市民裁判員先行記第21回/あなたが裁く!2 〜裁判員制度は機能するか〜
裁判員制度を特集した番組。地元のローカルテレビにて放映されました。インターネット上でも同時生放送がなされていた模様。
今回は2009年にも導入が決まっている裁判員制度の課題をドキュメンタリー形式で検証!好評の視聴者参加による模擬法廷も収録・放送します。
舞台は2009年の京都、ある女性(主人公)のもとに裁判所から「裁判員」の出廷通知がきた・・・このドラマは『赤かぶ検事シリーズ』の和久峻三さんの作品の一部を題材にして映画『極道の妻たち 危険な賭け』などの中島貞夫監督がメガホンをとったもの。今回の身代金目的誘拐事件の模擬裁判には現職の判事や弁護士が裁判官、検察官、弁護人を務め、番組で公募した裁判員が出廷し審理を行った。別室では有罪か無罪か、量刑はどうするのかの評議を台本なしで行い、自らの考えを出し合って判決を出した。はたしてその結果は? 一連の体験を通して彼女(主人公)が得たものは・・・?近未来にスタートする「裁判員制度」を考えるリアルなシミュレーションをお届けする。
とのことでしたので、興味をもって視聴しました。
■http://www.kbs-kyoto.co.jp/tv/shihou/sabaku2/index.html
とりあえず、いくつかメモ書きを。
- スタジオ議論について
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- 京都/滋賀の企業に、裁判員制度が導入された場合、有給を認めるか否かを尋ねたところ、、
- 大企業…(認める 57%、日数による 14%、困難である 7%、未検討 14%)
- 中小企業…(認める 27%、日数による 27%、困難である 44%)
- 京都/滋賀の企業に、裁判員制度が導入された場合、有給を認めるか否かを尋ねたところ、、
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- 番組アンケートにおいて、「裁判員制度が機能するか」を尋ねたところ、、
- 機能する 14%
- 機能しない 14%
- わからない 71%
- 番組アンケートにおいて、「裁判員制度が機能するか」を尋ねたところ、、
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- 番組アンケートにおいて、「裁判員として適正に判断できると思うか」を尋ねたところ、、
- できる 24%
- できない 38%
- わからない 29%
- 番組アンケートにおいて、「裁判員として適正に判断できると思うか」を尋ねたところ、、
- 裁判員選任手続について
- 細かいチェックですが、裁判所から送られてきた裁判員候補に選ばれた旨の通知は封書でしたが、普通郵便でしたね。やっぱり書留かなにかにすべきではないでしょうか(、実際問題としては。)。
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- 抽選も、裁判官が箱の中から番号が記載されたボールをひいていましたが、まあ、現実は、商店街のくじ引きみたいなグルグルッと廻して、コロンと玉がでてくるやつとかになるような気が。
- 公判内容について
- 元ネタは、次の書籍の一部とのこと。
赤かぶ検事の名推理 法廷殺人の証人 (集英社文庫)/和久峻三
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- 警察における取調べは、ビデオで撮影していることになっていました。このあたりは、(京都)弁護士会の「可視化」との主張が取り入れられた未来になっているようです。
- 評議内容について
- 「イメージがある」、「印象を受ける」、「感じがしているんです」という趣旨の被告人の人物像にかかる発言が多かったことが意外。あくまで、事実の認定を行うための評議であって、そういう議論をする場ではないとの前提が共有されなかったのでしょうか。
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- 量刑を考えるにあたって、再犯可能性を考慮するっていうことは、【情トラ】は思いついていなかった点。
- 本日の公判に対する【情トラ】判断
【情トラ】は、身の代金目的の部分に関しては無罪。結果としての量刑は懲役1年6月、執行猶予が3年と判断しました。身の代金目的でないと判断した根拠は、ひとつに「半年前から犯行を計画していたとしているにもかかわらず、3ヶ月前までキチンと借金返済を続けていたこと」、「共犯者であるとしたら、身代金で得た金額を確認するはずではないかということ」、「隠してあったお金を見つけたらスグに警察に通報したということ」等々から、どうしても検察側の証明だけでは不十分だと思ったからです。この判断は、あくまで普通の市民感覚をもとに考えた結果のもの(のつもり)ですので。
- まとめ
番組の最後に、スタジオゲストのみなさんが、本日の評議は、かなり理想的なものであった旨の評価をされていました。確かに、裁判長役の方は、常に裁判員のみなさんから意見を聴こうとする姿勢をみせており、裁判員役のみなさんも、各自それぞれ自らの考えを、臆せず表明しようとされており、たいへん有意義な評議であったように【情トラ】も思いました。
しかし、神戸で模擬裁判の裁判員をさせてもらった経験を持つ【情トラ】としては、あのレベルの評議は、普通に行えば、普通に達成できるレベルではないかなと、かなり楽観的に思っています。あくまで、やりたいと希望し、積極的な意思をもった参加者であったからこそ、それぞれに発言もされたのでしょうけど、効果的な広報、PRがなされていけば、ある程度は適切な評議進行、積極的な裁判員参加が期待できると思っているところです。
あと、その効果的な広報、PRということについてなのですが、思うに、裁判所、検察庁、弁護士会の法曹三者や、本日のようなマスコミによるものだけではなく、たとえば、裁判員となる側である一般市民の手によるNPO法人を設立し、啓発活動することも考えられるのではないでしょうか。それこそ、本日のような番組のビデオや、先日のNHKスペシャルのビデオ、そして、全国各地で開催された模擬裁判のシナリオを集め、データベース化して活用したり、様々なイベントや勉強会、模擬裁判、模擬裁判員体験の企画運営などが具体的な活動として考えられるでしょう。収支もそこそこイケルのではないかと思うのですが、どうでしょう。マスコミ取材も期待できそうではあります。
以上、先日のNHKスペシャルとまた違った意味で、特に裁判員が参加する評議の実体について、イロイロと考えることができた番組でした。
■http://www.kbs-kyoto.co.jp/tv/shihou/sabaku2/index.html