【おべんきょ情トラ】身につくロースクール/行政法5/既設定・公表済の基準から逸脱した処分の違法性は

ケースブック行政法 (弘文堂ケースブックシリーズ)に掲載された問いを自分なりにアレンジし、解答案を掲げています。

【行政立法と条例】
行政庁が、自ら設定し、公表した審査基準または処分基準から逸脱するような処分を行うことは許されるか*1

 既に設定・公表した基準が、具体的に処分を行う状況下では基準として不十分だった場合など、その既設定・公表済の基準によるほうが、行政庁の処分権限を適正に行使できないと考えられる際には、法令が許す範囲内だと合理的に説明できうる新たな基準に基づき、処分がなされる場合に限って、既に設定・公表した基準から逸脱する処分は許されうると考えられる。
 ただし、このように、既に設定・公表した基準以外の新基準に基づき処分をする場合は、たとえそれが法令の許す範囲内であっても、当該処分の相手方の予測と信頼を裏切りかねないとも考えうるところである。そのため、新基準に基づく処分を行う際には、できるだけ前もって、既存の基準では対応不十分なこと、そして、新たな基準を設定することなどを公表し、対象者にも知らせておくことなどの対応が求められることになろう。

*1:この解答案は、【情トラ】が作成したものであり、その内容については無保証ですので、ご注意ください。