市民裁判員先行記第26回/Winny事件第12回公判
京都地裁。Winny開発者が被告人となった、著作権法違反幇助に係る事件。第12回公判に傍聴に行ってきました。傍聴券交付は先着順です。
■傍聴前について
- 12:30ごろ あれ、12時30分ごろだったかな、着いたのは。忘れました。しかし、今日は、いつもよりグッと並んでいる人数が少ない感じがします。
- 13:10ごろ 裁判所の職員さんから、恒例の注意事項説明などなど。並んでいるときに、横をKさんや弁護団の皆さんが歩いて行かれました。なぜか、某弁護士に会釈をしていただいたような(?)、私もナントナクつられて会釈したような(?)
- 13:20〜 入廷開始。マイバックを預け、身体検査(ポケットにモノが入ってないかどうか程度)後、101号法廷に。やはり本日の傍聴人数は少ない模様。なんと30人程度しかいませんよ。。74枚傍聴券が用意されているってのに。
- 13:30 開廷です。
■本日は、私用のため、傍聴は1時間程度しかできませんでした。そのため、以下にまとめるのは、検察側からの主尋問の内容のみとなります。
■当然のこととして、本日は、弁護側からの反対尋問もなされています。しかし、これについては傍聴できませんでした。スミマセン。。
■ですので、あくまで、今回のまとめは、本日の公判の一面的なまとめにすぎませんので、その点、ご注意ください!
◆なお、公判内容については、あくまで【情トラ】の個人的なメモをまとめたものです。全てを再現できているわけではモチロンありません(※基本的に、語尾表現を簡潔にするなど、【情トラ】の手による編集等が入っています。)。また、実際の内容に【情トラ】が理解したものを付け加えてしまっているトコロもあります。さらに、私の理解不足や事実誤認などもあるかもしれません、いや、必ずあるはずです。ご注意を!
なお、これまでの【情トラ】まとめ(概要ですけど。)は、次のURLへと。
◆【おっかけ情トラ】市民裁判員先行記 - 【情トラ】附゛録゛
■はじめに、検察側からの新たな証拠調べ請求について。甲228号証から229号証までを請求するとのこと。これに対する弁護側の回答は、聞き取れませんでした(おそらく不同意かな?)。
■そして、6月27日付けで、弁護側から「証拠開示命令申立書」が、裁判所あてに提出されたとのこと。まだ開示されていないものが1通あり、その取調に関する調書を開示してほしいとのこと。
■なお、そもそも検察側にどれだけの調書が存在しているのかについて、弁護側がハッキリ把握できない模様。そのため、確認をすることに。
■①11月27日のものが1通、②12月1日の供述調書、③12月3日のものが証人の身上経歴に関するものであるため、プライバシーに関わるとして、一部をマスクして(隠してor塗りつぶして、という意味に思われます。)開示しているとのこと。④12月5日の検察官調書、⑤12月8日の調書、⑥12月11日の新たに開示されたもの。
■調書については、裁判所から「身上経歴等に関わるものでない限りは開示するように」と勧告がなされていたとのことであり、検察側も「プライバシー侵害にあたる恐れがあるものについてはマスキングしたが、それ以外は開示している」との返答。よって、証拠開示命令申立に対して、裁判所としては特に命令を出すことはないとのこと。
◆そして、6月24日付けで、弁護側から、本日の証人に関して、主尋問を行いたい旨の請求が提出されたとのこと。検察側に意見を求めると「必要性はない」との返答。裁判所としては、あらかじめ合議してきたとのことで、「捜査経過」と「Winnyに係る尋問やパソコンの知識等」に係る主尋問請求については、検察側主尋問に対する反対尋問において行うようにとのこと。そして、「証人と被告人との関わり」に関する主尋問請求は認めるとのこと。
■以上が済んで、本日の証人の方が呼ばれました。本日の証人は、この判決を受けた方ですね。最初の人定質問では、裁判長が、あらかじめ提出された用紙に記載のとおりで間違いないことを確認。そのうえで証人が宣誓を行いました。
◆証人に対する検察側からの主尋問
- (検察官(特に注記がなければ、以下同じ))証人は、(Winnyを用いての著作権法違反により)昨年11月30日に懲役1年、3年間の執行猶予の判決を受けているが、間違いないか
- (証人(特に注記がなければ、以下同じ))はい
- その映画は、「ビューティフルマインド」「アンブレイカブル」か
- はい
- 警察、検察において取調をうけたか
- はい
- そこで証言したことには間違いはないか
- はい
- 公判において証言したことには間違いはないか
- はい
- 以前にWinMXを使っていたことはあるか
- あります
- それは、いつごろからか
- 2002年10月か11月
- 平成14年の10月か11月か
- はい
- WinMXを使ったきっかけは
- 雑誌で読んだこと
- 雑誌でどのように機能の紹介があったのか
- ファイルをやりとりして交換ができる
