・メイキングのあり方【関西】

【問1】 ■トランスナショナルなルール・メイキングを担う具体的な機関の例として、国際連合における総会及び安全保障理事会を挙げる。このうち前者は、現在200近くの加盟国がそれぞれ平等に1国1票の投票権を持つという長所があるが、それゆえに意思決定の…

ニートが増える理由と具体的予防策/大学入試について【同志社】

【第1問】 ニートが増える理由と具体的予防策 ■ニートとは、一般的には「働く意欲を持たない若者」と表現されるが、実際は働く自分に対する自信の欠如から「働けない若者」といえる。この働くことへの自信の欠如は次に掲げるような理由に基づく。 ■まず、就…

規制改革【関西】

【1】 ■選択的夫婦別氏制は、社会経済環境の変化に立ち遅れた制度を、個人の多様な働き方に対応するための改革の典型例である。この制度は、主要国のほとんどが採用しているが、日本では、長い間進捗をみない。これは、個人の選択能力への不信から規制が必…

多文化主義社会の到来【関西】

【1】 ■主流国民は他の独自文化を否定する同化主義を避け、各々の民族集団はその伝統文化を大切にしなければならないとの考え方が「多文化主義」にある。しかし、この考え方は、文化的多様性を重要視する文化観とは逆に、純粋伝統文化の維持こそ各民族集団…

救命艇倫理と共有地の悲劇【関西学院】

■ハーディンの「救命艇倫理」とは、人類は複数の救命艇に乗っており、比較的豊かな国の救命艇と貧しい国の救命艇にわかれると喩えるものである。 ■前者には、いっぱいの人が乗っているが、後者には、さらに多くの人が乗っており、それどころか常に海上に溢れ…

麻薬使用は刑事犯罪か否か【大阪市立】

【1】 ■薬物乱用による暴力や生活破綻、麻薬使用からの幻覚によってひきおこされる凶悪な事件や薬代欲しさの窃盗などが、広い範囲にわたり、さまざまな角度から市民生活をおびやかしていることは事実である。また、麻薬使用が「被害者なき行為」のままで止…

裁判員制度【立教】

■立法や行政、司法は、いずれもが国民主権、基本的人権の尊重といった重要な価値を実現する役割を持つ。ただし、前二者は本来的に人一般を対象とするため、基本的に「多数決」に基づいて、国民の意思決定を行い、ルールを制定し、執行することを任とする。こ…

マルチメディアと著作権【桐蔭横浜】

■マルチメディア時代では、大量の情報の流通と改変利用の容易化により、情報のパーソナル化と共有化が進む。その結果、情報の価値が増大し、法的保護の要求が強まるが、強すぎる権利を認めると、逆に情報の流通が阻害され、公共財としての価値が少なくなる。…

説明と同意【桐蔭横浜】

■<インフォームドコンセント>は、日本では、医者と患者の相対関係を表すため、<説明と同意>と意訳される。この語が一般化した経緯は、かつて患者は医者の権威に盲目的に従っていたが、医療過誤に対し患者の権利を守るため、法的権利として確立・定着し、…

「市場化テストの導入【I】

■市場化テスト」の導入の推進について、官庁側の反対は根強い。しかし、対象となる公共サービスのそれぞれは、今後、より一層の効率化とサービスの質の向上が求められている。この相反する2つの目標を達成するための方策がこの「市場化テスト」であって、た…

ネットワーク社会におけるルール【大阪】

【1】 ■ネットワーク社会と市場経済は、いずれも、現実の多様な生活空間をつなぐ媒介として形成されたという意味でパラレルな関係にある。しかし、市場経済において、貨幣が人間の価値を決定する傾向が存在するように、ネットワーク社会において、情報が人…

遺伝子操作は環境保護を促進する【学習院】

■ほとんどの環境保護団体は、遺伝子操作技術を「悪」と非難する。しかし、遺伝子操作こそ環境保護を促進する切り札になる。 ■今日、地表の38%が農業目的で利用され、その割合は毎年0.3%の割合で増えている。耕作地に1種類の植物だけ植える単一栽培は、土地…

