法政策分析/日本の政策形成過程
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- 曽根泰教・岩井奉信「政策過程における議会の役割」年報政治学1987年 pp.149-174
- 坂本孝治郎「立法過程」『岩波講座 現代の法〈3〉政治過程と法』(岩波書店・1997年)pp.105-148
- 阿部泰隆「日本の立法過程管見」阿部泰隆『政策法学の基本指針 (行政法研究双書)』(弘文堂・1996年)pp.275-313
<個人的memo>
- 政治と政策の両立は可能か
- 政治とは、調整・妥協のプロセスといえる。対して、政策とは、目的−手段の思考に基づくといえる。
- つまり、政策は政治のプロセスによって正当化されるのであるが、しかし、合理性が損なわれることもある。
- 政党・政治家は政策形成能力を有するか
- 障害物競走モデルであらわされるように、政党・政治家が有する力とは政策破壊能力であって、政策形成能力は、ほとんど官僚に委ねられているのではないか。
- しかし、その政策破壊能力こそが、政策形成能力に転化しうる力だと考えられる。
- 「予測反応」の存在
- 政策を形成するものは、それが破壊されることがあることを見越して、たとえば与党に気に入られる法案や、野党に抵抗されない法案を提出するようになる。これが「予測反応」である。
- こうした対応により、政策破壊能力をもつものは、政策を自らの望むように形成させることができることになり、それはもはや政策形成能力を有したことと同義ではないか。
- 議員立法の戦略的重要性
- しかし、政策破壊能力に由来する政策形成能力ばかりでは、逆に官僚が政治家を利用することや、法案を抽象化して運用で実質的な政策形成を行うこともありうる。さらには、そもそも立法すること自体を回避することも考えられるのである。
- また、政権交代を視野に入れようとする場合においては、「国会が政府立法に対する抵抗のアリーナとしてではなく、むしろ政府立法・議員立法の政策変換のフォーラムとして機能することが肝要」であり、そのためには、政党・政治家といった「政策主体のリクルート・成長いかん」(坂本『岩波講座 現代の法〈3〉政治過程と法』p.144)にかかわってくることになるだろう。