- ファイルというのは、映画とか音楽のデータを含むか
- はい
- お金はかからないのか
- はい
- 実際に使ったか
- はい
- 回数は
- 2、3回
- 2、3回だけしか使わなかった理由は
- 相手の人とメッセージが必要だったし、常時ついていないといけないことが面倒だった
- 使い勝手が悪かったのか
- 自分にとっては
- データを保有している人とはメールでやりとりをするのか
- メールのような機能がついていました
- 相手がいやだという場合もあったか
- はい
- 受け取れないのか
- 受け取れません
- 常時はなぜ
- 相手から切られたり、交渉がいちいち必要だった
- WinMXの場合、全部受信できたか
- できませんでした
- たとえばどのような理由で
- 交換という条件が主なので、はじめたばかりでデータを持っていなかった
- 交換とはデータのか
- データの
- Winnyは使ったことがあるか
- はい
- いつからか
- 14年12月ごろ
- 平成14年か
- はい
- 何で知ったのか
- 雑誌で
- 何という雑誌で
- どんな記事だったか
- 匿名性の高いファイル共有ソフト
- 交渉の有無は紹介されていたか
- 簡単に
- どんな
- 希望として登録しておけばよい
- 交渉は不要ということか
- はい
- 匿名性が高いとは
- 摘発されにくいっていう感じで受けとめていました。
- Winnyでは利用者が特定できたか
- 特定できない
- 誰がアップしたかわかったか
- わかりません
- どこからダウンロードしたのか
- WinnyWebSiteから
- 使い方は
- 専門書のようなものを本屋で購入し、あとはハイパー初心者講座というホームページ
- 使えるようになったか
- はい
- 同じヴァージョンを使い続けていたか
- いいえ
- 新しいヴァージョンに更新していたか
- はい
- どうやって知ったのか
- Winnyのソフトに赤文字で
- 必ずヴァージョンアップしたのか
- ほぼ
- 新しいのがでてすぐにか
- はい
- すぐにといっても幅があると思うが
- 2、3日以内に
- 起訴された事件の当時は最新のヴァージョンだったか
- ではなかったと思います。。
(沈黙)
-
- そうだったと思います(?)
- はい、そうですね
- 交渉が要らないということはどういうことだと思ったか
- ばれにくい
- ダウンロードしたいというデータがあったのか
- 映画
- ドラマは
- そうですね、映画やドラマ
- ダウンロードだけか
- はい
- かねてから映画を手に入れたいと考えていたのか
- はい
- セント・オブ・ウーマンか
- はい
- ダウンロードは
- できました
- その後、アップロードもしたのか
- はい
- そのきっかけは
- セント・オブ・ウーマンが欲しかったのをダウンロードできたので、その方にお礼をしたいと思ったのがきっかけ
- Winnyの機能についているBBSを立ち上げたのか
- はい
- いつ
- 正月
- 平成15年の
- はい
- 何日ごろ
- 正月あけですから、5日
- どんなことを
- 自分が放流している映画のリスト
- どこから入手したものか
- ほとんどDVDを購入したもの
- それをアップロードしたのか
- はい
- すぐに
- 加工して
- 圧縮してか
- はい
- レンタルビデオ店で借りたDVDもか
- はい
- およそどれだけのDVDデータをWinnyにアップロードしたか
- 300本
- ダウンロードされたかどうやって知ったのか
- 被参照量で
- 映画のデータ量は
- 4分の1から8分の1程度に
- ギガで
- 1ギガ前後
- アップしたものを一旦削除したか
- 100倍になった時点で
- 100ギガということか
- はい
- なぜ削除したのか
- 他の人からまわると思ったので
- Winnyの機能と関係があるのか
- あると思う
- その意味は
- 自分のところからBさん*1のところにファイルがいったら、Bさんのところから他の人に
- 削除して別の映画やドラマをアップロードしたのか
- はい
- BBSに書き込んだのか
- はい
- 常時何本ほどか
- 20本前後
- アップロードばかりか
- ほとんど後半はそうでした
- アップロード専用になってきたのは
- 自分でほしいものがなくなってきたので
- Winnyは自分の意思に関わりなくダウンロードされるか
- はい
- ダウンロードしたデータの削除には手間がかかるか
- いや、簡単です
- ダウンロードを制限する機能はあるか
- 無視機能
- いつごろからその機能を使ったか
- 6月
- 平成15年6月か
- はい
- そのころ回線をかえたことなどがあったか
- いいえ
- ダウンロードの無視設定とは
- 無視する条件に、さらに例外の条件をつける(?)
- 検察キーワードに登録したのか
- はっきり、もう覚えていません
- ダウンロードしたデータの数は、ナンボほどか
- 700ぐらい
- リストを使ったことは(?)
