包括的地方自治ガバナンス改革/村松岐夫、稲継裕昭 編著

 包括的地方自治ガバナンス改革 (経済政策分析シリーズ) 包括的地方自治ガバナンス改革 (経済政策分析シリーズ)村松岐夫、稲継裕昭 編著
 ちょっと思い立って、ちょこちょこ再読中。以下は、別のところで書いた(カンタンな)書評でっす。


■執筆者のほとんどが地方公務員であり、彼らが現職のまま京都大学大学院に派遣され、著した修士論文に基づき、編纂された書物。
■その内容は、いわゆる地方分権改革、ニューパブリックマネジメント(=NPM)、住民自治という3つの視点を軸にして、各人それぞれの分析がなされており、現場感覚にも支えられた論考には説得力がともなっている。
■個人的には、「日本の地方自治におけるNPM改革は、現時点においては大幅な民営化を求めるものではなく、住民参加を進めるための一方法として実施されている」という理解を本書から得たのであるが、そこから、昨今の行政不信に対する自己保身をはかりつつも、新たな正当性を獲得しようと目指す地方自治の現場の動きを見通せるかのようで、非常に興味深い一冊であった。
■分権改革やNPMへの取組みに携わっている地方公務員や、住民自治に関心を有する市民にとっては、一度は読んでおくべき書といってもいいのではないでしょうか。