国家という迷信【神戸学院】

【1】 ■国家が行う再分配政策とは、国民から徴収した税金を使って、国民全体のために、または、特定の人々や企業のために恩恵なり利益を与えることである。この再分配政策については、現代日本において、大きく2つの問題があるといえよう。 ■まず、1つ目…

喫煙の論理と喫煙の文化【岡山】

■嫌煙権を求める主張とは、本来的には、喫煙の自由を全面的に否定することにつながる。このことに対して、自己決定の論理を基礎にした自由主義的なパラダイムで喫煙を擁護しようとしても、喫煙派が勝利する可能性は小さい。 ■なぜならば、この自己決定の論理…

国民国家とボランティアが行う公共的行為【北海道】

■著者は、公共性の実現は、国民国家が行う公共的行為によるべきものと考えている。しかし、それだけでは不足があるので、ボランティアが行う公共的行為も不可欠だとする。 ■このうち、前者は「サービス」であって、必ず行われなければならないという命令的、…

環境設計による安全・安心のまちづくりの推進について【広島修道】

【1】 ■近年、身近な犯罪の急増を始めとする治安情勢の悪化がみられるが、それに対し、市民が望むのは犯罪に遭わないことである。また、被害に遭った場合は、被害がそれ以上拡大しないことを望んでいる。この市民のニーズには、警察として重要なことは、未…

原発事故はなぜくりかえすのか【熊本】

【1】 ■技術は、本来、普遍的なものであり、公益を実現するものである。だからこそ、企業に属する技術者は、企業利益と公共性に折り合いをつける必要がある。しかし、従来から、企業は利益を優先して、没個性的な技術者を求めてきた。今後は、組織の中でも…

日本における公と私【T】

【1】 ■従来は、何が「公」で何が「私」かは、双方の実態が変わることなく存在すると考えられていた。しかし、実際は、時代や場所が変われば、何が「公」で、何が「私」かは、変わるのである。 ■つまり、公私の区分に客観的な基準はなく、どこかで誰かによ…

スッキリはほどほどに(改訂版)【T】

■作者は、スッキリした状態をあまりに追求すると、社会の活力や寛容さが失われるとする。そのため、「スッキリはほどほどに」がいいと主張している。この主張は、社会が成熟し、個人の価値観が多様化した現在においては、確かに説得力を持ち得る。スッキリを…

社会保障制度の選択【京都産業】

■戦後初めて「富の分配」の問題に直面していることが、日本社会の将来不安の理由であり、社会保障制度の新たな選択肢が必要とされている。 ■その制度設計には3つのモデルがあるが、従来の日本は、そのうちの1つである共助の考え方をとっていた。しかし、そ…

外国人労働者問題【立命館】

【1】 ■日本の外国人労働者数は増加傾向をたどっているが、政府の対策は後手に回っている。受け入れ拡大を求める声も多く、政府には、どれだけの人数をどのような分野で受け入れるのか、総合的な戦略が求められている。【2】 ■外国人就労の拡大派の論拠に…

暴力団対策【明治学院】

■暴力団絡みの事件を防止するため、警察は、縦割りの弊害を除き、統合的な組織に再編されることが必要となる。大量の警察官が、街頭で暴力団組員や事務所を監視することが、市民の安全を確保することにつながるのだ。

国連総会への公開状【明治学院】

■全人類の安全、平等および福祉を保証するために十分な権限をゆだねられた超国家的権威を樹立することが、目指されるべき究極的な目標である。伝統的な国家主権という概念では、原子力や軍備が安全保障の決定的要素となり、他国に対する不信感を拭えないし、…

性的自己決定力の育成について【獨協】

■子どもたちの性は、10代の妊娠の70%近くが中絶に至っており、また、HIV・エイズが10〜20代に顕著な形で増加しているという現況にある。こうした状況は、このまま放置しておけないものであり、国の施策、教育などによって、子どもが性にかかわる確かな自…

伝統重視と現実重視の立場の対立(その2/改善版)【I】

■私が考えるところの本論争について賛否双方が納得する解決策は、甲本人に伝統を尊重する自覚を促すこと及び伝統に関する明確な規定づくりである。この案について、甲の擁護派と非難派のコメントを、客観的にどう評価できるか検討しながら整理するものとする…