- はい
- 甲73号証添付の一覧表を示します
- 初回放流日とは
- 初めてアップした日付
- アップのとき加工したのか
- 容量を小さくした
- リッピングという作業について
- DVDからHDに吸いとる作業
- それぞれ別のソフトが必要か
- はい
- ソフトは簡単に手に入るのか
- はい
- お金はかかるのか
- ダウンロードすればかかりません
- どこから
- 最初は雑誌についていたCDから
- その後は
- ソフトのヴァージョンアップはダウンロードした
- 詳しくない人でもできるのか
- できる
- パソコンは証人以外で誰か使用する人はいるか
- いません
- 常時接続していたのか
- 寝るときはきっていた
- ダウンロードする側の人はお金を払わなくてもよかったのか
- はい
- 無視条件を使えば著作権侵害を防ぐことは可能だと思うか
- 不可能だと思います
- それはどうしてか
- どれが著作物だかわかりませんので、できません
- 著作権を害するというお気持ちはあったか
- ありました
- それでも使用していたのはなぜか
- 逮捕されるほどのことにはならないと思っていた
- どうして
- Winnyで逮捕された人がいなかったから
- 匿名性に関係があるか
- 関係あると思う
- 逮捕されないとは
- いろんな雑誌に匿名性が高いからと書いてあった
- インターネットでも
- もあったと思う
- 掲示板でもか
- はい
- それ以外に注意書きは
- ないです
- 自己責任という言葉は
- あっ、どこかのホームページで
- (※弁護側から)非常に漠たる尋ね方をしており意義がある
- (※裁判長から)ですから、出典を詳しくきいてください
- (検察官(特に注記がなければ、以下同じ))あなたが覚えている限りで、どこにあったか
- (証人(特に注記がなければ、以下同じ))ホームページに
- タイトル名、サイト名は
- WinnyTipsとかいうページで
- 自己責任でとはどのような意味か
- 検挙されたときは自己責任で
- どういうつもりで書かれていると思うか
- こちらには責任はないといっている
- こちらとは、記事をかいた人か
- そうです
- それでもアップロードしたのか
- はい
- どういうお気持ちで
- まあ大丈夫だろう
- 何が
- 逮捕されるようなことはない
- Winny以外で使用したソフトは
- ない
- Winnyがなければ(アップロードは)やっていないか
- はい
- Winnyについて
- 簡単な気持ちではじめたが、逮捕されてしまい、いろいろと経済的にも、信用という意味でも失うものが大きいので、このようなシステム自体なくなったほうがいいと思います(※特にココは、【情トラ】が証人が回答したことの大意をまとめたものです。その旨ご注意ください。)。
◆検察側からの主尋問は、ここまで。
■【情トラ】感想
この後、弁護側からの反対尋問がはじまりましたが、その最初5分ほどだけ傍聴して、私は時間切れ。退廷しました。ホントは、この後の反対尋問こそが傍聴したかったのですけどね。。
なんでも「壇弁護士の事務室:今日の公判」によると、
今日は、ポートワインがひと味違うかも・・・
とのこと。ヨイ感じの反対尋問ができたのでしょうか?
他に傍聴録(または概要)がupされていないか探してみようとは思いますが、傍聴人数も少なかったしなぁぁ。
検察側からの主尋問を傍聴した限りでは、検察側がどのようなことを明らかにしたい(?)と考えているのかは、非常にヨクわかります。こうした主尋問をふまえた反対尋問ってのは(、どのような公判に関しても、そして、原告側被告側にかかわらず)、検察官または弁護人の腕の見せ所なのでしょう。事前の準備もある程度できるのでしょうけど、主尋問を聴いたうえで、反対尋問すべきところを的確に把握し、そして、明確に証言を引き出すことができなければならないのでしょうから。それを聴くだけでも、たいへんベンキョーになり、アリガタク感じているトコロです。
さて、次回は、7月14日(火)13:30〜ですよね。次回は、最後までシッカリ傍聴することができますので、一応、当日か翌日にupする予定(あくまで予定)。
時間がある方は、傍聴されてみてはいかがでしょうか?
■追記
削除されるかもしれないので、抜粋して保存。
(前略)
(※証人の)男性は検察側の主尋問に対し「ウィニーがなければ著作物をアップロードすることはなかった。こういうシステム(ウィニー)自体なくなった方がいい」と述べた。
一方、弁護側の反対尋問では「ウィニーがなければアップロードできなかったという意味」としたほか、ウィニーは違法との認識の根拠については「誰もが隠れて使っている」「ウィニーの特性はよく分からないが、やりとりされるファイルのほとんどが著作物だから」などと述べるにとどまった。
ウィニー事件:無断公開で有罪、男性に証人尋問−−京都地裁公判/京都(毎日新聞 2005年6月28日)
※は【情トラ】による。
反対尋問の詳細が知りたいトコロです。
*1:たとえ話をされていますので、そのままBさんとおっしゃられています。