【おべんきょ情トラ】身につくロースクール/行政法7/条例が国の法令に違反するかどうか(平成11年地方自治法改正をうけて)

ケースブック行政法 (弘文堂ケースブックシリーズ)に掲載された問いを自分なりにアレンジし、解答案を掲げています。

【行政立法と条例】
条例が国の法令に違反するかどうかに関し、平成11年地方自治法改正を受けてどのような枠組みが考えられるか*1

 条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならないが、平成11年地方自治法改正により条例の対象領域が拡大したことや、地方自治法2条13項「法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が自治事務である場合においては、国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない」などの規定の趣旨を十分に踏まえた判断が求められると考えうる。
 とくに地方自治法2条11項から13項までの規定の趣旨から、国の法令において、当該法令の規定と条例の関係自体に関する定めを設けているものもあり、そうした場合は、条例が国の法令に違反するかどうかの枠組みが一定程度明確化されているとも考えられる。これらに関しては具体的には、次のようなものがありうる。

  1. 国の法令に対して、その付加又は強化を許容するもの(上乗せ条例
  2. 国の法令に関して、その緩和を許容するもの
  3. 国の法令が対象とするところに関して、その拡大を許容するもの(横だし条例
  4. 国の法令が規定しているところに関して、その置き換え(一部又は全部)を許容するもの
  5. 国の法令が規定しているところに関して、それを代替する定めを許容するもの

【参考/地方自治法
第2条  地方公共団体は、法人とする。
2〜12 略
11 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づき、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえたものでなければならない。
12 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。この場合において、特別地方公共団体に関する法令の規定は、この法律に定める特別地方公共団体の特性にも照応するように、これを解釈し、及び運用しなければならない。
13 法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が自治事務である場合においては、国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない。
14〜17 略

*1:この解答案は、【情トラ】が作成したものであり、その内容については無保証ですので、ご注意ください。