対話型行政法学の創造

対話型行政法学の創造 (行政法研究双書) 対話型行政法学の創造 (行政法研究双書)大橋洋一
 随分と前から読みたいなと思っていた書籍。たまたま学校の書庫で発見したので、ちょいと空いた時間にパラパラと。きちんと読んだのは、まだ最終章の第10章だけ。
 とりあえず、本日読んだ限りで、気になった箇所は次のとおり。

今後地方分権が進み市民の身近なところで政策形成が行われることが多くなり、行政施策が対人サービスを含むなど市民の利害関係が一層密接になると、市民の側からの政策案提示の動きは一段と加速するものと思われる。政策に関する(行政−市民間の)循環過程において政策法学が市民の提言を支える理論であると捉えれば、政策法学は決して官僚法学のリニューアルにはとどまらないであろう。

 この「市民の側からの政策案提示の動き」に関連した制度としては、パブリックコメントが、主要な手段/制度として挙げられるでしょう。しかし、現在のパブリックコメント制度が、ホントに上手く機能しているかどうかについては、(私が知っている範囲では)少なからず疑問を感じるところ。実際に意見を提出してみた経験に基づく感想も踏まえての疑問ですので、少しは説得力あるかなと思うのですが。
 このパブリックコメント制度の現状及び改善策については、近日中にまとめる予定としておりまする。
 あと、、、「行政−市民間」とありますが、議会の位置づけはどのようになっているのかな、と。


 もうひとつ。

政策法学の進展を支えうる組織的工夫はいかにあるべきかを、今後論じていく必要があるといえよう。例えば、国のレベルでは内閣法制局や両院に法制局が存在するのに対し、自治体レベルでもそうした法務組織が必要ではないか、政策開発を目的とした自治体連合の形成は可能であるのか、が問われなければならない。さらに、こうした組織を支えうる人材の整備、そのための教育体制・研修の改善が検討を要するところである。

 こうした法務組織は、議会にこそ必要とされるべきものなんじゃねぇかなーって思ったりしているトコロ。現状において、議会事務局は、単なる議員の先生方のお世話役になっているようなイメージがありますが、法務組織として整備しなおす案もなくはないのではないでしょうか。
 2005年4月1日のエントリ&コメントにも書きましたが、【情トラ】が夢想しているのは、その議会をバックアップする法務組織を、議会事務局職員(首長部局からの出向)で構成するのではなく、住民のなかから政策トピックに応じた専門的知見をもった人材を活用して構成するようなものができればヨイなぁというもの。
 具体的には、議会議員主導で政策条例を提案しようとする際に、当該案のブラッシュアップに貢献できる能力を有するという理由で、政策提言型NPOシンクタンク)にサポートを任せる契約を結ぶというあり方ができひんかなーと夢みているわけです*1
 うーん、この案については、とりあえず外国の事例などにあたってみるかな。。
 それはそうと、法制執務担当者が、議会事務局に異動して議員の政策条例提案を補助することになったら、ゴールキーパーからストライカーへと意識を180°転換することになったりするのでしょうか? >id:kei-zu 様(特にご回答を求めるものではアリマセン。何となくどうなんのかなぁなーんて思ったものですから(^ー^))
 しかし、こんなふうに想う私の考え方は、「多分に政治的」なのかなぁ?
 きちんとバランスもとりつつ、最終的に「結論に対する納得を得られるようにすること」が肝心要と自戒する今日この頃です。

*1:このあたりは私の将来計画の一部にも関わる話のような気が。。